表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
294/401

呪い

「アリア、それで今日はどこに行くの?」

「んー、まだ決めていないよ。適当にぶらぶらするかな」

「そっか。それも良いと思うよ」

「だったら僕らも行こうか? どうせ暇人だし」

「仕事は?」


*****


 聞いた話によると、小遣い稼ぎに働いているらしく、しなくても良いらしい。


「それじゃどこに行くの?」

「んー、柘雄はどこか行きたいところとかある?」

「ううん、特には無いよ。強いて言うなればお土産を買えるところかな」

「それは駅近くで買えたよね?」

「あそこのデパートで売っていたと思うよ」


 杏奈と真理愛は案内役兼友人として一緒に出かけている。そして二人は二人で色々と楽しむつもりらしいのだが


「アリアに服を買いたい」

「……どゆこと?」

「そんなウニクロで買ったような無地じゃなくて、アリアならもっと可愛くなれるよ?」

「うーむ」


 柘雄は姉も同じようなことをしていたなぁ、とぼんやりと考えていた。すると


「柘雄に可愛いって思われる格好が良いかも」

「だとしたらお洒落しないとね。ほら、柘雄もじゃんじゃん意見言わないと」

「え、言った方が良いの?」

「私は柘雄が好きな格好したいよ?」


 何の衒いも無く言われ、柘雄は顔を少し赤くした。それを見て杏奈と真理愛はにやにやと笑っていた。

 そしてそのまま、4人はお洒落な服を売っている店に入ったのだが


「あのー、人違いだったら申し訳ないのですがアリアさんですか?」

「私?」

「はい。ちょくちょくテレビに出演していますよね?」

「あ、はい」

「本物なんですか!? あの《魔王の傘下》の?」

「あ、はい。アリアです」


 店員さんと早速親しくなったアリアは試着の際も和気藹々と5人で試着を続けて


「ど、どうかな?」


 初めて着るワンピースにアリアが緊張していたり


「どう? 似合う?」


 シャツにブルゾンとジーパンを着てかっこつけてみたり


「コレはどうかな……?」


 男物の服を着て意外と似合っていたりしていた。


「アリア、全部似合っていたよ」

「そ、そう? 改めて言われると照れるよ」

「そっか」


 アリアはデレデレと顔を緩ませながら服を買っていた。店員さんは何故かアリアからサインをもらい、満面の笑みで「またのご来店をお待ちしております」と言われた。福岡在中だから無理だって一応言ったら「宮崎は良いところですよ?」と引っ越しを勧められた。


「宮崎県民って凄いねぇ」

「いや、一纏めにしないで」

「私たち、別に移住を勧めてないでしょ?」

「ん~、いつか勧めたりしない?」

「しないよ。アリアが宮崎に住んだら色々と忙しそうだもの」

「それに騒がしそうだしね」


*****


「杏奈」

「柘雄? どうしたの?」

「アリアがまたどこかに消えたから探してくる」

「行ってらっしゃい」


 決して走らず、しかし周囲を慎重に見回しながら柘雄はデパート内を歩く。その様子はトッププレイヤーの一人、シンと同じだった。


「真理愛、アリアを最後どこで見かけた?」

「さっきまでいたけど何か気になるものでもあったんじゃないかな? そのまま店内に入って姿が見えないとか」

「あー、アリアだからねぇ」


 そして真理愛の言葉通り、店の中で動き回るカーマインの髪の少女の姿が見えた。


「それでアリア、何に見惚れていたの?」

「えっとね、アクセサリー?」

「いや、それは分かっているんだけど……」


 指輪を見ていた、とは恥ずかしくて言えないアリアであった。


*****


「二泊三日、最後だから今晩は飲み明かそう!」

「未成年だからお酒飲めないけどね」

「あはは」


 4人で笑いながらジュースを飲みながらお菓子を食べ、何でも無いような話をずっと続けていた結果、


「ぅぅ……眠い」

「そりゃあ3時くらいまで起きていたからねぇ……」

「zzz……」

「真理愛、朝だよ……ふぁ」


 誰も眠気を堪えきれず、欠伸をしながらのドタバタの朝となった。そして


「アリア、またいつでもおいでよ」

「歓迎するよ」

「うん、またいつか来るよ。その時は赤ちゃんも一緒かもしれないけどね」

「っ……赤ちゃんはともかく、ね」


 柘雄はアリアの言葉に動揺しながら、何とか口にした。そしてそんな柘雄を見て二人は笑っていた。内心、この旅館の未来が心配になる柘雄、そして


「若旦那もしっかりと後を継ぐんだよ」

「若旦那言うな……継がないってば」

「大丈夫、真理愛ならちゃんと若旦那として後を継げるって」

「継がないって」


 最後までなんだか締まらない別れだった。その後、新幹線に乗った二人は肩を寄せ合いながら、眠っていた。


*****


「そういうわけで伝説に残りそうな装備を創ろうと思うんだ」

「どういうわけか分からないけど……伝説って?」

「ああ!」


 様式美を済ませて


「どんな伝説装備を創るの?」

「うーん、どんな伝説があると思う?」

「えーっと、アーサー王伝説とか?」

「うん、その通りだね。だから7大罪装備を創ろうと思うんだ」

「7……ねぇ。8じゃ無くて良いの?」

「嫌気と悲嘆かぁ……怠惰が代わりに抜けるんだよね?」

「そうよ」


 アーサー王伝説どこ行ったし、マモンは考えながら


「それぞれにあった特徴を付けるの?」

「出来るならそのつもりだけどね……難しいと思うんだ」

「ほう?」

「だから名前だけそれっぽくしてステータスだけを高める!」

「……それで良いの?」

「うん、良いの」

「それ別に大罪装備じゃなくて良いよね?」

「まぁねー」


 そういうわけで大罪装備を創ることにしたのだが、そこでアリアの手が止まった。何故ならば


「恐怖って大罪にあったよね? 9大罪に」

「あった気がするけど無かった気もするよ」

「そういうわけで創ろーう! まずは《カースインゴット》!」

「おー! 早速装備に呪いが付いちゃう素材だぜ!」

「それに《呪いのお札》!」

「おー! さらに装備に呪いが付いちゃうぜ!」

「そして締めには《デモニックパウンド》!」

「おー! 結局装備に呪いしか付かないぜ!」


 マモンはノリノリに言っているが、全て呪いの効果が違う。《カースインゴット》を使って創る武器は攻撃する度に体力が半分になり、防具は毎秒100単位で体力が減っていく。《呪いのお札》を武器に使えば相手に攻撃する度に自分のレベルが100下がり、防具に使えば全ステータスが10分の1になる。そして極めつけの《デモニックパウンド》を武器に使えば装備した瞬間、口以外の体が動かせなくなる。防具だと……装備した瞬間、全損する。

 呪いのアイテムや素材は《銀》や《聖なる~》シリーズなどの道具と一緒に創らなければ、完全にネタ装備にしかならないのだ。だが


「素材が分からないし、呪いって書いてあるだけだから内容はさっぱり分からないよね」

「さてと、《呪い》を打ち消すための素材は何にしようかなーっと」


 くるくる回転しながらアリアはアイテム欄を眺めて


「倉庫にあるかなー?」

「無いと取りに行かないといけないじゃん」

「カセドラルで稼げたよね?」

「そうよ。後はテンプル系ダンジョンとか」

「神殿もだね」


 某伝説ゲームでは神殿はダンジョンだ。ソーニョはそれを踏襲しているのか、神殿や寺、聖堂すらダンジョンにしてしまっている。


「あ、《逆転の粉(リバースパウンド)》が結構在庫あるねぇ」

「使っちゃうの? あれ、《逆さ時計》のレアドロップでしょ?」

「まぁそうだけどさ。在庫で40スタックあるし」

「なんでやねん」


 ドロップ率1%なのに、とマモンは戦慄する。同時に10体以上出現し、一体でも倒しきれないと時間が巻き戻され、全てが生き返る。そんな鬼畜モンスターなのだ。


「まぁ、僕にかかれば余裕だし」

「そう言えばそうだったね」


 目の前の少女が《最強》だったのを思い出した。


とりあえず単位は落とす

留年しないように祈ってください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ