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虚構からの挑戦 中編

 100を越えるロボットたちからの射撃。それにアリアは頬を引き攣らせながら倒れたビルを足場に跳躍し、他のビルに飛び移る。さらにそのままビルの上階へとどんどん向かって行き――屋上に辿り着き、安堵する。

 そのまま屋上に倒れ込み、両手両足をばたつかせる。もうなんか理不尽だ。何で私がこんなことに巻き込まれなきゃならないのさ。心当たりは一杯あるけど。


「っ」


 ばさ、ばさ、と何かが羽ばたくような音が聞こえた。それに驚きながら身を起こし、周囲に目を走らせる。何かが飛んでいる、どこ。一瞬の思考の後、屋上を走り、違う屋上へと飛び移る。

 見つけられないのなら、見つけてもらって追いかけてもらえば――見つけるのは容易い。だから、アリアは自分の家の方向に向けて走り出した。


 アリアと柘雄の家は姪浜から北に行った海の近く、愛宕浜という地域にある。その辺りは住宅街であり、大きなビルなどは存在していない。マンションが関の山だ。

 そして民家の影、マンションの影、マンションの各階層、マンションや民家の屋根の上にアリアを狙うロボットがいた。


「あぁもう面倒だ!」


 銃弾を回避しながら屋根から屋根へと飛び移る。現在の足場である小学校の裏手には山がある。そっちに身を隠すか、とも一瞬考えたが――追いかけられている以上、ロボットの数からして隠れきれない。せめて追われていなければ身を隠しながら対応できたのに、と内心で愚痴を吐きながら屋根を蹴り、跳ぶ。

 そのまま空中で身を翻し、足から地面に着地して、剣を構えた。後ちょっとで自分の家に着く。そこに邪魔者を近づけるつもりはない。あそこは私と旦那と、未来では子供たちの家だ。だから無粋な輩には消えてもらう!


「屍の山と化せ、雑魚共が」


*****


「ふん」


 剣を振り払い、足下のがらくたを蹴り飛ばす。残骸が邪魔だ。さっさと自爆すれば良いのに、とも思ったがすでにアリアが心臓とも言える核を壊しているため、それすらも出来ないのだ。


「うーん」


 僕をわざわざ狙う、か。改めて考えるも、狙われる心当たりばかりで一切思い浮かばない。仕方なく家に向かおうとするが――新たなロボットが目に入った。それに舌打ちし、地面を蹴る。銃を撃たれる前に、そう思ったのだが――剣が向けられた。違うタイプ、と瞬時に判断して剣を振り抜いた。剣と剣が激突し、剣先を切り飛ばす。


「あ」


 自爆する前のモーションであるアイレンズを輝かす、が見えた。だから背後に跳ぶ。爆発から余裕を持って回避し、ため息を吐く。別タイプまで現われた……いや、違う。別タイプなら前にもいた。羽ばたいていた、視界に入らなかった奴。

 アレが今だに発見できていない。そう思いながら家に向かう。幸い剣型は一体だけだったようなのでゆっくりと家に向かう。周囲に目を走らせていても他にロボットたちは見えなかった。それに安堵しながら家の前で足を止め、門を押し開ける。そのまま玄関のドアノブを捻り、扉を開け――


「っ」


 息を飲む。何だここは。見渡す限りの――顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔っ!?


「な……え……な」


 何が起きている。思わず叫び出したくなるほどの恐怖を覚え、アリアは思わず尻餅をつく。瞬間、自分を取り込んでいる顔が――アリアを見て笑い出した。ケラケラ、ゲラゲラ、あはは、うふふ、ひひひ、くくく、ぎゃはは、にゃはは、ふひひ……数え切れないほどの笑い声がアリアの心を蝕む。

 自宅に帰れたという安心感、数多の顔への恐怖。アリアの心に産まれた隙に顔たちは嘲笑う。この程度か、と嘲笑う。直後、その目を見開いた。アリアが立ち上がっていた。アリアが剣を抜いていた。アリアが激昂している――!?


「……るな……」


 顔たちが戸惑った瞬間、アリアは涙を流しながら叫ぶ。


「巫山戯るな!」


 一閃。いくつかの顔を纏めて斬り裂き、アリアは涙を流しつつ、猛る。


「ここは僕たちの家だ……消えろ、消え失せろ!」


 ぶち切れている、顔たちはそう判断し退散しようとする。が、アリアはそれを許さない。


「待て」


 睨み付ける。


「僕らの指輪、奪ったのお前らでしょ」


 顔たちは顔を見合わせ、ごにょごにょと相談している。顔の後頭部は平べったい板のようであり、眺めているとイライラしてきた。だから殺してやる、と思いながら剣を構えた瞬間、顔たちは言った。


『指輪は私たちが預かっている』

「っ、返せ!」

『返して欲しければ――示せ』

「は? 何を!?」

『――示せ、己が強さを、我らの上に立つ者足る物を』


*****


 気がつけば、全ての顔が消え失せていた。それにアリアはため息を吐きながらのっぺりとした白に塗りつぶされた家から出る。家の中は再現されていないみたいだ。だがしかし、ここに来るまでのビルやそういった物は手が込んでいた。

 どう考えても僕を家に連れてきて、伝えるまでが予定通りだったのだろう。アリアの抵抗は予想外だったとしても、だ。


「――示せ、か」


 だったら示すために何かを用意してくれているのだろう。そう思いながら玄関を開けた瞬間――空から七本の剣が降ってきた。咄嗟に玄関を蹴り、家を跳び出る。瞬間、玄関に七本の剣が突き刺さり――大爆発を起こした。それはアリアのみならず、家すらも破壊し――


「ぁ…………」


 空から降ってきたから、何かが上にいるはずだ。そう思いながら――しかしアリアは動けない。旦那と愛を育んだマイホームが壊された。壊されてしまった。


「……ああああぁあぁぁぁぁぁ!」


 叫ぶ。猛る。キレる、と表現した方が正しいようなそれを放ち、アリアは地面を蹴る。そのまま空中にいた姉のようなそれを迷わずに突き殺す。さらに続けて剣を振るい、シェリルのようなそれを細切れに解体する。惨殺する。


「あぁぁァ……」


 怒りが収まらない。もう嫌だ。視界に入る物の全てに八つ当たりをしても足りないほど、アリアは猛っていた。だから剣を構え、周囲にいる人影に襲いかかる。手当たり次第に襲いかかる。それが見覚えの相手ばかりだったが、アリアにとって全てのプレイヤーは敵なので、見覚えのある相手だろうと一切関係なかった。


「……ん」


 示せ。示せ。脳内で鳴り響くその言葉に舌打ちし、周囲に倒れている人影に眼を向ける。魔王のような人影、妹のような人影、親友のような人影……どれも関係ない。


「何を……何を示せって言うのさ」


 大きくため息を吐きながら剣を鞘に収め、周囲に目を走らせる。だがしかし、どこに眼を向けても何もいない。もうこれ以上いない。ここにいる意味は無い。もう、どこかに行って示さないといけないのだろう。


「……どこに向かえって言うのか分からないけどさ、見ているんでしょ?」


 もはや、相手の、僕をここに閉じ込めた相手がどういった奴らなのか分かった。だから空に眼を向け、小さくため息を吐きながら歩き始めた。そして


「僕らは怒っている……覚えてろ、絶対に僕らはお前たちを許さない」


 アリアの瞳は鋭く、突き刺すように空を睨み続けていた。その視線はアリアを見張っていたそれらを刺し貫き、痛みを受けた、かのような錯覚を得らせた。本来ならばそんな物を得るはずもないのに――それらは驚きながら、アリアを見張り続けた。


ごめん、前後編のはずだったんだ

それと毎日投稿はちょっと無理でした、ごめんなさい

グラブルが……グラブルが面白いんだ……っ!


以前友人から聞かれたんですが、アリアちゃんの体は僅かに成長しています

成長した上で小柄ってだけです


ま、貧乳ですけどね

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