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《真》化

「よーく考えるときりと一緒にいるのって久しぶりじゃない?」

「あー、そうかもね。あの時はケルベロスがいたね」

「ひよちゃんにあっさり負けた奴ね」

「あれは……アリアのテイムモンスターが異常なだけよ」

「そうかなぁ」

「運営からの修正が入っても良いんじゃないかな」


それは困るなぁ……あ


「来るよ」

「あ、うん。そういえばここに何しに来たんだっけ?」

「素材集め」


ため息が聞こえたので振り向いて


「何さ」

「何の説明もなしに連れて来られた私へのフォローは無いのね」

「あー、ごめんごめん。でもいつもの事じゃん」

「自覚している分なお悪いわよ」

「レヴィもそんなにカリカリしないの~」

「あんたがのんびり過ぎるの」


レヴィとマモンの会話を笑いつつ鉱山内を進む。

今回鉱山に来たのはバランスが良く、他の素材とも混ざる《レアミスリル》ではなく、一極化された鉱石を取りに来た。もちろんインゴットにしないといけないから数が必要だ。


「で、最初はどのエリアに行くの?」

「んー、マモンときりのdexかレヴィときりのstr。どっちでも良いよ」

「なら後で良いわよ」

「はいはーい。だとすると雷系モブだね」

「私たちなら問題ないでしょ?」

「そうだね……きりは大丈夫?」


きりがちょっと困った顔をしたので見なかったことにして


「いざとなれば守るからさ」

「そんな時は無いだろうけどね」

「まったくだわ」


*****


レヴィの弾丸が《サンダーシーホース》の頭を打ちぬく。マモンの矢が《サンダーバット》を射抜く。レヴィの銃が《サンダーモンキー》の頭をかち割る。マモンの蹴りで吹き飛ばされた《サンダースパイダー》が射抜かれる。

僕? 僕は逃げようとしてきりに捕まったよ。だって蜘蛛だもん。仕方ないもん。


「ごっめーん、アリアちゃーん、一匹蜘蛛を通したよー」


思いっきり棒読みのマモンに軽く殺意を覚える。わしゃわしゃと聞こえる足音に涙が流れる。必死にきりの後ろに回り込もうとするが中々隙が無い。


「まったく……何しているのよ」


蜘蛛が光となって消えた。


「さすがレヴィ! 愛しているよ!」

「どーも」

「さすレヴ!」

「その略し方はやめなさい」

「さすおに……」


マモンがぼそりと呟く。僕は君を許さない。


「あのさ……アリア」

「なんぞ」

「なんぞって……涙とか鼻水を私の装備に擦り付けたりしていないよね?」


ギクリ

恐る恐るきりの装備を眺めると……


「セーフ」

「付けてたら殴ってたよ」

「僕は最強だから大丈夫さ」

「こんなところで最強を持ち出すな」


きりに持ち上げられた。あんまり持ち上がってはいないけど足は地面に着かない。


「ほら、応援しないと」

「どうして?」

「二人が頑張ってるでしょ?」

「もういないけど?」

「え?」

「え?」

「……いつの間に?」

「最後の蜘蛛が倒されたときに」


*****


「金属ドロップは売って欲しいなー、なんて思ったり」

「アリアがあそこに行くのは初めてって知らなかったからね……構わないわよ」

「蜘蛛がいるって知らなかったのね」

「どうして教えてくれなかったのさ……」

「どうして調べなかったのよ」


しょぼん。


「とりあえずきりの銃、マモンの弓の順にやるから」

「はいはーい」

「私よりマモンさんを優先しても良いよ?」

「うんにゃ。きりのに出来るだけ付与しまくったのを使ってあまり全てがマモンの弓に行くんだから」

「だから今回みたいに在庫が無くなるのよ……」


レヴィの声なんて聞こえないよーだ。


「さぁ、jpgファイル化して送ってよ」

「あ、ちょっち待ってね」


きりはうーんうーん、って悩んで


「ほいさっさ」

「なるほど、見た目に拘る派なのね」

「性能は高くしてくれるんでしょ?」

「まーね。でもこの形なら単発式だよ?」

「問題無いよ」


《アルティメット・アスタリスクハンマー》をインベントリから取り出す。強化に強化を重ねたそれはちょー強くなっている。


十分後


「出来たよー」

「見てたから知ってるわよ……アレ?」

「きりがいないね……きりー?」

「あ、はーい」


きりが店の方から入って来た。


「何をしていたのさ」

「バイトの二人と話していたの。あの銀髪さん、メッチャエロいね」

「エミリア?」

「多分そう。あ、出来たんだ」

「見てなかったから知らないよね」

「あ、あはは……」


バツが悪そうに笑うきり。


「まぁ、中一だとそんなに集中力は無いわよね……」

「私もそうだったなー」


大学生二人の遠い目は気にしない。とりあえず完成品を手渡す。きりの様な女の子にはごつい銃は似合わない気もする。逆にレヴィは良く似合う。何故だ。


「どちらかというと狙撃銃のほうが良いと思うわよ」

「「完成後に言う!?」」


きりと同時に突っ込んだ。


*****


「《真・にゃんにゃんボウ》の完成ね」

「よくもまぁお試しに乗ったね……」

「アリアちゃんのことだしきっと成功させてくれるって信じていたから」


《真》化した《真・にゃんにゃんボウ》は『攻撃力+300 耐久4183 dex+114 str+175 特殊スキル《獅子の嘶き》』と、ちょー強くなった。


「で、そのスキルの詳細は?」

「……矢を打つたびにゲージが溜まり、最大になると一定時間放つ矢が強化されるって」

「ありがちだね」

「大分強いわね……」

「でもどこら辺が嘶いているの?」

「さぁ?」

「そもそも嘶くって何?」

「さぁ?」


マモンは首を傾ける。可愛い。


「次はレヴィだね」

「あ、それなんだけど私の銃も《真》化って出来るの?」

「んー、素材的な問題で全ては無理だね」

「そう。それならまた今度で良いわ。strの銃でお願い」

「外見は?」

「殴ったら強そうな感じで」

「はいはい」


それっぽい外見を思い浮かべる。やっぱり刃はいるかな。


「って事でこんな感じになりました」


一般的な拳銃リボルバーではないよの銃口から手首の上を覆うように伸びる刃。それを見てレヴィは無言のガッツポーズ。良かった。


「わ、かっけぇ」

「最後は剣かぁ……どんなのが良い? やっぱり呪われそうな感じ? 魔王っぽい感じ?」

「私にどんなイメージを持ってるの!?」

「そりゃぁ腹黒い?」

「ちょっと一回殴っても良い?」

「それを回避して変顔で馬鹿に出来るほどのagiが僕にはあるけど?」

「うっざ……」


きりの言葉に笑う。すると


「魔王で思い出したけどさ、《魔王の傘下》ってギルドでは誰が一番強いの?」


ピシリ、と空気が音を立てて凍った。僕たち3人の動きが固まる。それにきりが驚きの表情を浮かべ、口を開くがそれより速く


「口にしてしまったか……」

「また、この時が来たのね……」

「そうだね……」

「え!? 何事!?」

「いつかは来ると思っていたけどね……」

「こんなに早いとはねぇ……」

「ちょっと!? アリア!?」


僕は慌てふためいているきりの目を正面から見つめて


「何が始まると思う?」

「何が始まるんです?」

「第三次世界大戦だ」

「「古っ!?」」


マモンの言葉に二人で突っ込む。


「冗談はさて置いて教えてよ」

「そうだね……きりのせいで僕たち13人がトーナメントをするのさ」

「なして!?」

ようやく名前だけの《真》化を出せた


次回、魔王の傘下メンバーによるトーナメント開催!

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