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貧乳派

「アリア、何を悩んでいるのですか?」

「……マグナ? 久しぶりだね」

「ええ、アリアの様子がおかしいのでちょっと面白くて眺めていました」


 それは私にとって不愉快、アリアがそう言うとマグナは笑った。笑う部分など存在していないはずなのに。


「マグナはどんどん人間に近くなっていくね。成長期なの?」

「ふっふっふ、産まれてまだ3年経つか経たないかですよ」


 正確な答えを返すAIが曖昧な表現を多用する。アリアの中ではマグナは人間ということになっていた。もっともそれを否定しているのはオバマとマグナの二人きりだった。


*****


「それでアリア、どうしたのですか?」

「最近、楽しくないんだ。みんな、僕よりも弱いし、対策を練ってくるわけでもない。僕を災害みたいに、負けるのを前提で戦っているんだ」

「でもこの前のシンは」

「シンは僕を殺そうとしてくれたから」


 だから好きだ、とアリアは微笑んだ。狂ったような言葉にマグナが動揺していると


「別に殺されたいってわけじゃないんだよ? ただ、シンがまだ挑んできてくれたんだよ」

「実力の伴わない者、ではないのですか? 私の見立てではシンが100人集まろうとアリアには勝てないと思うのですが」

「マグナ、それは違うよ」

「と、言いますと?」

「マグナには分からないかもしれないけどね、どうしても勝ちたいって望んでいる人間は強いよ」


 どういうことだろう、そう思いながら


「背水の陣ということですか?」

「違うよ。ただ、勝ちたいって思って勝とうって思って勝つんだって思っているんなら、強いんだ」

「それが人間の言うところの意思の力、心の力ですか」

「うん、そうだよ」

「繋がる心が俺の力ですか」

「うん、そんなところ」


 全然違う、とマグナは思ったが何も言わない。そして、マグナは


「アリア、私は向こうに行きますね。アリアはどうしますか?」

「……うーん、辞めとく。もう、寝るよ」

「そうですか。たまにはアリアに綺麗な服や可愛い服を創ってもらいたいんですけどね」

「……うん、また今度、そうするよ。マグナは可愛いからね」

「ふふふ」


 アリアは一人になった。それを少し寂しく思いながら、目を閉じて眠ろうとしていると


「アリア」

「……柘雄?」

「そうだよ」


 ん……ん!?


「どうして柘雄が私の部屋に!? 夜這い!?」

「違うよ……どうも僕は処方箋みたいな扱いをされているんだけどね」

「え? 処方箋? お薬?」

「そんな感じらしいよ」


 柘雄は小さくため息を吐いて、そのまま私を眺めていた。その目には興奮や、そういった物は一切浮かんでいない。唯一浮かんでいるのは、アリアへの慈愛だった。


「……柘雄」

「なんだい?」

「座ってよ。そんな風に立っていられると、横になっている私が困るよ」

「だったら体を起こそうよ……良いけどさ」


 柘雄は苦笑しながら、アリアの傍らに腰掛けた。そしてそのまま、アリアに触れた。


「ン……、どうしたの? 髪に何か、付いていた?」

「ううん、何も付いていないよ」


 アリアはくすぐったそうに目を細め、体を起こした。そして、柘雄を直視して


「久しぶり、柘雄。それでどうして私の部屋にいるのか聞いても良いかしら?」

「アリアのお母さんに呼び出されたんだ。アリアの様子がおかしいからキスでもして治してあげてって」

「……そりゃ随分なお願いね。それで柘雄がいるって事は、飲んだのかな?」

「別に理由が無くたって僕はアリアにキスしたいよ」

「私もそうだよ」


 アリアは微笑んで、柘雄の肩に手を伸ばす。


「アリア、楽しくないんだよね?」

「……いきなりね。まぁ、あっち側が楽しくないからって言って、デバイスを被ることを拒否しているのは否めないけど」

「デバイスを被ることを拒否……? そこまではっきりと人格が分かれているのかい?」

「みたい。それにあの子、もう表には出てくるつもりがないみたい」

「……」

「今までも世界最強になって、ライバルなんていなかったのに……どうして、ソーニョだけ、違うのかな」

「……きっと、楽しかったんだよ。楽し過ぎて……」


 楽しくなくなってしまったんだ。柘雄はそう言う。そして、少し目を細くして


「アリアはもう三年生だ」

「ん……? 柘雄は二年生だね」


 でもそれが何だと言うのだろう。アリアがそう、内心で疑問を抱いていると


「後一年、それでアリアは中学校を卒業して就職する」

「……うん、そのつもりだよ」

「僕はまだ、高校三年生だけど……18歳だ」

「うん、そうだね」

「だから結婚出来るようになる。アリアと、ね」

「――長かったね」

「短かったよ」


 二人はどちらからともなく笑った。そして


「愛しているよ、柘雄」

「愛しているよ、アリア」


 自然とキスをして、アリアは久々にデバイスを被ろうかな、と思った。だが


「明日は学校無いから、泊まって行けって言われたよ」


 お母さんに言われた柘雄は困ったように、でも少し嬉しそうに微笑んでいた。


*****


「柘雄、わざわざありがとう」

「シェリルに言われなくてもいつか会わないといけないって思っていたからね……気にしないで良いよ」

「そう、なら気にしないわ」

「ところでどいてもらっても良いかな?」

「あら、そんなにアリアちゃんの裸が見たいの? このスケベ」

「……」


 理不尽な言葉に柘雄が困っていると、シェリルは表情を緩めて


「一緒に入る?」

「はぁ? 本気で言っているのなら今までの君への評価が覆るんだけど」

「なんでそんな真顔で言うかなぁ……私、アリアちゃんよりおっぱい大きいよ?」

「はっ」

「鼻で嗤った!?」


 柘雄の反応にシェリルは地味に傷ついた。そして洗面所の扉が開き、シェリルの体に追い打ちを掛けた。


「うぇ!? シェリ姉!?」

「……痛い」

「ご、ごめん……それよりも柘雄、速くおいでよ」

「それよりも!?」


 シェリルが叫ぶ。それに柘雄は苦笑しながら、アリアを見る。全裸だった。紛うことなく全裸だった。


「アリア」

「なに?」

「綺麗だよ」

「柘雄のエッチ」

「ははは。シェリルが一緒に入りたいらしいよ?」

「うーん、良いんじゃない? どうせシェリ姉には手を出せる勇気が無いだろうし」


 アリアの評価に姉は少し泣きそうになりながらも、シェリルは洗面所に入り、扉を閉めた。


「……あれ」


 柘雄は廊下で1人、佇んでいた。


*****


「シェリ姉のおっぱいでけぇ!?」

「アリア、そんな風に言うんじゃ無いよ」

「じゃあなんて言ったら良いのかな? 凄まじい存在感を放つ芳醇なる果実?」

「官能小説みたいな表現は辞めて欲しいなぁ」


 シェリルは湯船に体を沈めつつ、アリアの手が自分の胸を揉んでいるのを眺める。指は細く白く、触れれば俺そうという表現にぴったりだった。だが、


「辞めなさい」

「ぁう」


 額を指で弾くと、思った以上に痛かったようだ。涙目になりながらコクコク、と頷くアリアに柘雄が微笑ましく思っていると


「しかし柘雄も意外と体がっしりとしているわねぇ」

「鍛えてはいないんだけどね……そう言うシェリルは細いけどさ」

「女の子らしいでしょ? アリアちゃんと違っておっぱい完備よ」

「ごめん、そんなに魅力を感じない」

「貧乳派か……」


 シェリルが戦慄しながらアリアの体を眺める。なめ回すような視線に、恥ずかしいのかアリアが身をくねらせる。

 それにシェリルが笑っていると、アリアは柘雄の体に背中を預けた。そのまま、目を閉じて


「おやすみぃ~」

「「おい」」


 風呂で寝ると溺れるかもしれないよ、という柘雄の必死な説得により、アリアはなんとか部屋まで行き着き、そのまま柘雄を抱きしめつつ、眠りについた。


最近なんだか書いていても楽しくない

明日でテストは終われるンだ……

そうすればナウでヤングな女の方をナンパしに行くんだ……10歳上までなら許容範囲


作者の性癖がバレた恥ずかしい

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