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学生の敵

圧倒的な力、それに僕たちは逆らえない。その名も……


「それじゃ期末テスト前二週間なので部活は休み、早く帰って勉強しろよー」


*****


「と、言うわけでゲームはしばらく禁止ねー」

「えー」

「でしょうね……」


私とシェリ姉は気落ちを隠さずに机に突っ伏す。お母さん酷い。


「ねぇ、シェリ姉」

「何かな?」

「勉強をしっかりしたらしても良いよね?」

「うーん、それで点数を取れるならね。お母さん厳しくはないけど」


と、言う事で


『カーマインブラックスミス、店主が期末テストの勉強のため、しばらく休業します』

「それなのにログインしているの?」

「ダメかな?」


マモンは苦笑して


「私のお家に来てくれれば少しは教えられるけど?」

「良いの?」

「うん。あ、きりたちも呼んで来たら? シェリちゃんは来るってよ」

「分かったよ」

「それじゃあログアウトして勉強してね?」


あぅ。


*****


「と、言うわけで勉強教えて」

「……中学生の最初の数学って方程式だっけ?」

「うん」

「一次方程式でつまづいていたら二次方程式で死ぬよ?」

「死ぬ⁉︎」


直美の言葉に戦慄する。すると直美は裏紙にツラツラと書き込んで


「一次方程式に限らず方程式はイコールの左右が同じ答えになるのね。これは小学生の頃もあったでしょ?」

「うん」

「それなら『3x=12』も解けるんじゃない?」

「……右と左が同じ」

「そそ、両方3で割れるでしょ?」


つまり『x=4』と。


「つまり答えは4?」

「正解。簡単でしょ?」


その簡単でつまづいているんだけど?


「これさえ出来れば後は数をこなすだけだよ。アリアちゃんなら出来ると思うよ?」

「うーん」

「ほら、『7x=28』は?」

「28は7かける4だから4」

「はい正解。やれば出来るじゃない」

「やらないから出来ないし直美の教え方が上手なの」

「学校の先生涙目ね」


直美はため息混じりに呟いて


「何か飲む?」

「今は良いや」

「そう。シェリちゃんたちは?」

「私もまだ良いかなー」

「私たちも良いです」


直美は苦笑しながら厨房に入って、少し経ってから飲み物を手にして戻ってきた。その際にレジスターできっちり会計した。

今は小銭やお札といった概念は消えている。電子マネーが主流となって一部図書カード的なの。ちなみに小銭やお札は好事家の間で高値で取引されている。


「ところでアリアちゃんって勉強は苦手なの?」

「何を基準にするかによって変わるね」

「苦手なのね」

「……」


直美の言葉にがっくり来た。


*****


「地理は感覚で覚えるしかないね」

「科学は記号を覚えれば少しは良くなる」

「化学も記号ね」

「国語は読むしかないね。あと『走れメロス』の作者くらい知っていなさい」

「英語は得意なの? ハーフだから?」

「家庭科と技術は教科書を読んで頑張るしかないね」


直美の家での勉強会を何度か済ませてテスト2日前になった。そこで少し問題が起きた。


「シャーペンが壊れた程度で大袈裟ね」

「だって詰まったんだもん。治せそうだけど難しいんだもん」

「はいはい。少し貸してね」


私は一本しかないシャーペンを直美に渡す。すると


「こんな時のためにシャーペンを予備として2本くらい増やした方が良いよ」

「うん。そうするよ」


そういう事なので近所のスーパーに直美と向かう。すると


「お」

「あ」

「え」


たまたま正面から歩いてくる平凡な顔の男と目があった。


「やぁ、ベル」

「やっほー」

「アリアとマモンかよ……なんで一緒なんだ?」

「ちょっと買い物。ベルは大学帰り?」

「ああ……何を買いに行くんだ?」

「シャーペン」


ベルはシャーペン買うのに2人で行くか? と、疑問の声を出して


「俺も暇だからついて行っても良いか?」

「私は構わないけど?」


直美の言葉に頷く。

そのままSSOの話をしたりリアルの話をしながらスーパー(ショッパーズモール)に。


「ベルは何か買うの?」

「そうだな……ラノベでも買うか。それとリアルではリアルでの名前だろ」

流沙るさは変わらないね」

「……素直に言われると若干恥ずかしい名前なのを忘れていたな」


直美の言葉に流沙は頬を赤らめた。やはり


「私の場合は同じだから楽だよね」

「アリアはアリアだからな」

「そうだねー。あ、そこのお店って前にあったっけ?」

「ん? 3日前にオープンした輸入品店だな」

「入ってみたいな」

「アリアがそう言うのは意外だな」


そう言いながらついて来てくれる2人はまるで


「両親みたいだね」

「ぶっ⁉︎」

「え?」

「流沙と直美で、さ」

「嬉しいねー」

「ちょ……おいアリア」


流沙は私の腕を引いて


(お前分かって言ってんだろ⁉︎)

(ふふふ、直美に意識させるための作戦なのさ)

(お主……策士だな!)

「何を話しているの?」

「あ、うん。ちょっと気になる物があったってさ」

「ふーん?」


なんとか誤魔化して


「あ、ここってこんなのも売ってるんだね」

「ドライフルーツかぁ、今度まとめ買いしよっかな」

「アリアちゃんはドライフルーツが好きだもんね」

「レーズンか……どんなケーキが作れるかな」


流沙はスイーツ系の大学生だ。そこでは地味にもてている(自覚無し)だけど直美が好きなのだ。リア充に近くて遠い男だ。


「直美のお店だとどんな材料を使っているの?」

「そうねー、国産品よりも品質が確かな外国産のが多くなっているね」

「ならここのを買うってのもアリじゃない?」

「そうね、聞いてみる」

「流沙もケーキとか試しに作ってみたら?」

「そりゃ良いけどよ」


そう言って流沙は値札を指差す。


「案外高いぞこれ」

「……どうしよっか」

「そうね……とりあえず流沙がお菓子を作って食べさせて欲しいな」

「お菓子じゃない、スイーツだ……ん?」


流沙が何かに気づいたようで顔を赤くした。確かに今のは『毎朝君の味噌汁が飲みたい』的発言に近い。しかし


「ケーキにドライフルーツって使うの?」

「ショートケーキとかそんなのじゃないぞ?」

「どんなの?」

「パウンドケーキって言って通じるか?」

「あー、なんとなく分かったよ」

「あの食パンみたいな形のね」

「……間近っちゃいないが否定したいな」


流沙は少し顔をしかめて


「とりあえず単純にお試しとしてレーズンだけにするか……直美、お前んとこの台所とオーブン借りても良いか?」

「良いよ。それに器具も必要でしょ?」

「ありがたいな」


と、言うわけで


「……SSOのプレイヤーしかいないのか」

「そうね」

「俺が言うのもなんだが大丈夫なのかこの店」


流沙は呟きながら手際良くレーズンをお湯に通す。その間に溶き卵とオレンジジュースを混ぜて溶かしたマーガリンを加える。そこにホットケーキミックスとレーズンを加えて混ぜる。そして容器に紙っぽい物を敷いて生地を入れ、オーブンに入れる。


「後は焼ければ終わりだ」

「それじゃあ私は飲み物を用意しておこ」


直美も手際良く用意している。私だけ見ているだけだ。


「ほら、アリアちゃんも勉強勉強」

「ん? 勉強していたのか?」

「期末テスト2日前なんだよね。奥の個室の四人もそうだよ」


と、いう事で勉強再開した。

ちなみに流沙の作ったパウンドケーキはみんなに好評で照れていた。

今回はリアルを書きました

次回はSSO


とりあえず武藤流沙ベルフェゴール松本直美マモンの関係を軽〜く

果たして流沙は直美に告白出来るのか⁉︎

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