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ダークアリア

 アリス、マグナ、オバマがこれからアリアに挑む。だが三人の意識はかけ離れていた。

 アリスがアリアに挑む理由は過去の清算、あの頃からどれだけ変われたのかを知るためだ。

 マグナがアリアに挑む理由は単純明快に、ライバルのような意識があるからだ。だが勝てるとは思っていない。

 オバマがアリアに挑む理由は実は存在していない。言うなれば自分の他の人格がどれほどのものなのか、知りたかっただけなのだ。


「アリア」

「どうしたの?」

「あの時、戦ったのを覚えていますか?」

「どれの戦いか分からないけど……うん、多分で良いなら予想は出来たよ」

「あの時から私がどう変わったのか、どれだけ変われたのかを見てくれますか?」

「うん、構わないよ。でも、アリス」

「はい、なんでしょう?」

「見るまで、待たないよ」

「分かっています!」


 返事は鞭と共に。しかしそれはアリアの体を打つ、と見せかけてその手に巻き付いた。思わずガッツポーズをしそうになるアリスを尻目に、アリアは全力で鞭を引っ張った。

 引っ張られた鞭、それは鞭を持っているアリスの体ごと、アリアの思い通りに引き寄せられるが


「《ウィップシールド》! 《ウィップソード》!」

「うりゃ!」


 鞭の盾がアリアの拳を受け止め、鞭の剣が剣と斬り合った。本来ならば押し負けるはずなのだが、何故か押し負けていない。アリスがそれを不審に思いつつ、距離を置いて


「《バインドスネーク》!」


 地面スレスレを這い、相手の足を縛り付けて身動きを取れなくさせる。そのはずだったが


「そのスキルは他の者に巻き付かせれば大丈夫っと。この程度じゃ全然強くなったなんて言ってあげられないよ?」

「ええ、分かっています! 《ソーンウィップ》!」

「む」


 それは受け止めただけでもダメージを受ける鞭、それをアリアは直感的に理解して地面を蹴った。距離を置いて避けようという算段だったのだが


「《ウィップサーペント》!」

双鞭ソウベン!? いつのまに!」

「昨日アリアに装備を創ってもらったじゃないですか、あの時からですよ」

「マジかー」


 腕に巻き付いている鞭を眺め、アリアは嘆息した。その鞭に殺傷性はない。あるのは劇毒だ。だがアリアはそれに気付いているはずなのに焦らない。何故なら、アリアの身につけている装備には《状態異常無効》が付与されているからだ。

 そしてアリアは腕に巻き付いている鞭を引っ張り、アリスの体を浮かす。そのまま自分の近くまで引っ張って


「《ウィップシールド》! え!?」

「貫手はその程度じゃ止められないよ」


 そんな馬鹿な、とアリスは思いながら――心臓が貫かれる感触と共に、光となった。


*****


「アリア」

「どうしたの?」

「この勝負、正々堂々とは戦いませんので、悪しからず」

「んー、別に良いよ。その程度じゃ僕には勝てないからね」

「では、行きます!」


 マグナの握る両の銃から弾丸がばらまかれた。それはアリアに向けて飛来するが


「逆巻く銀河を貫け! 《タキオン》!」


 そのスキルは単純明快な高速の突き。それがアリアの異常なほどまでのステータスで放たれれば


「っ!?」

「あ、外した」


 地面に大きな亀裂が産まれた。本来なら傷つけることですら容易ではないのに……、とマグナは冷静に、しかし小さくない動揺を抱きながら眺めていた。そしてそのまま、銃を

構えて


「改めて名乗らせていただきます」

「ん?」

「第一次全統合意識《AI》にして全てを知る者(データベース)、マグナ」

「……誰よりも強き者(世界最強)、アリア」


 アリアは両手で握っている剣を、肩に載せて目を細める。そして


「マグナからで良いよ。先手を打ちなよ」

「シェリルにその優しさはなかったのですか?」

「だって昨日シェリ姉が!」


 そこからアリアが語ったのはプリンを食べられた、と言う話だった。それにマグナは心底呆れていた。ちなみにオバマも呆れていた。


「逆刃刀……ですか?」

「うん、逆刃刀。カッコいいでしょ?」

「まったくもって似合いませんね」

「ええ!?」

「頬に十次傷を付けなさい。それから和服で」


 マグナの辛辣な言葉にアリアは涙目になりつつ、逆刃刀を腰に佩く。そしてそのまま腰を落として


「飛天御剣流奥義」

「アリア……それはちょっとどうかと思いますが「天翔龍閃アマカケルリュウノヒラメキ!」


 この馬鹿、本気でやりやがった。マグナは内心で毒を吐きながら銃を交差させ、受け止めようとした。だが斬れない。逆刃刀だからだ。斬撃のような打撃がマグナの銃を打つが


「生憎と、砕けません!」

「え?」


 アリアは疑問の表情のまま、神速の二撃目を放った。それはマグナの銃を弾くに終わった。


「……」

「……奥義(笑)」

「五月蠅ーい!」


 アリアは目に涙を溜めながら、地面を蹴った。そして笑いを堪えきれず、ニマニマと笑っているマグナの懐に飛び込んで


「《壱の剣》!」

「珍しく中二ネーミングでない!?」


 アリアの剣が高速でマグナを斬り、打った。しかしギリギリで割り込ませた銃が一撃を阻んだ。だがマグナの体が高速で吹き飛ばされ、その手に握る銃が砕けた。


「っ!?」

「《弐の剣》」


 両肩が同時に刺し貫かれた。アリアの握る剣は一本なのに、マグナがそう思っていると


「《参の剣》」


 首が背中側から斬られた。一体全体、どうして、と思った。だがその原因は終ぞ、分かることはなかった。


*****


「《肆の剣》」

「《粉骨砕身》!」


 振り下ろされる大きな斧、それに向けてアリアは高速の一閃を放った。だがアリアの握る細い逆刃刀では受け止めるほどの威力は無かった。弾き飛ばされる小柄な体に追撃の斧が投げられるが


「《アークスラッシュ》!」


 咄嗟に体制を立て直し、高速の二連撃。足場のない空中でもシステムのアシストで体は勝手に動かされる。そして――斧は切れなかった。地面に弾き落とされるそれをオバマは掴んで


「え?」


 自分の心臓がない。そう錯覚した。元々無い物なのに、無いと錯覚してしまった。それは仮想の心臓が抜かれたからだ。胸を見下ろすと、ぽっかりと穴が開いていて――肋骨まで素手で刳り抜いたのか、とオバマは戦慄した。


*****


 逆手に握った剣を振り下ろす。そして割れる


「水晶って割りづらいよ」

「普通に斬ったら良いじゃないの。どうしてそんな風にするのよ」

「ロマン?」

「くだらない」


 レヴィはそう言いながら銃弾でカボチャを刳り抜いていく。そして刳り抜いたカボチャの中に蝋燭を立てて


「結局去年と同じ事をするのね」

「んー、だね。でも別に良いじゃない、去年とまったく同じでも」

「そうね」


 イベント内容が虐殺系スローターだったとしても、良いのだ。そんな風に思っていると


「アリアちゃん! 大変!」

「え!?」

「シンが触手責めされてる!」


 何故か歓喜の表情のマモン、そしてそれを眺めてため息を吐くレヴィ。そして肝心のアリアは――無表情だった。


「シンが触手責め?」

「そうよ!」

「それでどうしてマモンはシンを助けないの?」

「へ?」

「どうして助けないの? ねぇ」

「えーっと……」

「ねぇ、聞こえていないのかな? 私は、どうしてって聞いているのよ?」


 マジ切れしているアリアにマモンとレヴィは愕然としていた。ここまで光を失った瞳のアリアを初めて見たからだ。だが、マモンの聞きはそこでは終わらなかった。


「どうして助けてあげないの? ねぇ、ねぇってば。聞いているの?」

「は、はい! 聞いています!」

「聞いています、じゃなくてどうしてって聞いているのよ? 分かっているの?」


 剣を首に突きつけられ、マモンは恐怖の余り涙を流した。


水の神殿に出そう


次回、シンの触手責め関係なく、普通に続くぜ!


暇つぶしを兼ねてc言語でアリアちゃんの物語を作り始めていたり

開幕早々選択肢でエンドになるストーリーを作成中

満足のいく結果になったらどこかで配布するかも?

ただc言語からノベルゲーを作ってもc言語を動かすプログラムを持っている人がどれほどいるやら

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