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誕生日やらクリスマスやら

『デュエルモード、オン。オートパイロット、スタンバイ』

「「ライディングデュエル、アクセラレーション!」」

「あいつら何やってんの?」


 バイクに乗って、いつの間にか作られていた空中サーキットを爆走する二人をぼんやりと眺めていると


「飛翔せよ、ひよちゃん!」

「迎え撃て、カゲオ!」

「そこまでの再現は出来なかったのね……」


 レヴィは少し、残念に思いながらレモングラスをアヤに渡す。そして


「ん、美味い」

「なら良かった」

「……あのバイク、いや、Dホイールに乗っているのってアリアたちか?」

「そうよ……まったく、きちんとモンスターを実体化させないなんて何を考えているのかしら」

「そこじゃねーだろ」


*****


「おいで、ひよちゃん」


 アリアは丸くなり、背中にひよちゃんを捉まらせる。するとひよちゃんは何を思ったのか翼を広げ、飛んだ。当然、掴まれているアリアは浮いて


「楽しーぃ!」

「何しているのかの説明無しでそれをされると撃ち落としたくなるんだけど」


 マリアが籠手に番えた矢を向けてきた。そして躊躇無くアリアの顔を狙う。だが――アリアも然る者ながら、口で噛んで止めた。が、毒が塗ってあるため


「変な味がするよぅ」

「あはは」

「マリア、アリアを虐めちゃダメだよ。ほら、降りておいで」

「はーい」


 お母さんみたいな態度で両手を広げるアジアン、そしてひよちゃんは足を離してアリアを落とす。それは見事にアジアンの腕の中に落下して、キャッチされた。


「ナーィスキャッチ」

「いぇー」

「仲良いねぇ」

「だってアジアン、優しいもん」

「だってアリア、可愛いし」


 似たもの同士だなぁ、とマリアは思っていた。そして――11月が終わった。


*****


「12月の17日はアリアの誕生日よ」

「いや、知っているけど……それで?」

「察しの悪い……デートぐらい誘いなさいよ?」

「あ、もう約束しているんだけど」


 亜美は愕然とした。我が弟ながら、かなりの手の速さだ。そんな風に戦慄していると


「冬休みも一緒に旅行するし、色々と予定があるんだよ」

「旅行? 国内?」

「そりゃあね。僕はパスポートを持っていないし」

「あら、そうなの? 作っといた方がいざって時に慌てなくて済むわよ」

「うん、そうだね」


 いつか、いや、卒業したら作ろうと思った。アリアのことだ、すぐに海外に行くようなことも増えるだろう。その時に、一緒に……


「柘雄? 顔が異常なまでに気持ち悪いんだけど」

「失礼な。お姉ちゃんだって変な顔ぐらいなるでしょ」

「そりゃなることもあるかもしれないけど……良いじゃないの、別に」

「じゃあ僕も良いじゃないか」

「ダメよ」


 柘雄は不条理を感じながら、小さく嘆息した。そして


「とりあえず風呂に入っても良い?」

「ダメよ」


 洗面所の前で立ちはだかる姉に、深いため息を吐いた。


*****


「アリアちゃん、昨日のデートはどうだったの?」

「秘密―」


 にへらにへら、と頬を緩ませまくっている妹を眺め、シェリルは深呼吸クラスのため息を吐いた。誕生日プレゼント的な物を贈るべきなのか、と思ったけどそんな顔を見ると上げる気が失せた。だがアリアはそんなことに気付かず


「シェリ姉、とりあえず朝ご飯食べちゃってよ」

「はいはい」


 もう冬休み間近、色々と予定を入れるべきかとシェリルは思っていると、エミが見ているテレビニュースで見覚えのある顔が映っていた。


「あら、アリアちゃんが映っているじゃないの」

「お? 本当だねぇ」

「あ、エカテリーナに斬られている」

「嘘ん!?」


 思わず、といった様子でアリアがテレビを見る。その勢いは首を痛めそうだなぁ、とシェリルが思っていると


「おふぁよー」

「あら、お母さん。おはよう」

「おはよー、おかーさん」

「おっはよー!」


 三者三様、と言わんばかりの挨拶に眠そうな母親は欠伸混じりに微笑んだ。そしてテレビを眺め、笑顔と分かるそれになった。そして


「シェリちゃんたちもテレビに映っているのね」

「そうよ」

「そうだよー」

「あらあら。楽しそうねぇ」

「まぁ、楽しいわよ。エミもそうでしょ?」

「うん!」


 笑顔の娘三人と母親、朝の二階堂家は眠っている父親以外が楽しそうに笑っていた。


*****


「クリスマスってさ」

「うん」

「本来キリスト教徒な皆さんにしか関係ないんじゃないのかな? 少なくとも私には関係ないと思うんだ」


 アリアの言葉に少し反応に困る。確かに僕はキリスト教徒では無いし、アリアもキリスト教徒ではない。それどころかここにいる全員がキリスト教徒じゃないらしい。ジャックもだ。


「しかしあのアリアももう14歳か、随分と大きくなったな」

「むぅ……髪をわしゃわしゃしないでよ」

「ははは、悪い」


 ジャックは大して悪いとは思っていないような口調でアリアの頭を撫でた。柘雄はそんなやり取りを穏やかな気持ちで眺めていた。すると


「あぁもぅ! お兄ちゃんのばーか!」

「はは」

「え、お兄ちゃん?」


 初耳だった、そう思っていると


「柘雄、気にする必要は無いぞ。あれは昔からの関係だからな」

「そうなんだ?」

「ああ。200話を読めば大体分かる」

「……機会があれば」


 メタい台詞に柘雄が苦笑する。するとその背後から魔の手が迫った。


「っ!?」

「つーげーおー!」

「っ!? 直美!?」

「それでアリアちゃんとのデートでどこまでいったの?」

「どこまでもいっていないよ……」


 柘雄の言葉に直美は詰まらなそうに舌打ちをする。ホテルに連れ込まれ、押し倒されたり色々あったけど、その先にもいったけど過去にも至った地点なので、いう必要は無いだろう。


「良いけど、避妊はしたの?」

「っ、したけどどうしてそれを?」

「アリアちゃんから柘雄の匂いがするし」


 思わず距離を取ろうとした。だが逃げようとした方面に、直美が一瞬で回り込んでいた。


(直美は本当に人間なのか!?)


「したんでしょ? きちんと避妊はしないといけないわよ」

「わ、分かっているよ……でも、アリアは……」


 避妊具を付けないで良いと言ってきた。さすがに中学生で妊婦はまずいので断ったが……そう言うと、卒業後なら良いんだね、と言質を取られてしまった。


「意外と策士なんだよなぁ……」

「だってリアルのアリアちゃんは頭が良いし」

「あ、そうだね」


*****


「飛天連脚!」

「ふ、甘い」


 アリアの高速の蹴りが直美の手に受け止められる。連続の蹴りが次々と受け止められるのにアリアは舌打ちをして


「一体全体、どうしてこんな目に?」

「あら、誕生日やクリスマスでテンションが上がりまくっているお馬鹿娘の頭を冷静にさせるためよ」

「本当にそれだけなら感謝だけど」


 アリアは両手を広げ、いつでも仕掛けられるようにしていた。だが直美に隙はない。いつどこから打たれても反応できる、そんな超人的な人間だ。


「直美って本当に人間なの?」

「ふふん、サイボーグよ」

「奥歯の加速装置でも噛みしめなさいよ」


 アリアの舌打ち混じりの言葉に直美は高笑いをする。その顔面に向けられる拳、それは直美の手の甲に逸らされ、薄い胸を押され、後ずさった。


「それで、どうしたのよ」

「何が……?」

「何に悩んでいるのよ。かなり、情けない顔をしているわよ」

「……柘雄をさ、押し倒しちゃってさ……」

「あぁ、やっぱりアリアから手を出したのね……それで?」

「我慢が、自制が出来なかった……」

「それで?」

「それでって……私は「困っているの? 情けない自分が嫌なの?」


 アリアは目を閉じて、頷いた。だからその頬を全力の100分の1くらいで引っぱたいた。


「そんなの人間だから常時発情期で良いのよ」

「それは良いの!?」


 アリアの突っ込みが直美のツボにはまったのか、しばらく直美は笑い続けていた。


無宗教の孤面の男にとってはクリスマスがイエスキリストの誕生日というくらいしか知らないのでなんとも書けないのだ


アリアちゃん大胆だなー、と、他人事のように思って柘雄をキャラとして消そうかと迷ってしまった


次回は年末年始辺り?


300話が近いのに気付かず、なんの準備もしておりません

なので普通に更新します

大学のテストが近いのです

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