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釣りスキル

「……ジャックと接触したんだな」

「うん」

「……リベンジを果たしたのは良いが……あいつ、何を考えているんだ?」


魔王はうーん、と唸った。


「普通にイベントを楽しんでいたらたまたま見かけたとか?」

「はぁ? そんな事がありえるか?」

「ないね」


実はそれが本当なのだが誰もその可能性を信じなかった。もっとも心配されたのもあるのだが。


*****


「リベンジを果たしたんだな」

「おめでとう……で良いのか?」

「うん、ありがとう」


僕はセプトとシエルの言葉に素直にお礼を言って


「しかし幻影スキルか……聞いた話と見た感じでは大分脅威だな」

「うん、僕もそう思うよ」

「ぶっちゃけあたしの場合薙ぎ払えば良いんだよな……」

「僕とセプトは武器がシエルに比べると小さいからね」

「まったくだ」


頷いているセプト。するとシエルが


「そう言えばユニーク装備って作っているのか?」

「うん。何人か頼みに来たからね」

「決闘者やメイドたちにだろ?」

「他にも死神とか」


黒い裾の擦り切れたローブに骸骨のお面、無骨な大鎌の。ユニーク装備一式を作る事も珍しくない。


「黒の剣士もいたね」

「あー、なるほどな……」

「俺も頼みたいが何も思いつかないんだよな」

「セプトの場合斧を使うキャラクターが少ないってのがあるからね」

「いっそ麦わら帽子かぶって木こりとかどうだ?」

「木こりか……うーむ」

「ま、急がなくても良いじゃん。それよりも出来たよ」


煮込み料理のシチュー、str強化だ。とりあえず3人で食べて


「それじゃ俺は行ってくるか」

「行ってらっしゃい。シエルはどうするの?」

「うーん、悩んでんだよな」

「何を?」

「スキルを習得しようかなーって」

「何を取っているのさ」

「『剛腕』『鉄壁』『大剣』『斬撃強化』『探知』」

「戦闘系に偏り過ぎだよ」

「アリアがどっちも取り過ぎだと思うんだけどな」

「そうなのかな?」


バランスよく取っているんだけどね。


「数がおかしいってのもあるし買えば買うほど値段が上がるスキルをポンポン買うってのもおかしいって思えよ?」

「だって儲かっているんだもん。今SSOで一番のお金持ちかもよ?」

「確かにそうかもな」


シエルは椅子の背もたれに寄りかかり


「索敵スキルは探知、戦闘系に4つだから増やすか?」

「それが良いかもね」

「アリアはどれくらいなんだよ?」

「えっと……『片手長剣』『二刀流』『剛腕』『敏捷』『探知』『斬撃強化』『錬金術』『鍛冶屋』『生産量強化』『生産物品質強化』……買ったのはこれくらいかな?」

「多いわ!」

「おう⁉︎」

「つーか買ったのだけでそれかよ……他はどんなのがあるんだよ」

「えっと……派生も?」

「ああ」


派生もかぁ……


「『片手長剣突進』『片手長剣単発』『片手長剣連続』『片手長剣星屑』『片手長剣流星』『片手長剣隕石』『二刀流連続』『二刀流連発』『二刀流突撃』『調教』……他にもあるかもしれないけど思いつかないや」

「……呆れるしかねぇよ」


シエルはため息を吐く。そして


「よし、どんなスキルを習得するかの相談に乗ってくれ」

「良いけど……大剣を使わないスキルもあり?」

「ありだな」


それだったら重量系の武器を使うスキルが良いんじゃないかな?


「あ」

「何か思いついたか?」

「大剣の二刀流って無いの?」


*****


「二刀流スキルを鍛えても大剣二刀流は無理みたい」

「大剣を鍛えても二刀流は出来ないしな……さて、どうすっかな」

「いっそスキル無しの大剣二刀流ってのは?」


5分後


「スキルが使えないってのは不便だけど面白えな!」

「そりゃ重畳……ほら、来たよ」

「ああ!」


シエルがヴォルケイノブレイザーとエアスライサーを羽のように構えて駆ける。そして急停止。勢いを乗せた大剣を振るう。そして体も回転して追撃を加える。


「そのうちアクティブスキル無しの物理だけのスキルとか出そうだね」

「今のあたしの事か?」

「ううん。攻撃力に補正がかかる的な」

「なるほどな」

「買う以外の入手法を探したらあるかもね」

「あ、そう言えば噂で聞いたんだけどよ……」


*****


「スキルを破棄してのスキル習得?」

「噂で聞いただけだからあんまり信用できないんだけどな……」

「それでたくさんスキルを習得している僕に試してみろって事?」

「いえ、僕が試そうかなって思っただけです」

「そうなんだ。セスタスはどのスキルを犠牲にするの?」


僕の言葉にセスタスの表情が引き攣る。するとひよちゃんが奥から飛んで来て僕の頭の上に止まる。そしてルフとその上に乗ったちゅう吉も。


「そう言えば3人もスキルを買えるのかな?」

『ちぃ!』

「買えるんですか……」


セスタスは驚きを隠さない。そう言えば


「今日は動画を撮っているの?」

「いえ、スキルを買う辺りから撮って破棄するまでです」

「……そう言えばスキルを破棄するのってどうやるの?」

「え」

「そんな項目無いからやり方が分かんない」


セスタスは慌ててメニューを開いて確認して


「……無いですね」

「だとしたらどこかで破棄出来るイベントがあるんじゃない?」

「そうでもなければガセになりますね……」


セスタスは気落ちしたようにため息を吐いて掲示板に目を走らせる。


「……さてと」


僕も僕でMPポーションとポーション、それぞれをハイと一緒に量産して


「……この剣って7Mで買っても良いんですか?」

「そんなに高い素材を使っていないからね」


ウィンド鉱石と鋼鉄が素材の剣を売って


「うーん、やっぱり弓単体の威力を上げるか矢の攻撃力を上げるか、どっちが良いかな?」

「そうだね。量産出来るなら矢の方が良いんじゃないかな?」

「それならここで買っても良い?」

「どうぞどうぞ、カーマインブラックスミスをよろしくね」


接客して


「……多分これかと思います」

「え、見つかったの?」

「おそらく……同じような書き込みが2度、違うプレイヤーからされています」


信じるべきか否か。少し考えて


「やるだけやってみよっか」

「はい!」


そういう事にした。


*****


「お金、足りた?」

「はい! アリアさんは何のスキルを買ったんですか?」

「釣り」

「……釣り?」

「うん。釣竿が特殊武器だから面白そうだし」

「破棄するんですよね?」

「出来るかどうかの実験だからね。破棄出来なければ釣りをして魚をとるよ」



僕の言葉にセスタスは呆れたような表情だ。すると


『うぉん!』

「どうしたの、ルフ」

『うぉん! うぉぅおーん!』


とりあえず顔を向ける先を見ると……神々しい髭がダン◯ルドア校長のようなおじいちゃん。


「……敵じゃないみたいですね」

「イベントの開始キャラじゃないかな」

「多分そうですね……僕が先に行きますね」

「分かったよ」


僕はセスタスがおじいちゃんと何か話して……あ、怒られてる。そして


「出直せ!」

「はい……」


とぼとぼと歩いて来たセスタス。そして


「全然育っていないスキルだと破棄すら出来ないみたいです」

「え」


さっきはああ言ったけど実際には使うつもりがなかった釣りスキルを育てないといけなくなったようだ。

タイトルのが活躍する場面は果たしてくるのやら


次回もセスタスと一緒に使わないはずだったスキルのスキラゲ回


スキラゲとは『skill age』という言葉の略と今さら解説

ageは掲示板などで使われている言葉です(多分)

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