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作戦会議……みたいな何か

「傘下に収まれ……だってさ」

「……」

「馬鹿にしているの?」


スカイ、ヴィクトリア、エレナはそれぞれ不満そうな反応をする。


「お前の傘下に収まったらあのライオンを狩れるのか?」

「多分ね」

「ご主人様、勝率はいかほどに」

「んー、七八?」

「高っ⁉︎」


エレナの反応を無視して


「マモン、状態異常の効き具合はどうだった?」

「麻痺は1秒足らず、睡眠は効かなくて毒がすこーし、かな」

「うん。作戦としては「待てよ、まだ俺たちがお前の傘下に収まるなんて一言も言ってねぇぞ」

「そうね」

「別に誰がリーダーでも構わない。僕はソロなんだから」

「自分の傘下に収めるだけ収めてソロプレイ? 巫山戯んな」


スカイは行儀悪く吐き捨てて


「こっちだって全員で参加してんだ。そもそもお前の一存で退避させたのは間違いだろ」

「そうよ、私たちもまだやれたわ」

「ヴィクトリアも同意見?」

「はい、ご主人様」


ふーん、と僕は頷いて


「馬鹿だね。体力半分も割っていないのにまだやれる? 今までいくつのMMOでトップやってきたのさ?」

「……」

「……確かに半分を割ったら行動パターンが変化するのも少なくない」

「頭に血が上っていましたね……撤退を考えてもいませんでした」

「俺たちならやれた!」


スカイはきっぱりと言い切った。


「それは《リンク》スキルを使って、でしょ」

「そうだ!」

「だから僕の傘下に収まればもっと効果があるでしょ」

「っあー、そうじゃなくて……」


スカイは言葉にならない感情を持て余すように空を見上げて


「なぁ、勇者達おれたちだけでやるのは無謀だと思うか?」

「……どうだろうな」


スカイの背後に佇む銀髪の男(多分ガイア)が口を開き


「最強の言う通り、半分を割れば行動パターンの変化はあるだろう。初見で対処できるとは思わない」

「……っつー事は、だ。あれか? 手を組んで他人のやられる姿を見る感じか?」

「どうして捻くれた考え方にするんだ」


ため息を吐いて


「俺たちだけでは正直勝てないとは思う」

「あーあ、やっぱりそうか?」

「ああ」

「ちゃー、俺たちだけでやりたかったなぁ」


スカイはそう言い


「最強、お前の傘下に加わってやるぜ」

「どうも。エレナとヴィクトリアたちは?」

「私たちはご主人様の意向に添います」

「分かったよ。エレナたちは?」

「ここまで来て断れる雰囲気じゃないでしょ……加わるわよ」

「うん、ありがとう、みんな」


僕はその結果に笑みを浮かべた。


*****


「さて、早速だけどレグルスの様子について、マモン」

「はいはーい」

「『天弓』か……」

「状態異常の話はさっきしたから良いとして、レグルスの攻撃をまずはリストしていくね」


マモンはギルド掲示板にどんどん攻撃を書き込んでいく。

尾を使った薙ぎ払い。爪を使った斬撃。足を使った踏みつけ。オーラによる削り。鬣のうにょうにょ。


「行動パターンは少ないんだね」

「その分一発でもんのすごーい削られるよ」


マモンの言葉にスカイたちが頷く。すると


「遠距離系は私、『天弓のマモン』が、魔法系はそこの『魔人ベルフェゴール』、近接系は『最強のアリアちゃん』で作戦立てを分けたいんだけど……良いかな?」

「構わねーけどよ、俺らには魔法系は少ねぇぞ?」

「私たちもよ」

「僕たちもだ」

「私たちもです、ご主人様」


……沈黙が立ち込めた。すると


「魔法系だけの名前忘れたあのギルドに勧誘はした。来るとしても個人が参加だそうだ」

「手が早いね、魔王。その調子で結婚したの?」

「結婚してない」


魔王はため息を吐き


「《リンク》スキルは全員習得したな?」

「俺たちは全員しているぜ」

「同じく」

「私たちもです、ご主人様」

「それじゃ基本的な作戦はアリアたち近接系が攻撃中、状態異常を狙って遠距離系、魔法系が攻撃。魔法系の半分くらいは範囲回復に回してくれ」


レグルスの様子はずっと見ていられるものじゃない。だからこんな大雑把な作戦しか立てられない。それでもなんとかなる……きっと。


「さて、作戦決行は来週の日曜日午後6時半。それで良いな?」


*****


「アリアちゃん、塩胡椒取って」

「はーい。あ、シェリ姉、大分減ってるよ」

「あ、ホントだ」

「ややや、たっくさん減ってるね」


エミがニコニコしながら台所を覗き込む。玉ねぎを切る前だから大丈夫だよね?


「エミは宿題やってる?」

「もっちろん! シェリ姉は?」

「私もよ。アリアちゃんは?」

「おねーちゃんは?」


私は少し忘れかけていた物を思い出して


「立てた計画通りに進んでいるよ」

「アリアちゃんの事だからね、最後に纏めてやるなんて考えているよね?」

「うん」

「その計画は早めに諦めて今のうちからやらないと」

「えー?」

「たくさん纏めてやるよりも小まめにちまちました方が楽よ」


シェリ姉はフライパンでお肉を炒めて


「アリアちゃん、玉ねぎ切って」

「うん」


包丁を取り出して蔕の部分と根の部分を切り落とし、皮を剥く。そのまま横に3度刃を通して輪切りに。


「ぅう……」

「やっぱり玉ねぎを切ると泣いちゃうね」

「シェリ姉が切ってよ……」

「嫌よ、泣きたくないもん」


シェリ姉は言い切って溶き卵と玉ねぎを一緒にフライパンに投入して程よくかき混ぜて


「はい、完成」

「「おお〜」」

「この程度ならアリアちゃんもエミもすぐに出来るわよ」

「お母さんは?」

「……無理、かな」


シェリ姉は悲しそうに呟いた。

20分後


「アリアちゃん、今日はどのくらいから入るの?」

「んー、一息ついたら行こっかなって思ってるよ」

「……ねぇ、ぶっちゃけ言うとあのライオンちゃん、強過ぎない? おかしいよね?」


シェリ姉の言葉に一瞬呆気にとられ、笑った。


「え、そんなにおかしな事言ったかな?」

「うん、とっても」

「そうなの?」

「だってね、そもそも今回のレグルスはレイドボス、つまりみんなでポカポカするのが前提なんだよ?」

「ポカポカ……」

「1人じゃどうにもならないよ」

「そうなんだ……アリアちゃんでも1人じゃ無理なの?」

「……うーん、やっぱり武器の耐久もあるからね……厳しいよ」


シェリ姉はふむふむ、と頷いて


「一息、つけた?」

「あ、うん」

「それじゃ一緒に行こっか」


*****


「さてと、ポーション、ハイポーション、MPポーション、MPハイポーションをそれぞれ500スタック用意出来たね」

「そんなに多く⁉︎」

「うん。お金はあるから畑を大きくして作業員NPCを雇ったからね」

『ちぃ!』

『ちゅう!』

『ばぉん!』

「あ、ひよちゃんもちゅう吉もルフも」


ルフの鳴き声が変わったのは『スカーレットウルフ』に進化したから。炎特化の魔法、スキルに大きく補正がかかるちょー強い子に育った。

ちなみにひよちゃんは『ブリザードコンドル』、ちゅう吉は『マジシャンオブエアーラット』だ。ちゅう吉だけ長い。


「あ」

「? どうしたの?」

「ポーションたちが一気に売れてる」

「やっぱりイベントに備えてたくさん買い込むのね」

「多分バイヤーがいるなぁ」

「バイヤー?」

「転売する人。SSOは禁止されていないんだよなぁ」


僕は少しため息を吐く。


「まぁ、僕が儲かるならそれで良いや」

「それで良いの⁉︎」

玉ねぎは繊維を潰さないように切れば良いってどこかで聞いた気がする

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