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《死神》と《最強》

「あー、レグルスの中ってあったかーい」


余りにも何も出来ない上でオーラによる継続ダメージを受ける。ポーションをクピクピ飲んでため息を吐く。一人飲み会なんて寂しい。


「誰か助けて……」


呟きはレグルスの動きに揺られて消えた。そもそも誰にも聞こえなかったが。


*****


「アリアが食べられた?」

「そりゃなんとも言えねぇなぁ」

「総員、腹部に攻撃を仕掛けろ!」


魔王の指揮に従い、腹に向けて大剣二本を振るう。しかし足を折り、ボディプレスがちょくちょく来る。隙は大きいが攻撃に専念していると気づけない。


「ライオンって肉食だからすでに消化されてないか?」

「冷静に恐ろしいこと言うなよ⁉︎」


セプトの言葉に文句を言う。そもそも噛み砕かれていないのか?

するといきなりメイドと騎士が吹っ飛んできた。


「オーバーシールド」


そしてセプトのスキルに激突して地面に落下した。


「大丈夫か! ヴィクトリア! エレナ!」

「無事よ……」

「問題ありません、ご主人様」


見境ないメイド、ヴィクトリアと騎士団長、エレナだった。そして勇者達のスカイに亀山社中のリョーマ、セスタスの5人が何故か集まって来た。


「どうする? アリアを先に助けるか?」

「どうやって助けるかだよな」

「腹を搔っ捌く」

「「⁉︎」」

「やれるのか、シエル」

「よゆーよゆー、この二本ならやれるって自信と自負があるぜ」


《ヴォルケイノブレイザー》と《エアースライサー》の二本を見せつけるように構える。


「なら俺も手伝うぜ」

「スカイもか?」

「ああ」

「では拙者も」

「それなら俺たちはさっきまでと違って顔面を狙い、ボディプレスの頻度を下げるぞ」

「「はい!」」

「承りました、ご主人様」


セプトたちが顔面に向かって駆け出す。すると地団駄のような足踏みが繰り出されたが


「「オーバーシールド!」」


2人同時に元々の盾の大きさの3倍の大きさの盾が出現、それが足と激突する。踏もうとした足を途中で止めるとどうなるか、それはもちろん倒れる。


「でかした!」

「魔王か、向こうを手伝え!」

「分かった! サタン、ルシファー!」

「聞いてたよ!」

「分かってるよ!」


兄弟の剣と槍が腹を切り裂き、魔王のナイフが追撃のように切り裂き、過熱する。


「うるぁっ!」

「背中からバットを出しそうな掛け声だな」


魔王の呟きを無視して二本で同時に叩き斬る。


「居合ーー天月!」


高速の三閃がダメージを深める。そしてスカイが


「エンドアルカナム!」


アリアの場合、ダブルサイクロンというスキルを放った。


*****


「ノォォォォ⁉︎」


なんで⁉︎ なんでいきなり肉の壁の向こうからダメージが僕に来るの⁉︎ 誰の仕業なの⁉︎


「エンドアルカナム!」

「え、スカイ⁉︎」


スカイの声が聞こえたと同時にダメージが加速する。継続ダメージプラス二刀流25連撃……死ぬよ⁉︎


「ハイポハイポハイポ〜ション!」


纏めてオブジェクト化して砕き割る。残り3割ほどの体力が8割まで回復して5割まで削られる。そして


「危な⁉︎」


見覚えのあるというか僕の作品の最高傑作の一つ、最高なのに幾つかあるなんて普通だよね、普通普通。スカーレットの刃が僕の脇の隙間に刺さる。そして


「アリアだ!」

「引き出せ!」

「引っこ抜け!」

「レグルスが動き出すぞ!」

「「「げ⁉︎」」」

「とりあえず何かつっかえ棒みたいなものを!」


セプトの叫びに空いた穴から見える魔王は辺りを見回して


「その発想はおかしいよねぇ⁉︎」

「仕方ないだろ⁉︎ 何も無いんだぞ!」


魔王の片腕から先が僕と一緒に閉じ込められた。


*****


「抜けろぉぉ!」

「魔王! なんとかして切り開いて逃げろ!」

「アリアが存外近くにいるんだぞ! しかもさっきの俺らの攻撃でダメージ通ったっぽいし!」

「嘘だろ⁉︎」


見ていられない。あいつらがこんな風にグダグダやっているところなんて見て居たくない。だから


「避けろ」

「なっ⁉︎」

「ジャッジメント!」


縦方向への2連撃、横回転の3連撃を放つ。鎌は切断に特化した装備、魔王の腕を抜く穴を開く事は容易だ。


「引き抜け! 魔王!」

「っ!? 手を伸ばせ! アリア!」

「あ、うん! ってわわ!?」


レグルスが自身に落雷を落とす。その衝撃で吹き飛ばされる。そして


*****


色々と聞きたいことがある。しかしそのまもなくレグルスの落雷によって吹き飛ばされた。もっとも体力はアリアのテイムモンスター、ひよちゃんによって回復された。


「っ!?」


落雷は続く。地面のあちこちを弾けさせる。それなのに一人、たったの一人だけがその落雷の嵐に突っ込んで行く。左右に駆け回り、レグルスの真下まで辿り着き


「ふっ」


続けざまに切りつけてその場を離れる。そして立っていた場所が弾ける。

かつて《死神》と呼ばれたプレイヤーは今でも変わっていなかった。彼女が兄と呼んで親しんだあの頃のままだった。


*****


「アリア!」

「!?」


聞こえた声に驚く。すると黒刃が煌き、レグルスのお腹に切込みが出来た。そして


「アリア! 手を伸ばせ!」

「……」


あの声は……


「早くしろ! もうもたない!」

「……あぁもう! 分かったよ!」


差し出された手を取る。そして引っ張り出されて抱きとめられた。


「よぉ、無事だったか?」

「……どうしてここにいるのさ」

「そりゃレグルスを狩るために」

「そうじゃない! どうして……PKのお前がここに来たんだ!」


僕の叫びに《死神》は笑って


「PKだろうが何だろうが関係ねぇ、俺はレグルスを狩る」


何故なら


「俺がゲーマーだからだ!」

「……なるほどね」


理由にもなっていないような言葉、だけどそれはすんなりと納得できる内容だった。だから


「降ろして」

「あ、ああ」


《死神》は僕を抱き抱えていたのを思い出した用で降ろした。


「腕は鈍っていないよね? お兄ちゃん」

「こっちの台詞だぜ、アリア」


僕達はお互いの顔を見て、笑いあう。


「行くよ!」

「ああ!」


*****


オンラインゲームでは結構な頻度で伝説が生まれる。

スーパープレイに縛りプレイなどである。

そして数々の伝説を打ち立てたプレイヤー達の集まり、《魔王の傘下》。かつてのメンバーと最強が手を組んだ伝説がまた、打ち立てられようとしていた。


「にしても限度があるでしょ……」

「そうねー」


マモンと共に遠距離から狙撃を続けている。しかしスコープの中から見える状況ははっきり言って異常だった。

降り注ぐ雷を回避しつつ接近して振られた腕に鎌の先端を刺す。そしてそこを基点に飛び上がり、空中で2連。そのまま顔面を蹴って退避、すぐさま接近を繰り返している。

降り注ぐ雷よりも早く駆け抜けて2本の剣で腕を切りつけ、剣だけで腕を駆け上がる。そして飛び上がり下から切り上げで滞空時間を延ばし、左右からの連続斬り。そして顔面を蹴って退避、直後に再び駆け出す。


「やっぱりあの二人のプレイスタイル、似ているわね」

「うん、二人とも楽しそうね」

「競争しているみたいだし……昔みたいね」

「そうねー」


《最強》と《死神》は舞うようにレグルスを翻弄する。そして


レグルスの残り体力が3割を切った。

感想欲しいぞい










……ストレートど真ん中だな

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