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宿題は自力でやろう(解くとは言ってない)

「アリアさん、注文入りましたよ」

「なにー?」

「防具です」

「素材は?」

「お客様が」

「はーい」


エミリアがバイトに入った事により、カーマインブラックスミスの仕事の量は減った。

そもそも1人で接客も作成も加工もしていたのがおかしかったんだ。


*****


「そう言えばエミリアさんがスキルガチャで何を出したのか聞いていないんですけど」

「マリア、そういうのは聞いちゃダメ」

「え、どうしてですか?」

「スキルを明かすのは手の内晒す事になるから」

「別に構いませんよ。それとエミリアで良いです、さんは付けないでください」

「いっそ全員さん付け無しね」


マリアとエミリアのやり取りを聞きながら店内に飾る装備を替えていく。さん付けは面倒だもん。してないけど。

見た目重視の装備や性能重視の、挙句の果てにはネタ装備まで。


「まー、私が出したのはですね、《鍛冶屋》スキルの細かいジャンル分けっぽい《アクセサリー作製》スキルですねー」

「アクセサリー?」

「腕輪、首飾り、指輪、アミュレットやらなんやらですね」

「アミュレットって?」

「さぁ?」


言った張本人が知らなかったようだ。とりあえず《天剣》シリーズを飾る。一本100Mだ。この値段付けにはマリアとエミリアが渋い顔をしていたけど気にしない。気にしないったら気にしない。


「何か試しに作ってみたら?」

「素材も熟練度も無いんで無理ですよ」

「素材は僕が出すからさ」

「……そこまで言うならいっちょやってみましょうか!」

「「おお!」」


*****


深呼吸して《レアミスリルインゴット》と五属性ドラゴン素材を見つめる。

スキルを使う一瞬の体への違和感、それを無視してインゴットに触れる。するとインゴットが柔らかくなる。硬かったものが柔らかく……意味深です。


「いきます」

「「……」」


無言で注目されているとエロい気分になるのを隠してインゴットを伸ばす。それに包むようにドラゴン素材を練りこんで粘土のように混ぜる。どんどん混ぜて伸ばしてを繰り返す。するとミスリルの白銀の色が赤青黄緑紫に変わる。

《炎龍ヴォルケイノドラゴン》《水龍ナーガ》《光龍シャイニング》《風龍テンペスト》《雷龍ヴォルテックス》の五体の色だ。ちなみにまだどれも私は勝てません。アリアが異常なだけです。


「……」


鎖が必要な首飾りは止めておいて……指輪か腕輪のどっちにしようか。

今は《五色のレアミスリル》という素材になっている。量は150、腕輪には150を使い、指輪には50を使う。つまり腕輪一つか指輪三つか……そうだ。バイト仲間のために指輪にしよう。


「いきます」


インベントリから《木の棒》を取り出して《五色のレアミスリル》を伸ばし、巻きつける。するとここで《五色の指輪》が完成する。それを後二回繰り返して


「終わりました」

「……おお」

「綺麗だねぇ」

「アリアには敵いませんよ」


アリアが噴き出すのを見て笑みが浮かんだ。


「僕を口説いてなんになるのさ……」

「そうですね、綺麗じゃなくて可愛いですもんね」

「そうじゃねぇよ」


アリアがぶっきらぼうに呟く。あはは。


「とりあえずどーぞ」

「え」

「ん……おいくら?」

「いやいや、お近づきの印ってことで」

「ダーメ、こんな立派な性能の指輪はただじゃもらえないよ」


その言葉で性能を確認していないのに気付いた。

《五色の指輪 防御力+10 str+25 vit+25 agi+25 int+25 dex+25》


「うーん」

「え、どうしたんですか?」

「失敗作だね」

「ええ!?」


私の言葉にマリアが驚く。変なことを言った覚えは無いよ。


「このゲームにバランスを良くする理由ってあるのかな」

「そこよね……素材を無駄にしたね」

「ううん、嬉しいよ。ありがとう」

「どーも」


アリアの言葉がちょっと嬉しかった。


こうしてカーマインブラックスミスはアクセサリー屋も兼ねる事になった。


*****


「エミ~? そこで何をしているの~?」

「わわわ!? お姉ちゃん!?」

「何しているの?」

「えっとね……夏休みの自由研究なの」


エミの前にあるのは……あるのは……何?


「それは?」

「トマト」

「育てているの?」

「うん。自由研究で何かを育てなさいって」

「へぇ」

「最初はお姉ちゃんを育てるってお母さんに言ったらダメって言われたの」

「待ちなさい」


エミの頭を両手で挟んで


「私の何を育てるの?」

「宿題をするようににに」


頬っぺたむにぃしながら反論できなかったのが悲しい。


*****


「と、言うわけできり、宿題の答えを写させてください」

「え……今から?」

「ううん、後でで良いから」

「ま、SSOこっちじゃ出来ないよね」


きりは笑って


「対価は?」

「何が良いのさ」


予想していたからすぐに返せた。すると


「んー、レベリングでも良いし装備でも……うーむ、装備で」

「ほいほい。どこの何さ」

「ん?」

「武器? 防具? それとも全身?」

「全身で」


きりの辞書に遠慮という言葉は無いようだ。


「武器は杖で胴装備はどうする? 鎧系? ローブ系?」

「あ、ちょい待ち。杖じゃなくて剣か銃で」

「え」

「いやさー、この前のレグルス戦だっけ? 魔法剣士もカッコいいし魔法銃士マジックガンナーもカッコいいでしょ?」

「分からなくも無いよ。それじゃちょっと待っててね」


カーマインブラックスミスの奥に入って


「あ、やっぱ入ってきて」

「りょーかい」

「それでどっち? 剣? 銃?」

「……逆に考えてみよう。銃と剣だけを作って欲しいな」

「なら良いけどさ……銃と剣もint重視?」

「うーん」


きりは少し考えて


「アリアの知り合いに銃士はいないの?」

「レヴィだけ」

「どんな感じなの?」

「ピュア銃士だね。色んな種類の銃を使って無双しているよ。きっと遠距離プレイヤーならマモンを一二を争うんじゃないかな」


そう言った瞬間、カーマインブラックスミスの扉が開いた音が。そして


「アリアー、いるー?」

「あ、アリアは今奥に」

「アリアー、お客さんが呼んでるよー」

「ナイスタイミング……かな。入って来て、レヴィ」

「だ、そうです」


レヴィはそのまま素材を見繕っている部屋に入って来て


「ガンカタ、見つかったわよ」

「お、おめでとう」

「だからそれ用の銃をお願い」

「つまりdexよりstrって事?」


頷くレヴィ。


「きり、dexが高いと命中精度が高くなるよ」

「え」

「なに? この子も銃士?」

「になろうとしているとこ」

「……銃を使うなら《弾丸精製》は必要ね」

「え⁉︎」

「それに近距離での対応法も。剣かナイフくらいはあった方が良いわね」


きりは目を白黒させながら覚えようとしているようだ。でもさ


「レヴィは近距離での対応法ってぶっ放すだけでしょ?」

「近距離散弾銃は強いから良いの」


レヴィの基準は強さだ。実に分かりやすい。


「それじゃ、頼んだからね」

「……随分と唐突だね」

「レヴィだからね」


*****


「まさかの素材不足ね……」

「面目無い……」

「良いよ。その代わり最高級の装備ね」

「うん」


二本の天剣とレグルスネメアを背中に差し、鉱山を歩く。きりたちと一緒に。

あー感想が欲しいなー(チラリチラチラチラリズム


アリアが最近「ひよちゃんぴよぴよぴよこっこ♪」って歌えてない(愕然)

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