表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/401

四強

「と、言うわけでセスタスはどんなスキルを買ったの?」

「僕は槍スキルですね」

「うーん……使わないよね?」

「使いませんね」

「スキル破棄したいね」

「したいですね」

「そのためには育てないといけないね」


僕たちは同時にため息を吐いた。


*****


「で、釣りをしている、と」

「うん」

「客には呼び鈴を鳴らさないと出て来ないシステムか」


魔王の言葉に頷く。すると


「釣りスキルは戦闘でも使えるって話を聞いたな……蟻で試してみたらどうだ?」

「そうだね……とりあえず今はお店の店長中だから」

「釣りしているのにか?」

「釣りしていても、だよ」


スキラゲ自体は釣り糸を垂らしているだけでも地味に熟練度は上がっていく。しかし


「とりあえず客だから接客しろよ」

「え……誰か来ているのかな?」

「ヴィクトリアンメイドだったな」

「……なるほどね、メイドたちか」


僕はやれやれ、と腰を上げて釣竿をインベントリに。そのまま店内に戻ると


「お待ちしておりました、ご主人様」

「やぁ、ヴィクトリア。相変わらずだね」

「ご主人様こそ」


そういってそっと微笑を浮かべる薄緑色の長髪メイド。すると


「本日はご主人様にお願いがあって参りました」

「メイド服ならメッセージで良いんだけど?」

「いえ。あの騎士どもに負けないよう武器を作っていただきたく存じます」

聖堂騎士団(テンプルナイツ)かぁ……どうして君たちはいつもいがみ合うのかな?」

「あんな無骨な金属の塊を身に纏う。その精神が信じられないだけです」

「僕たちもそうだけどね」

「ご主人様はさほど酷くありません。奴らが過剰に纏っているだけです」


正直興味は無いのでひよちゃんたちに目を向けたら3人ともブレーメン状態で寝ていた。僕も眠りたい。


「つーかTHE・メイドのリーダーかよ」

「初めまして、ご主人様。ヴィクトリアと申します」

「……初めまして、魔王の傘下のリーダーのディアボロスだ」

「四強ギルドのうち、二つのリーダーがここにいるんだね」

「いまいち四強ギルドって呼ばれているのが分からねーんだよな……」


四強ギルド、少数精鋭のトップギルド『魔王の傘下』、メンバー全員が戦うメイド『THE・メイド』、中世の騎士たち『聖堂騎士団』、様々な物語の名を持つ者たち『勇者達(ブレイバーズ)』。


「そう言えばさ、そろそろレイドボスイベントがあるけどどうするの?」

「あー、そうだな。一度ギルド間で話し合いたいもんだな」

「そっか……それならクッコロとスカイを呼ぶ?」

「……お前、どっちも知ってんのかよ」

「僕は鍛冶屋でアイテム屋でもあるんだよ、それくらいの人脈は作れているつもり」


僕の言葉に魔王とヴィクトリアは納得の表情だ。とりあえず


「呼ぶよ」

「ああ」

「分かりました、ご主人様」


*****


「よっ」

「お邪魔しますよ」

「やぁ、スカイ、エレナ。相変わらずのようだね」

「まぁな」

「そうですね」


二人の言葉に頷くと


「何故そこのメイドがいるのか説明してもらえるかしら?」

「一応次のイベントは大型のレイドボスだからな。四強ギルドのトップを集めてもらったってわけだ」

「よぉ、魔王」

「よ、勇者……だがその前に話をしておこう」


魔王の言葉に三人は頷く。明らかに僕だけ場違いだけどここは僕のお店なので堂々と聞き耳を立てる。


「さて、今回のレイドボスイベント……まずは参加するかどうかだ」

「私たちメイドはご主人様たちと共に参加します」

「私たちも出るつもりです」

「俺たちは個人参加だ……魔王んとこもそうだろ?」

「ああ。ま、血気盛んな奴が多いから大分参加するとは思うぜ」

「陣形は気にしますか? ご主人様」

「下手に決めたら他のソロプレイヤーやギルドが参加しねぇだろ」

「出来ないの間違いね」

「アリア、お前も黙っていないで話し合いに参加しろよ」


はっ!? ひよちゃんたちの寝顔を眺めていたら魔王に怒られた。


「でもさ、下手に参加したら僕たち12人で終わっちゃわないかな」

「そりゃ最強からしてみればそうだろうけどよ……俺たち勇者達にもそれぐらいのことならやれるぜ?」

「……私たちの場合は時間さえあれば……」

「不承不承ですが私たちも」


ヴィクトリアとエレナの言葉に頷いて


「今回は初のレイドボスイベントだ。ここで僕達がやり過ぎたら次回以降が強化され過ぎるかもしれない」

「だろーな」

「そりゃそうだけどよ……」

「だから僕は参加するにしても一撃二撃でやめる。それぐらいがちょうど良いんじゃないかな」

「でしょうね」

「その通りです、ご主人様」

「スカイも魔王もそれで良いね?」

「俺は構わないな」

「んー……ぶっちゃけ俺ら四強、どこが最強かそろそろ決めておかねーか?」


スカイの言葉に三人が殺気立つ。だから


「黙れよ、スカイ」

「ん……?」

「ここは僕の店だ。喧嘩をする場所じゃない。したいなら出て行け」

「アリアがぶち切れかけてんな……お、シェリル。ちょうど良いところに」

「シェリ姉!?」


慌てて入り口に目を向けるも


「いないじゃないか」

「とりあえずお前を止めるためだ。さっさと剣から手を離せ」

「……むぅ」


僕は追い出すために抜こうとした剣を背中の鞘に収めて


「とりあえずこのお店に中で次に喧嘩しようとしたら追い出す。忘れないでね」

「……ああ」

「そっちの二人も、良いね?」

「分かりました、ご主人様」

「分かったよ」


*****


「どこまでやれるかを確認したいの?」

「一応あたしら三人は新入りだ。ここらでお互いの確認もしときたくてな」

「俺も同感だが強制ではない」

「だけどそこに僕が加わる必要があるのかな?」

「さぁ?」


シエルの言葉に脱力する。そして


「存外考えることは一緒のようだな」

「やっぱり魔王も同じようなことを思っていたんだね」

「ああ。……しかしここか」


僕達が今現在いる場所は竜の渓谷。やはり征龍の道具ではない。


「それで? ここからどうするんだ?」

「とりあえず狩るしかないだろ!」


シエルは大剣二刀流で西瓜ドラゴンを倒して


「他に何かあるか?」


セプトが盾で西瓜の爪を受け止めて斧でかち割る。


「そうね」


シェリ姉が西瓜を凍らせて身動き取れなくする。


「そうだな」


魔王もナイフを閃かせて西瓜を解体する。そして


『ちぃ(アイスストーム)!』

『ちゅう(エアーインパクト)!』

『うぉん(ブレイズクロス)!』


三人が次々に撃墜していく。僕の立場が無くなってしまった。だから


「あ、ドラゴ鉱石だ」


採取に専念している。そんな平和な僕なのに


『ぎゃぁぁぁ!』

「まーた西瓜ヒドラだ」


仕方なく背中の2本、『風龍の天剣』『炎龍の天剣』を抜く。属性名が入っているから分かるとおり属性とステータス強化をつけている。あの時の鍛冶屋スキルの強化のおかげで二つの要素が付けられるようになった。


「おお、アリアがやる気っぽい」

「ならしっかりと見学しないとね」


シエルとシェリ姉の言葉に苦笑して


「ソードリバーサル」


振り下ろされた西瓜を受け流して


「アークスラッシュ!」


叩き込む二閃は首を一つ落とす。


「……ダブルストライク!」


一瞬怯んだ西瓜の付け根に突進八連撃。そして


「ダブルテンペスト!」


削り切った。すると


「うげ、出くわした」

「酷い言い草だね。スカイ」


勇者達と出会った。

活動報告で重大発表するんで見てねー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ