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アリアの家族

『これで残るは貴様らだな』

「そうね」

「スカイたちがまさかあんな死に方をするなんて……」


 なんて惨い死に方だったんだ。アリアとシンが戦慄しながら剣を構えて《アスクレピオス》に向き合う。そしてそのまま


「《最終解放ファイナルリベレイト》! 《アリア》!」


 最強の剣と最悪の剣の二刀流。そんなアリアに対してシンは普通の剣の二刀流。ちなみに《アスクレピオス》は素手だ。それに関してアリアは何も言わない。シンも何も言わない。


『――貴様らのような好敵手と出会えたことを、我は感謝する』

「あなたに出会えたことを、私は何も思わないわ。ただ斬って、あなたを踏み越えていくだけよ」

『ふん、まぁ良い。さぁ来い!』


 アリアの握った剣が《アスクレピオス》の腕を斬り飛ばした。そしてそのまま連続して斬りつけていくが――《アスクレピオス》は斬られる度に生やしている。それはもはや医者じゃないだろうとも思えたが――アリアはそんな細かいことを気にしない人間だった。


「あなたの体力って減る度に回復するみたいね」

『ああ、その通りだ。それでどうするんだ? どう足掻いても超えられないと知れ!』

「――無駄よ。あなたが回復するのはダメージを受けたとき。それはつまり、あなたの全体力を超えるような一撃を放てば良いんですわ!」

『やれるものならばやってみろ! 受けて立つ!』


 《アスクレピオス》は頷いて、改めて剣を創り出した。そしてそれを上段に構えて


『いつでも来い!』


*****


「アリア、どうする?」

「――シン、アレをやるわよ!」

「アレ?」


 シンは小さく首を傾げ、納得したかのように頷いた。そしてアリアの手の剣、《魔王の傘下》をアリアの小さな手の上から握った。そのまま大きく息を吸って


「――愛しているよ、アリア」

「私も愛しているわ、シン」


 アリアとシンが口にした瞬間、その手に握られている《魔王の傘下》に二人の体から赤い雰囲気のオーラが流れ込んだ。

 それと同時にアリアとシンの体力がぐんぐんと減る。そしてそのまま、剣が異常な輝きを放つ。これまた見ていると吐き気を催すような色の光が剣を包み込んだ。


『――体力を消費して最高の一撃を放つ《皐月桜さつきざくら》か。だがそれを放てば当然、貴様らは命を失うぞ!』

「失わないわ」

「僕たちは失わない」

『愚かな……! だが、潔し! かかってこい!』


 アリアとシンが握った《魔王の傘下》が《アスクレピオス》の握る剣と接触した。そしてそのまま、剣が砕け散る。剣の速度は決して速くはない。ゆっくりと、至極ゆっくりと迫っていた。

 《アスクレピオス》はゆっくりと迫る剣を眺め、大きくため息を吐いた。そして


『なるほど、越えられたのか』


 真っ二つにされながらも《アスクレピオス》はにやり、と笑って――目の前でピースしている二人を眺めてため息を吐いた。


*****


「あ」


 アリアは新聞を眺めて、小さくため息を吐いた。そして


「柘雄、どうも今日は雨らしいわ」

「あ、そうなんだ。室内に干す?」

「そうしよっか」


 アリアは洗濯機が回る音を聞きながら、新聞を閉じる。そして小さくため息を吐いた。


「雨は嫌ね」

「うーん、僕は熱いよりは好きだけど」

「あら」


 珍しく意見が一致しない。そんな風に考えながら、アリアは新聞を丁寧に折り畳みつつ、ソファーから降りる。フローリングの床はスリッパ派と素足派に分かれるが、アリアは素足派だった。


「雨が降っているならお出かけ出来ないわね……あ、そうだ」

「どうしたの?」

「少しどこかに行かない? 雨の日でも使える交通手段があったわ」

「傘を差すの? 僕は持ってきていないから取りに帰らないと」

「なら相合い傘で良いじゃない……って違う違う。車を使うの」


 そして15分後


『お祖母様、今日はどこに行くのですか?』

「えーっと、とりあえずは柘雄の傘を買って……晩ご飯の材料は冷蔵庫にあったから……会社にお願いしても良いかしら?」

『構いませんよ。お祖父様もそれでよろしいですね?』

「お祖父様……って言われてもね。僕はまだ17歳だよ」

『ですがお祖母様は今現在14ですよ』


 到底納得出来ないが、柘雄はそれを受け入れていた。こういう器の広いところが、アリアと付き合える部分なのかもしれない。


『改めまして、ラ・フェル・ユリアです』

「江利柘雄です。よろしく……で、良いのかな?」

『良いですよ、お祖父様。現在ユリウスは会社の方にいますので、ご挨拶をさせてもよろしいでしょうか?』

「僕から会いに行くよ」

『ありがとうございます、お祖父様』


 やはりお祖父様と呼ばれているのには不思議な感覚だ、と思っていると車が動き出した。ちなみに運転席には誰も座っておらず、アリアと並んで後部座席に座っていた。


『お祖母様、現在の状況を報告してもよろしいでしょうか? 簡単に纏めたデータもありますので、後ほど確認していただけるのでしたらどちらでも構いません』

「そうね……口頭でお願いしても良いかしら? 柘雄も手伝ってくれるそうよ」

「まぁ、楽しそうな口調だったから興味を抱いただけだよ」


 ユリアが嬉しそうに笑いながら、口頭で説明をする。しかし、アリアと優の二人で色々としていた時期からは結構進んでしまったみたいだ。


『現在は白亜紀時代のような状態になっています』

「ちなみに私たちがいた頃は?」

『白亜紀です。探せば恐竜に出会えたかもしれませんね』

「……」

「……」

『ちなみにその恐竜をモチーフにしたテーマパークの映画がかつてあったそうですね。お二方は見たことがありますか?』

「ええ」

「僕は無いなぁ」

『でしたらいつか拝見したいものです』


 2ヶ月後、ユリアが映画でやっていた蛙の遺伝子を利用して恐竜の血からとれるDNAを使い、古代の生物を蘇らせることを誰も知らなかった。そしてそれはまた、アリアの懐を暖めることとなった。


*****


「アリア、お前も大概暇だな」

「今は夏休みだから暇で構わないのよ……そんなことよりもユリアたちに挨拶してきても良いかしら?」

「ああ、好きにしろ。その後はどうするんだ? ユリアたちの実験に付き合うのか?」

「ええ」

「そうか。柘雄、アリアが無茶しないように見張っていろよ」


 アリアが頬を膨らませているのを無視して達也は柘雄を真剣な眼差しで見つめる。どうしてそんなに真剣な表情なのだろうか、と柘雄は考えて


「何かしらの危険があるんですか?」

「……ジュラ紀だからな、恐竜がいるんだ」

「私たちがいた頃もジュラ紀って聞いたわよ?」

「ジュラ紀が何年続いたと思っているんだ? 5000万年だぞ5000万年」


 5000万年ってどれぐらいだろう。アリアがそんな風に疑問を感じているのを柘雄は優しげな瞳で見守っていて――


「それで、その恐竜と出会った場合はどうしたら良いんですか?」

「草食恐竜なら問題ないだろう。だが……万が一にも肉食恐竜に出会えば――」

「出会えば?」

「むしゃむしゃされるだろうな」


 そして5分後


『お祖母様、恐竜が現在は多いので気をつけてくださいね』

「ええ、大丈夫よ」

『柘雄、あなたはシンのデータではないのでまずは体の感覚を掴むのを優先してください』

「うん、そうするよ」


 アリアはユリウスから忠告を受け、柘雄はマグナからアドバイスを受ける。その間にユリアとオバマ、アリアはかつての拠点の周囲を探る。すでに残骸も残っていない。だから再び、洞窟にアリアたちは現われた。


「――凄い。土の匂いがこんなにするなんて……」

「ようこそ、柘雄。私も家族が作り上げた世界へ!」


ソーニョがもはや出ていない件について


今日から大学です。

木曜日が4限まで全て必修ってなっています

毎日更新する予定なんで、皆様、良きお付き合いを――


追記 総合評価が1500越えまして候

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