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アリアとアリアとアリア

「アリアさん!?」

『ちぃっ!?』

『ちゅう!?』

『がうっ!?』


 アリアは地面を蹴って《ドラゴニックアリア》から距離を取った。それに《ドラゴニックアリア》は目を細め、笑っている様だった。そしてアリアの腕を咀嚼して、光となって消した。


「……明らかに私を超えている速度ね……でも、ダメージがおかしいわ」


 右腕が奪われたのに、ダメージが少なすぎる。アリアはそれを訝しみながら《ドラゴニックアリア》を眺める。

 すると《ドラゴニックアリア》は大きく吠えて


『《クロススラスト》!』

「ひよちゃん!」

『ちぃぃ! ちぃ《アブソリュートヒール》!』


 ひよちゃんの足が私の両肩を掴んだ。そしてそのまま爪の攻撃範囲から逃れ、安全な位置で回復スキルを使った。

 右腕の感覚が戻ったのを感じ取りながら両手で剣を握る。そのまま翼を広げ、ひよちゃんの喉を撫でる。


「ありがと、ひよちゃん」

『ちぃ……』

「大丈夫よ」


 心配する様な声に微笑んで飛ぶ。ひよちゃんと並んで飛んでいるのは楽しい。でも今は、楽しめる状況にはないのだ。奴が何故いきなり速くなったのか、分からないからだ。


「アリアさん!」

「何かしら?」

「なんかダメージ低いですけど防いだんですか? 直撃した様に見えたんですけど」

「……なんとなく絡繰りが分かったかもしれないわ」


 速度が上がって、攻撃力が下がった。それはつまり


「リソースの分配をし直せる……なるほど、確かに《アリア》ね」

「何が分かったんですか?」

「ええ、アレは私のステータスをコピーしているみたいなのだけど、そのステータスポイントを振り直せるみたいね。自由に、かは分からないけど」

「ええ……随分と凄いですね……凄い?」

「ええ、あんまり凄いとは思えないわね。その程度なら私だって出来るし」

「え、マジで!?」

「マジよ」


 マジかぁ、とキャンデラが驚いているとアリアがひよちゃんの上に乗った。そして


「ひよちゃん、お願いね」

『ちぃ!』


 飛ぶのには慣れたが、飛びながら攻撃するのには余り慣れていない。だからこそ、飛びながら戦うにはひよちゃんに乗っている方が良いのだ。


『《クロススラスト》!』

ちぃアブソリュートゼロメテオ!』

「《セブンソード・メテオ》!」

「アリアさぁん!?」


 キャンデラの驚きの声は届かない。そして放たれた極氷の隕石と七本の剣が交差する斬撃と激突して、《ドラゴニックアリア》を吹き飛ばす。


「《ミリオンソード・レイン》!」


 メテオは最初に狙った範囲にしか剣が飛んでいかない。しかしそれに対してレインは広範囲に剣を降らす。名前の通りと言えばそれまでなのだ。この魔法の作成者シェリルの性格が良く出ている。


『ちぃ《セブンソード・メテオ》!』

「ええ!? ひよちゃん!?」

『《クロスフレア》!』


 両の掌から放たれる炎が七本の剣を飲み込み、消し飛ばす。しかし剣の爆発で炎が散らされる。一進一退といった様子だ。


『《クロスウイング》!』

「っ、飛んだ!?」

『《クロスライトニング》!』

「しかも炎だけじゃない!?」


 両の掌からの紫電、ひよちゃんは高速で飛び回ってそれを避けているが、《ドラゴニックアリア》は飛んでいる。次第に距離を詰められている。


『ちぃ《セブンソード・メテオ》!』

『《セブンソード・メテオ》!』

「嘘ぉん!? 《セブンソード・メテオ》!」


 魔法まで真似されている。アリアは《ドラゴニックアリア》のハイスペックさに舌を巻きつつ、ひよちゃんの背中から跳ぶ。そのまま翼を広げて


「《セブンソード・アーツ》!」

「アリアさん……ひょっとして、INTとAGIだけ?」


 キャンデラの言葉は正しい。しかしそれはアリアだけではなく、《ドラゴニックアリア》もだ。そしてひよちゃんもだ。


「《セブンソード・ワン》」


 七本の剣を一本の剣へと収束させる。そしてそのまま振りかぶって


「《アークスラッシュ》!」


 収束させた剣と《アリア》を同時に振るう。高速の二連撃は正面から《ドラゴニックアリア》に迫って


『《クロスリバーサル》! 《セブンソード・メテオ》!』

「っ!?」


 ヤバい。アリアは直感でも何でもなく、事実としてそう理解した。しかし、すでに両方の剣は逸らされ、七本の剣が放たれそうになっていた。


「っっっ!?」


 死を覚悟した、その瞬間だった。




「《茨のソーンウィップ》!」

「《逆巻く絶斧(スパイラルアクス)》!」




 《ドラゴニックアリア》を茨の鞭が縛り上げ、七本の剣を巻き込んで斧が叩き込まれた。


「アリス!? オバマ!?」

「最近出番がないので張り切っていますよ」

「以下同文」


 斧と槍を担いだ少女と鞭を握る女性は微笑んだ。


*****


「どうやら状況は悪いようですね……アリア、テイムモンスターたちを装備化しないのですか?」

「今それをしたところでその意味があるとは思えないわ……攻撃が当たらない上に隙がないのよ」

「大変ですね……ではオバマ、隙を創りましょうか」


 アリスの言葉にオバマは頷いて


「別にアレを倒してしまっても構わんのだろう?」

「「……」」


 アリアが右腕を掲げ、


「ひよちゃん! ルフ! ちゅう吉!」

『ちぃ!』

『うぉん!』

『ちゅう!』

「お願い、力を貸して!」


 アリアの呼び声に蒼い鳥が、紅き狼が、薄緑の鼠が応える。蒼い翼がアリアの背中に宿り、握った剣が燃え盛る極炎に包まれる。


『《セブンソード・メテオ》!』

「――無駄よ!」


 風の護りがそれを通さない。七本の剣が散らされるのを眺めながらそっと両手で剣を構える。

 直後、アリスの鞭を振り解いた《ドラゴニックアリア》の腕が振るわれる。それはオバマの握る斧を弾き、槍を防いだ。そして


『《セブンソード・アーツ》!』

「《セブンソード・アーツ》!」


 今のアリアのステータスはINTが高い。だからこその七本の剣を操作して――《アリア》に纏わり付かせる。そして


「――っ!」

『《クロスクロス》!』


 交差した斬撃が七本の剣を纏った《アリア》と激突する。そして同時に吹き飛ばされる。


「アリス! オバマ!」

「はい! 《チェーンウィップ》!」

「All right! 《グングニール》!」


 高速で飛ぶ槍と鎖と化した鞭が《ドラゴニックアリア》に激突し、体力を大幅に削る。そして


「《トリリオンソード・メテオ》!」


 INT型のステータスの《ドラゴニックアリア》にそれを耐えきる体力も防御力も存在せず、全損する。しかし、


『《ラストクラッシュ》!』

「全損と同時に周囲を巻き込む攻撃ですねぇ」

「「い!?」」

「まぁ、知っていても教えるのはルール違反だと思ったので悪しからず」


 オバマの言葉に動揺しながら翼を広げる。ひよちゃんの翼と《アストライア-》の翼。その二つで一気に加速して


「キャンデラ! 手を伸ばしなさい!」

「はぃぃ!?」


 キャンデラの手を掴んで高速で飛び、背後に目を向ける。アリスとオバマも飛んでいて、その背後から爆風が迫っている。それを眺めてアリアは目を細める。


「まずいわね……逃げ切れるかしら?」

「急いで別の層に逃げればなんとかなるでしょうね」

「ですがオバマ、現在私はこれでも最高速度なんですよ?」

「――惜しい人を亡くしました」

「まだ生きていますよ」


 苦笑しながらアリスは背後を眺める。爆風が様々な物を飲み込み、光となって消し飛ばしていく。それはもはや、逃げ切れないと判断するには過剰な物であった。


「アリア」

「え?」

「私はあの爆風を攻撃してみます。それでは失礼しますね」

「では私も行って来ます」


 アリスとオバマが行ってしまった。アリアはそれを見送って、とりあえず


「キャンデラ、帰りましょうか」

「えええ!?」


ネーミングセンスの無さったらもう


最近夜中になろうが不安定ですから投稿する際にはお早めに予約を成された方がよろしいかと

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