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文化祭

 アリアがギターをかき鳴らす。その様子は少し手慣れて見える。


「うん、どうだった?」

「意外と悪くないわね」

「及第点かな」

「ダメダメだよ」

「きりが酷い!?」


 アリアの言葉に朝日はよしよし、と頭を撫でることで宥めて


「才人、次は才人の番よ」

「うん、分かっているよ……あのさ、終わったらだけど提案しても良い?」


 才人の言葉に三人が頷いて――才人は演奏を終えた。結構しっかりとしているのに驚いていると


「僕もそうだけどさ、みんな演奏できる環境が少ないよね? だからさ、三人も知っていると思うけどVRで一緒に練習しない?」

「VR……ってもしかしてソーニョ?」

「なんだ、きりもしているんだ。だったら話は早いね」

「……ごめん、ちょっと待って。まだなんだか着いて行けてない」


 眉間を揉む朝日、それを三人は眺めていると


「ソーニョってあれだっけ? アリアがしているゲームの名前だっけ?」

「そうよ。でも才人、どうしてソーニョなの?」

「それはギターを創れるプレイヤーがいるからだよ」


 え、そんなプレイヤーいるんだ、とアリアは驚いていた。が、才人ときりは深いため息を吐いて


「もう、何も言わないよ」

「そうだね、言っても無駄そうだし」

「え? え? どういうこと? 私の知り合いのプレイヤー?」


 戸惑うアリアをおいて状況は進んで――


「それじゃ、今日の夜9時から練習だよ。遅れないでね」

「えと、うん。分かった。とりあえずデバイス引っ張り出してから調べてみる」

「出来なかったらアリアを頼ってね。私たちにはどうしようもないから」

「あ、うん。そうする」


 才人と朝日はさっさと逃げていった。それにアリアが何か言おうとする前に二人はさっさと生徒会室から出て行った。


*****


「うん、やっぱりどれだけ考えてもおかしいよ」


 どうして才人は僕ときりがソーニョをしていると知っているんだ。そこがどうしても胸に引っかかる。直美が聞いていたなら「引っかかる場所はない」と満面の笑みで良いそうだ。


「それはさて置いて――リンクイン」


 切り替わる感覚は希薄になっていた。元々が一つの人格なのも含めても、だ。だけどそれは自分ともう一人の彼女、そしてオバマの存在を身近に感じるというのが大きいだろう。だからこそ、少し怖い。本来なら存在しないそれらを平然と受け入れている自分が。


「まぁ、あの馬鹿が私の本質かもしれませんけどね」


 アリアは少し息を吐きながら、カーマインブラックスミスの床を踏みしめていた。そして


「俺の歌を聴け!」

「どうしたのさオバマ」

「いえ、アリアがギターに嵌まっているようなので真似してみました」

「……なんでチョイスがマクロス」


 アリアはため息を吐きながらギターを構える。それにオバマも頷いて構えた。ちなみにアリアの背後でマグナはドラムをするつもりだった。


「で、シェリ姉はどうして何も構えていないの?」

「なんで演奏に巻き込む前提なのよ。私、しないからね」

「あ、うん。別に良いよ。それよりもきりたちを迎えに行かないといけないんだよね」


 アリアはそう言いながらメッセージを送って


「それじゃ、始めようか!」

「「おー!」」


 その後、きりたちが来るまで三人のセッションは続いた。


*****


「やっぱりアリアは世界最強のプレイヤーだったんだね」

「それを言うなら才人がソーニョをしていたなんて知らなかったよ」

「ん、言ってないからね」


 才人はサイトという名前でプレイしている。ちなみに朝日は日の入り《サンセット》、逆だ。


「しかしアリアの作った装備が楽器だなんて誰も想像しないわよ」

「この前アリアの演奏が聞こえてきてね、確証が持てなかったから中々提案できなかったんだ」

「サイト、とりあえず楽器の調子を確かめてよ。いつでも演奏できるようにね」

「ん……いや、ベストだ。これ以上はないな」

「そう?」


 サイトはドラムを少し鳴らして頷いた。そして


「マグナさん、調整ありがとう。助かったよ」

「あぁ、いえ。アリアに貸しを作ったと考えているのでなんの問題もありません。それよりもドラムの手捌きについて後講釈いただいても?」

「俺に出来る範囲ならな。でも専門の先生に聞いた方が良いんじゃないのか?」

「いえ、私には肉体が存在しないので相手も戸惑うでしょう。それよりはサイトの方がかなり良いです……アリア、あなたは何故ギターを逆手に構えているのですか?」

「え、ダメかな?」

「ええ、今にも振り回しそうでかなり怖いです。落ち着きなさい」

「あ、はーい」


 アリアはギターを鞘に収めた。そもそも納まる物なのか、と周囲は戸惑っていたがアリアはそれに気付かず、腰を落として


「いつでも抜けるよ」

「抜いた直後の一撃を受け止められる自信が無い」

「おなじく」

「え、抜くって何を?」

「あのギター、カテゴリー敵には剣なのよね。だから斬られたら当然上半身と下半身が離婚よ」

「え!?」

「ん、最近のブームは縦に真っ二つなんだけど」


 そんなブームは捨ててしまえ、とアリアを除いた全員が思った。そして――


「んじゃ、マグナ。採点よろしく!」

「分かりました」


 仮想で作られたカーマインブラックスミスを再現した空間、オバマとマグナが教導で創り上げた演奏のための空間だった。


「しかし本来ならソーニョのサーバーへの攻撃のような物ではないのでしょうか?」

「気にしてはいけませんよ、オバマ。そもそも私たちは人間ならば犯罪者なのですから」


 二人が現実逃避をしている中、四人は一斉に己の手の上にある(ドラムは例外)楽器を鳴らした。ステータスの割り込む余地のない空間を創り上げたからこそ、ここでなら誰もが同じ条件だ。だが


「最初にアリアから聞いた時は正気を疑いましたね。練習場としてのVR空間を作れなどと、正気の沙汰ではありませんね」

「まぁ、アリアですから。そもそもアリアが正気の時が少ないというか存在していないというか……まぁ、アリアとこれからも付き合って言うのなら、諦めが必須ですね」

「そうですか……ですが私はいつか、アリアの中から消えてしまいますよ」

「その時は私のようにデバイスに住み着けば良いので。もちろんアリアに許可は貰っています」


 用意周到、オバマがそう思っていると、演奏が佳境に入っていた。何故だか分からないけどその場で回転しながらギターを弾いているアリア、それを眺めて顔を顰めているギタリストきり。そして何も見ていないというようなピアニスト朝日とドラマーサイト。普通バンドにピアノはいるのか、と思っていたが誰も突っ込まなかった。


*****


「俺の歌を、聴けぇーっ!」


 アリア手を高く突き上げての声に体育館の中で手を突き上げながらの大きな歓声が湧き上がった。そして演奏が始まった。


「どうよ、私の妹は」

「どうって言われてもね、相変わらず魅力的だよ」

「よくもまぁ、そんな素で言えるわね」

「妻のことだからね、恥ずかしさよりも愛おしいよ」


 マジかこいつ、とシェリルは目を剥いていた。ちなみに今現在、柘雄とシェリルがOBとして文化祭を眺めに来ている、と言う噂が流れていた。大して間違ってはいない。そして――


「二階堂先輩!」

「江利先輩!」


 そうやって言い寄られているのを、至極面倒に感じていた。そして他にも訪れていたOBは気配を消し、こっそりと二人の背後に回り込んで


「やっほー!」

「っ!?」

「え!?」


 二人の首に腕を回す。その気配に気付いていなかった二人は振り向けなかった。そして驚きの声を上げる二人に下手人は笑って


「伝説の生徒会長、松本直美でーす」


ようやくつり乙2をクリアしました

コレでのコルははつゆきさくら、涼風舞風のメルト、運命線上のφだけですね(多い)


とりあえず次回は文化祭の続きになると思います


あー、感想欲しいなー、誰かくれないかなー


クリストロンファントムナイツというデッキを考えつきました

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