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ひよちゃん、仲間が増える

「ひよちゃんはずっと幻影面ファントムマスクとの戦闘中に回復してくれたから伸びたのかな?」

『ちぃ!』

「でも危険な事はしちゃダメだよ?」

「お前が言うと呆れるほどに説得力がねぇよ」


僕の言葉にシエルがボソリと突っ込む。それにリョーマとセプトも頷いている。失敬な。


「僕は大丈夫だと思っていないと動かないよ」

「ヴォルケイノドラゴンにソロで挑むのも?」

「うん」


ひよちゃんの経験値を回復スキルに振る。基本のヒール、ハイヒール、スーパーヒール、ハイパーヒール、マックスヒールとある。

そのうちのハイパーヒールまで開放させて


「状態異常を治すのは無いんだね」

『ちぃ⁉︎』

「ポーションだけだとそうなっちゃうのかな」


僕はひよちゃんが腕を駆け上がるのを眺めながら頷く。とりあえずマックスヒールまで開放してスキルレベルを上げる。


「進化はまだみたいだね」

『ちぃ!』

「氷魔法のスキルも上げる?」

『ちぃ!』

「会話が成立してやがる」

「と、いうかそのひよちゃん? は砂漠の山頂の鳥だよな?」

「あの後に向かったので御座るか?」

「あ、そうだね。ラミアは狩れたの?」

「アリア殿のポーションのおかげで」


リョーマの言葉に頷いて


『ちぃ?』

「どうしたの?」

『ちぃ! ちぃ!』

「何かを訴えているようだが?」

「とりあえず降りて」


ひよちゃんを手に乗せてカウンターに降ろすとトコトコと走り出して


『ちぃ(ハイヒール)!』

『ちゅう……?』

「……飲食店なのに鼠がいるぞ?」

「シエルはデジタルに衛生面を考えるタイプなの?」


僕はひよちゃんの行動に驚きながら鼠を手に乗せる。鼠はつぶらな瞳で僕を見つめる。


「うん、ひよちゃんがお世話するなら良いよ」

『ちぃ!』

『ちゅう……?』

「いや、さっぱり何が起きたのか分かんねぇ」

「ひよちゃんが傷ついた鼠を見つけたから回復させたの」

「ほう」

「ひよちゃんが守ろうとするなら任せよっかって思ったの」


*****


幻影面の一件から3日が過ぎた土曜日、僕はオーダーメイドの斧を作っていた。


「ひよちゃん、冷やして」

『ちぃ(アイスストーム)!』

「ちゅう吉はポーションの量産を続けて。ひよちゃんも冷えたらお願い」

『ちぃ!』

『ちゅう!』


2人がトコトコと動いて作業をするのをお客は興味深そうに眺めている。すると


「テイムスキルってどうやったら習得出来るんですかね?」

「うーん……困っているモンスターを助けたら?」

「そうなんですか」

「ひよちゃんは地面に嘴が刺さったのを引き抜いたんだよ」

『ちぃ!』


ひよちゃんの凍らせたポーションシャーベットを箪笥に収納。箪笥は何故か入れた物の時間を止める力がある。箪笥がラスボスじゃないかな。


「さてと、出来たよ」

「ありがとうございます」


アスタリスクハンマーをインベントリに入れて一息吐く。そして料金を受け取って


「ありがとうございました」

「こちらこそ。またのご来店をお待ちしておりまーす」


見送る。そらして店内に戻って予約を確認する。明日が期限の装備は無い。ポーションも問題無い。ひよちゃん作のポーションシャーベットもそこそこの量がある。


「今日はどこに行きたい?」

『ちゅう?』

『ちぃ!』

「……火山?」

『ちぃ!』


*****


「スターダストスラスト!」


アイアンリザードマンの体力を全損させて


「ちゅう吉のスキル熟練度も上げないとね」

『ちゅう!』


ちゅう吉のスキルは『噛み付く』『ダッシュ』の二つだった。とりあえず色々な付与素材を食べさせてみた結果、風に適正がある事が発覚した。しかし


「炎のモンスターたちに風は効き辛いよね」

『ちゅう……』

「わ、落ち込まないで⁉︎」

『ちぃ(アイスランス)!』

「ひよちゃんは空気読んで⁉︎」


ひよちゃんは着実に一体ずつ全損させる。僕も剣を振り続けて全損させる。しかし


「足元でうろちょろされると怖いから2人はって何しているの⁉︎」

『ちゅう?』

『ちぃ?』


ひよちゃんがちゅう吉の上に座っていた。そして


『ちゅう(ダッシュ)!』

「わ、トコトコ走ってる」

『ちぃ(アイスランス)!』


ちゅう吉が駆け寄ってひよちゃんが攻撃という見事なコンビネーションが成立していた。それに驚きながら


「ソードリバーサル! アークスラッシュ!」

『ちゅう(ダッシュ)!』

『ちぃ(アイスボール)! ちぃ(アイスランス)!』


……何だろう。2人が協力しているのを見ると疎外感が……。


*****


「で、ひよちゃんが進化できるようになっちゃいました」

『ちぃ!』

『ちゅう!』


ひよちゃんは岩の上で片方の翼あげて人で言えば親指を立てた。そしてちゅう吉がその周りをトコトコ走る。


「さてひよちゃん、質問です」

『ちぃ?』

「飛行タイプになるか今のように地上タイプ。どっちが良い?」


僕の言葉にひよちゃんは少し虚空を見つめて……翼をパタパタさせた。飛びたいとの意思表示。


「飛びたいんだね?」

『ちぃ!』


再び親指を立てる(比喩)ひよちゃん。だから


「……はっ⁉︎」

『ちぃ?』

「空を飛べるならひよこじゃない⁉︎」

『ちぃ⁉︎』

「ひよちゃんって呼べない⁉︎」


ひよこだからひよちゃんなのにこれだと……なんて言うのか分からない鳥になっちゃう。


『ちぃ⁉︎ ちぃ!』

「ひよちゃんのままでも良い?」

こくこく

「分かったよ。それじゃ進化するね……」


*****


「……頭の上が賑やかだね」

「僕もそう思うよ」


水縹色みずはなだいろの羽毛のトンビのような大きさのひよちゃん、その上にちゅう吉が乗っている。さっきまでとは逆だ。


「ちなみにどれくらい強いの?」

「んー、僕があんまり手を出さなくてもヴォルケイノドラゴンと正面切って戦える程度?」


マモンの表情が固まった。しかし本当なのだ。

ヴォルケイノドラゴンの爪や牙を華麗に回避し、空を舞いながらの魔法で攻撃とひよちゃんとちゅう吉の凄まじさを思い知った。


「その子の名前は?」

「ちゅう吉」

「……ひよちゃんもそうだけど安直じゃない?」

『ちぃ⁉︎』

『ちゅう⁉︎』

「あ、ごめんごめん。馬鹿にしているんじゃないのよ」


マモンが僕の頭の上の2人にペコペコ頭を下げて謝る。名付けたのは僕なんだけどねー。


「そっか……テイムスキルって凄いんだね」

「マモンも習得したいの?」

「俄然興味が湧いて来ちゃった」


マモンは両肘を脇に寄せて両手を握り、ぶりっ子っぽいポーズをとった。これが素なんだよなぁ。


「マモンは最近はどうしているの?」

「そうね。最近は弓矢スキルの中級まで育て終わったから比較的のんびりしているよ」

「ふーん」

「あ、そだそだ。魔王がアリアちゃんに少し怒っていたよ」

「え」


僕、何かしたっけ?


「幻影面が来た時、無謀に突っ込んだでしょ?」

「え、ダメだった?」

「ホウレンソウをしっかりしろって。社会人らしい怒り方よね」


マモンはあはは、と笑う。だけど


「ホウレンソウってあのほうれん草?」

「えっと会社だと基本なんだけどね、報告、連絡、相談の3つを纏めたものね」

「つまり?」

「せめて一言言えって事」

「……はい」


僕はマモンに頭を撫でられながら頷いて……ひよちゃんたちが慌てたので慌てて顔を上げた。

総合評価が200越えたよ

びっくりしたよ

驚きの余りコップを足に落として地味に痛い


ようやくひよちゃんタイトル復活

これでもう一安心


新キャラのちゅう吉

風を使う鼠

元々街の中をうろちょろする無害(ただしこっそり食べ物を食べる)な鼠だけど食べ物がしっかり箪笥に保管されているカーマインブラックスミスで体力と空腹で倒れる

そこをひよちゃんに救われる


ちゅう吉「ひよの姉御!」

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