隣にいるという事
「ねぇ、アリア。僕さ、色々と考えたんだよね」
「クンクン……」
真剣な話をしようとしている柘雄に対して、アリアは柘雄の匂いを嗅いでいた。そして顔を顰め、柘雄の服を捲る。そのままアンダーシャツを捲り、直接腹の臭いを嗅いだ。ちなみに二人はベッドに座っていた。
「ごめん、さすがに恥ずかしいよ」
「……シェリ姉の匂いがこびり付いている……」
アリアはぼそり、と呟いて――そのまま柘雄を押し倒した。一瞬、抵抗しようかと悩んだが――悩んでいる間に柘雄のズボンは脱がされ始めていた。
「……」
「……アリア」
「……っすん」
「……ごめん」
泣いている。それに謝りながらアリアを抱きしめる。アリアは涙を溜めた眼で柘雄を見つめ――一瞬だけ、キスをした。それに柘雄は驚きながらキスを仕返す。ちゅっちゅ、と音が鳴り響き――アリアは柘雄の頬に手を添える。そのまま長いキスをして――
「……で…………さ」
「……?」
「なんで…………さ……」
「……」
「なんでシェリ姉とセックスしちゃったのさ……」
「……」
「何か言ってよ……」
どん、と強く、しかし柘雄にとっては弱く胸が殴られる。しかし柘雄は何も言えない。
「何とか言ってよぉ……」
涙は止まらないどころか、勢いを増していた。それから目を逸らしたくなったが、柘雄はそれをぐっと堪える。
「……」
「……なんで、何も言ってくれないのさ……」
アリアは悲しんでいる。それをひしひしと感じて、柘雄は――アリアを強く抱きしめる。そのままアリアの耳元で小さく囁く。
「シェリルよりもアリアの方が好きだよ」
「……誤魔化されないし」
「誤魔化さない」
顔が赤いのを、柘雄の肩に顎を乗せることで隠す。すると柘雄はアリアを優しく抱きしめ直し、アリアの顔を直視する。
「行動で示すよ」
「……どうやって?」
「シェリルにしたことをもっと激しくする」
一瞬、アリアの思考がフリーズした。そして意味を考え、一瞬で顔が真っ赤に染まる。髪の色と遜色ないそれに苦笑しながら優しくキスをする。
「嫌?」
「……馬鹿」
「あはは」
*****
「ふぃー」
「溺れるよ」
「柘雄が助けてくれるから大丈夫-」
ベッドの上での激しい愛の証明がアリアを疲れさせたのだろう、風呂の縁に顎を乗せ、その体を湯に浮ばせていた。ちなみにそんなアリアに少しだけ柘雄は興奮していたが、さすがに風呂場でそう言う行為に走ろうとは思わない……わけでもない。だがそれはノクターンに分類されるのだ。
「アリア」
「ん?」
「好きだよ」
「ん、よかろ。でさ、結局自分が何かは見つけられた?」
アリアは少し不安そうな声で、かすれるような声でそう聞いた。それに柘雄は頷いて、アリアの裸身を抱きしめる。腕の中でアリアが震えるが、それを無視して
「見つからなかったよ」
「……大丈夫?」
「まぁそれなりに大丈夫だよ。別に僕が僕を見つける必要は無かったみたいだしさ」
「……? よく分からないけど、おめでとう」
「ありがとう」
アリアは細く、白い裸身を見せつけるかのようにくるん、と柘雄の腕の中で一回転する。何の抵抗もなく一回転できるのは、胸がないからだ。そして
「柘雄、私はね、柘雄が誰だって、何だって良いんだ。ぶっちゃけて言えば、柘雄が女の子でも愛せるよ」
「……何だろう、性癖のカミングアウト……なのかな?」
「大丈夫、私とセックスするのは柘雄だけだから。柘雄専用だから」
「……何かその言い方、エッチぃよ」
「あはは」
何だろうなぁ、と柘雄は悩む。しかし答えは出ない。それに苦笑しながら天窓に眼を向ける。空に輝いている星が綺麗だ。だが――
「……逆上せた」
「……だね……」
何とか抜け出して脱衣所に移動したが――フラフラするのは止まらなかった。
*****
「やぁぁっ!」
アリアは地面を蹴り、シンへと高速の斬撃を放つ。だがしかし、シンは握っている剣でそれを切り払い、逆にアリアに斬撃を振り下ろす。もっともアリアはそれをステップだけで回避し――そのまま懐に飛び込み、シンの腹に掌打を放つ。
シンの体が吹き飛ばされるが、即座に体勢を立て直す。しかしその時にはすでに、アリアの剣が迫っていた。咄嗟に剣を振り上げ、アリアの斬撃を相殺するが、上から下に力を掛けるのと、下から上に力を掛けるのでは――圧倒的にシンが不利だ。
「っ……」
咄嗟に背後に跳びながら斬撃を放ち、追撃を妨害したが――アリアの動きは止まらない。加速を続けるその姿はもはや見切ることすら不可能に近かった。
狭い室内で壁や天井を蹴り、加速を加えながらの連続全方囲斬撃。それをシンは目を凝らしながら回避し、反撃する。そして――剣と剣を擦らせながら、アリアの手首を掴み、足を蹴り払う。そのまま持ち上げる。
「降参?」
「にゃー」
「……」
分からん。そう思いながらアリアの脇をくすぐる。すると剣を手放して笑い始めるアリア。相変わらず脇は弱い、と思っていると――洋紅色の髪を持つ、邪悪な存在がこちらに指を向けていた。
「っ」
「え?」
「《セブンソード・メテオ》」
七本の剣が迫る。咄嗟に左右に分かれながら避けようとしたが――微妙に調節したのか、剣一本一本の幅が微妙に開いており、避けきれない。剣を振るう。無理。爆風に巻き込まれる。反応が遅れたのが悔やまれる――っ!?
「シンバリア-っ!」
「ええ!?」
手を引かれ、アリアの盾にされた。そしてシンに剣が激突し、爆発するが――ダメージはない。ここはトレーニングルーム、と呼ばれている空間であり、アリアたち一部の人間にのみ特別開放されている空間であり、体力などのステータスはソーニョのをコピーしているが、ダメージ判定自体がなくなっているのだ。
「シェリ姉、いきなり何をするのさ?」
「――――――一応関わった者としてね、答えを聞いておきたいのよ」
「答え?」
「シンは何を持ってアリアちゃんの隣に立てるの? そこに立つ資格はあるの?」
淡々、と。邪悪は淡々と問いかける。アリアは心配そうな目をシンに向けたが――シンはアリアを安心させるためか、小さく微笑んで――
「資格は無い」
「ふーん」
「何をも持っていない」
「へー」
適当な返事、だがしかし、シェリルは真剣な表情でシンとアリアを見つめていた。
「――でもそれは僕の主観だ」
「……アリアちゃん、どうなの?」
「んー、資格ってのがいまいち分からないけど好きだから資格はあると思うし、多分色々持っているよ」
「……」
なんて曖昧な答えなの、とシェリルが愕然としていると――
「でもシンがいないと私はダメだった。シンとシェリ姉とセックスした日だって……」
何も出来なかった。固まって、泣くだけしか出来なかった。そうやって、帰りを待つしか出来なかった。帰ってきた時は歓喜の余り、泣きそうになり――そして、シェリルの残り香に泣いた。
「ねぇ、シン」
「ん?」
「シンは私にとって旦那様で、心のよりどころで――武と仄火のお父さんなんだからね」
「うん」
「絶対にいないといけない存在なんだからね……」
逃がさない、とでも言いたげな雰囲気で、アリアはシンの手を握る。それにシェリルは気持ち悪そうな表情を浮かべるが――アリアはそれに満面の笑みで応える。
「一緒にいる資格がなくても必要とされているなら良いことなんじゃないかな」
「……くだらないわね。愛とか、そんなことを言いたいの?」
「ロマンチックじゃないか」
「反吐が出る」
シェリルは吐き捨てる。そしてアリアを睨み付け、
「……」
しかし何も言わず、その姿を眩ませた。
「ねぇ、シン」
「ん?」
「理由も資格も必要ないから一緒にいてね?」
「出来る限りね」
「ん、良かろ」
シェリルの扱いが酷いって?
はっはっは、気のせいだよきっと
次は100万pv記念……嬉しい反面、忙しいぜ
履修登録をだな、済ませたぞ
落とした必修は二年度の必修と被っていて受けられない、金曜日を休みにするために人文を取らないなどの暴挙に出ているぜ、私は
100万pv記念のアイデアがないんで、アイデアください
誰が見たい、とかでも良いんでお願いします
100万PV記念は別の小説にアリアちゃんが思いっきりストーリーに関わる、という事にします
LUCK極振り! というソーニョとはまた別のVRMMO小説です




