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「幻影」

「今日の何時から入れるんだっけ?」

「午後8時半からだよ」


私の言葉にシェリ姉は頷いて


「夏休みイベントの内容を早く知りたいね」

「多分スローターだと思うけどね」


*****


スローターイベントとは。

簡単に言えばモンスターを虐殺してその数を競う、またはポイント制で競う。


「分かりやすいけど良心が……」

「ちなみにさりげなく強いから」

「なぬ」


シェリ姉はカーマインブラックスミスの中で驚きの声を上げる。すると


「お、シェリルもいたのか」

「あ、明日香お姉ちゃん」

「やぁ、シエル」

「よ、アリア。それとシェリル、リアルネームはNGな」


ごめんごめん、とシェリ姉が謝って


「それで詳細は分かるのかな?」

「9時から情報解禁されるっぽいし先にポーションを買いに来たんだよな」


シエルはそう言いながらポーションをスタック単位で買って


「……お姉ちゃん?」

「え」

「さっきあたしの事をお姉ちゃんって呼んだか?」


シエルの目がキラキラしている。一人っ子だからか。


「シエルお姉ちゃん?」

「ぐふっ⁉︎」

「え⁉︎」


僕の言葉にシエルは嬉しそうな表情で倒れた。しかし


「シェリ姉のお姉ちゃんだから長女だね」

「あ、あはは」

「やっほーってえええ⁉︎ シエル⁉︎」


マモンが店内に入ると同時に驚きの叫びをあげた。それにのっそりと起き上がって


「一片の悔い無し」

「なら良いや」

「何があったのよ……」

「あ、アリアちゃん。MPポーションたくさん買うねー」

「はいはいよー」


恐るべきマイペースな店内。すると


「あ、来た来た」


アップデート内容が開示された。

夏休みイベントに新スキル『幻影』『鎌』『大鎌』、新ダンジョンに新モンスターと普通だ。


「夏休みイベントはスローターね。日間ランキングがあるから毎日リセットなのかな?」

「それなら面白そうだね」

「多分今回も好きなようにやれ、って言われるよね」

「魔王はいつもそうだよ」


僕とマモンはあはは、と笑って


「それじゃ私は一足先にイベントに参加して来るね」

「はいよ。僕もそろそろ行こうかな」


『現在閉店』の看板をオブジェクト化してカウンターの上に堂々と置く。これは店の主人の僕だから出来る事だ。僕以外には動かせない。


*****


「ターゲットは西瓜系のモンスターなんだね」

『ちぃ!』

「ほら、ルフたちも行くよ」

『うぉん!』

『ちゅう!』


3人を伴って街から出る。そのまま歩いていると確かに西瓜がそこにいた。

西瓜に胴と手足が生えた……目玉親父めだまおやちちみたいな。そして


『ちぃ!』

「あ」


一瞬でひよちゃんの爪で斬り裂かれた。虚しい。

そして表示される1Point。ポイント制なら


「駆け抜けるよ! みんな!」

『ちぃ!』

『ちゅう!』

『うぉん!』


剣を振るい、モンスターを薙ぎ払う。そのまま走り続けてこの周辺の最難関エリア、竜の渓谷にやって来た。別にデッキからドラゴンを墓地に落とす魔法じゃない。通常モンスターならもう一体なあれじゃない。もっとガチな渓谷だ。


「ワイバーンも西瓜を装備しているしリザードも西瓜の棍棒を持ってる。この調子なら全エリアのモンスターが西瓜化しているのかな」

『ちぃ……』

『うぉん……』

『ちゅう……』

「さて、行くよ!」


入り口のような細い道から飛び出す。そのまま駆けると4足歩行の西瓜ドラゴンが反応する。しかし


「スターダストスプラッシュ!」

『うぉん(ブレイズクロウ)!』

「ダブルテンペスト!」

『ちぃ(アイスストーム)!』

「アークスラッシュ!」

『ちゅう(エアーブラスト)!』


群がる4足歩行ドラゴンに二足歩行ドラゴン、ワイバーンたちを切り倒していく。ポイントがどんどん溜まっていくのを見ていると


「わ、八岐……」

『グガァァァァ!』

「大蛇?」


首の先端にある顔8個全てが西瓜のドラゴンに驚きの余り硬直した。そして


「っ⁉︎」


振り下ろされた顔が僕の体を吹き飛ばす。ダメージは大きい。残り6割まで削られた。防御力も高いはずなのに……


『うぉん!』

「わ、助かったよ」


ルフが僕を背中にキャッチする。どんな技能を持っているんだろう。

とりあえず背中に跨って


「ひよちゃんはちゅう吉を乗せたまま魔法で遠距離攻撃と撹乱! ちゅう吉も魔法で!」

『ちぃ!』

『ちゅう!』

「ルフはこのまま突っ込んで股下を抜けて!」

『うぉん!』


振り下ろされる頭、吐き出される炎を回避してその巨体の下に潜り込む。そして揺れる尾を回避した直後


「ごめんね!」

『うぉん!』


ルフの背中から飛ぶ。不恰好な飛び方だけどギリギリ尻尾の上に着地。

二本の剣を逆手に持って突き刺し


「せぁぁぁぁぁっ!」


駆け上がる。ダメージエフェクトが派手に輝く。揺れる巨体。そして8本の付け根まで到達した。


「……あれ」


これを切ったらまずい気がする。

伝承にあるヒドラはとある一本以外の首を落としたら増える。8本まとめて一瞬で切れるかな?


「……試してから考えよう。ダブルサイクロン!」


まとめて切り裂く。しかし


「……あれ? 増えないの?」


思ったよりは切れなかった。5本を切り落として止まったからだ。なのに復活しないし全損していない。


「八岐大蛇はヒドラじゃないんだね」


そのまま刈り取った。


*****


夏休みイベント開始から2日後


「この辺りなら楽勝だな」


俺は剣を振るい、西瓜ドラゴンを切り伏せる。そのまま切り続けて


「……誰もこの辺りまでは来ていないか」


それならこのローブで顔を隠す必要も無い。だから脱いで


「……スターダストスプラッシュ!」


岩に擬態していた岩龍を殺す。

やはりイベントというものは気分が高揚するな。そう思った直後だった。


「ダブルサイクロン!」


その声が聞こえたのは。咄嗟に逃げ出そうとしたが……隠れてやり過ごす事にした。

しかし何やら雲行きが怪しくなってきた。そして直後


「メテオスラスト!」

幻影イリュージョン

「幻影」

「幻影」

「幻影」

「幻影」

「幻影」


6人の怪しげなパーティに最強は狩られた。


*****


「……何さ」

「我らと勝負していただきたい」


今日はひよちゃんたちは休みにしていた。だからソロプレイヤーとしてドラゴン狩りをしていたら怪しげなパーティに挑まれた。


「良いけど……」


僕は背中から二本の剣を抜く。すると剣を抜こうとするもーションに入ったので


「メテオスラスト!」


切った。そのはずだった。なのに


「え⁉︎」

「幻影」


当たるはずの剣は回避された。そして周囲から聞こえるイリュージョン、と言う声。そして衝撃。体力が削られた。


「くっ!」

「幻影」


そこにいたのに剣が当たっていない。おかしい。そして


「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」「幻影」


僕の攻撃は一切当たらない。なのに僕には攻撃が届く。それを何度も繰り返して……


僕は、負けた。

最強の敗北

そしてリベンジをしようとしたその時、とある人影がアリアに近づき

「俺も手を貸すぞ」

そう、口にした


初めての真面目な次回予告をしてしまった

これからもするつもりは無いかんね


しかし眺めていたプレイヤーは誰なんでしょうね

分かる人いましたら感想などでどうぞー

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