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最強を目指す者たち

「「「「「やったか!?」」」」」

「なんでフラグ建築をするのよ!?」


 思わずレヴィは呻いた。吹き飛んでいった体が透き通る翼を広げ、体勢を立て直していた。だからそこを狙う。


「《ヴァニタスバレット》」


 消すための銃弾を放ち――当たらなかった。何故ならば、アリアの広げている翼とは別の翼がそれを阻んだからだ。それは純白の翼、天使のような翼だった。


「《アストライアーの慈愛に満ち溢れた羽衣》だよ。正直、使うとは思えなかったんだけどね……うん、やっぱりレヴィも強いよね、改めて思い知ったよ」

「白々しい。アリアの方が私よりも数段強いくせに……まぁ、だからこそ今からぶっ倒すんだけどね」

「あはは、やれるもんならやってみてよ。どれだけレヴィが足掻いたって――僕が、僕たちが《最強》なんだから」


 レヴィは咄嗟の勘で二丁の銃を構えて


「《黒十字ブラッククロス》!」

「《露草》!」


 高速の三連斬、それがレヴィの両手から銃を弾き飛ばした。レヴィは高速の突きでアリアから距離を取ろうとしたが


「生憎と、読んでいます」


 腕が斬られ、続いて首が飛んだ。


*****


「魔王とベル、ジャックとブブ。それにセプトとシエル、シェリ姉にエミ。アリスとマグナとオバマ。11人だけなのね」

「んー、私はこの前、負けちゃったし遠慮しておこうかなって思って。サタンもルシファーも行かないの?」

「僕ら二人が揃っても護りが強くなるだけだからね……」

「攻めるのが強くなるなら挑んでいるんだけどさ」


 サタンとルシファーは自分たちが何故弱いかを理解している。だからこそ、挑もうとしていない。だがエミのようにとりあえず挑む、という気概は持ち合わせていないようだった。


「さて、次は俺だな」

「セプトが僕と戦うのっていつ以来だろうね? 去年くらいじゃない?」

「ああ、それぐらいだろうな。だが俺はいつも、お前に負けている……おそらく、今回も負けるだろうな」

「んー、そりゃそうだよ。だって僕が最強なんだし」

「ああ、そうだな。だが最低でも一撃を加える、その目標を達成する」

「レヴィもマモンも出来たんだからセプトに出来ないわけじゃない、けど難しいと思うよ?」


 セプトは口角を上げ、頷いた。そして振りかぶり、投げた。それを眺め、アリアは剣を無造作に振るったが


「へ? 何このべとべとしているの」

「マリア謹製の《べとべとべっとん》だそうだ。どうやら剣などの刃物から切れ味を奪うと聞いていたが……本当だったようだな。さすがはマリア、とだけ言っておこう」

「んー、それには僕も同意だよ……むぅ、まったく離れないぜ」

「ははは」


 手に絡みついているベトベトなそれをアリアは眺めつつ、剣を手放そうとする。だが落ちない。手を開いたとしても、落ちない。もう、片手が使えないと判断した方が良いだろう。


「まぁ良いさ。片手くらい無くたってセプトになら負けないと思うよ。そう言うわけだから――行くよ、セプト!」

「あぁ、来い!」


 地面を蹴った、とセプトが思った瞬間、アリアの姿は掻き消えていた。どこに消えた、と思う間もなく両肩に軽い衝撃が走った。

 咄嗟に地面を蹴り、距離を取ろうとするも


「何故そこまで差が付くんだ!?」

「さぁね。僕が最強だからじゃないの?」


 両腕を落とされ、さらに跳び蹴り。それを防ぐ手立てはなく――セプトは全損した。


*****


「アリア」

「次の相手はジャック?」

「ああ、そうだな。手加減するなよ」

「やーだーよー。ジャックが僕に全力を出させてくれるなら良いけどさ」

「相変わらずムカつくな……昔みたいにお兄ちゃんって呼んでくれても構わないんだぞ?」

「え?」


 アリアは小首を傾げて


「ジャックには奥さんも娘さんもいるんでしょ? だったら僕が妹って名乗るのは止めた方が良いかなって思ったんだけど」

「それはどういう意味だ?」

「だってもうパパなんでしょ? だったらもう止めた方が良いんだよ」


 アリアは地面を蹴った。そのまま反応が出来ないほどの速度で、ジャックの背後に回り込んで


「《飢えた毒(スターヴヴェノム)》!」

「ち、《悪魔の巣くう漆黒の鎌(パンデモニウムサイズ)》!」


 地面の突き刺された先端から黒い姿をした異形の者が現れた。それは一体では無い。10,20……100体の悪魔だ。そしてそれらはアリアを喰い尽くそうとするが――アリアには届かない。


「《エクスカリバー》!」


 振り下ろした。それは光を放ち、周囲の悪魔を一気に消し飛ばしたが


「《死神の鎌(グリムサイズ)》!」

「にょわ!?」


 高速の鎌の三回の閃きがアリアを襲った。それを眺めていたエミは


「やったの?」


 と、期待していた。だが他の誰もがその結果に納得していた。鎌が閃く度に、アリアの剣により鎌が切り裂かれたのだ。短くなった鎌の柄を眺め、ジャックは深いため息を吐いた。そのまま柄の残骸を放り投げて


「参った」

「うむ、よろしい」

「上から目線だな……お前」

「だって僕が最強だし」


 えへへ、と笑っているアリアを眺めてジャックは娘がこんな風にならないと良いな、と思っていた。だがそれと同時に、これぐらい元気のある子に育って欲しいと願っていた。


*****


「シエルはやっぱり、僕と戦いたいんだね」

「あったり前だ。お前が始めた頃からライバルやっているつもりなんだぜ? アリアにとっちゃ全然違うかもしれないけどよ」

「僕にとっては全プレイヤーが敵でライバルだからね、ライバルだよ」

「そりゃ嬉しいね!」


 シエルの剣がアリアの小柄な体に向けて振り下ろされた。その剣はアリアの身長を軽々と超える長さを誇っていたが


「片手を使えなくたって僕は負けないよ。シエルだって全力を出してよね」

「片手封じられていてもハンデの一言で終わるのかよ? そりゃ不愉快滅法だぜ」

「あっはっは」


 アリアは受け止めていた剣を振るい、シエルを自分から離した。そして握っている剣を逆手に持ち、背中に峰を当てた。軽く反りがあるため、首に刺さりそうになるのを微調整して


「その剣の名前は?」

「《全てを打ち砕く神(オベリスク)と災禍の混沌幻魔アーミタイルの剣》」

「かっけぇな!」

「でしょ!」


 親指を立てて頷く。それにシエルも親指を立てて応え、その両手で二本の剣を握った。


「《カーディナルボルケイノブレイザー天魔龍皇災禍の併せ》だっけ?」

「ん、ああ。まだお前に創ってもらったあの剣だぜ。覚えているか?」

「覚えているし、忘れないよ。僕が最初に全力で創り出した剣だよ」

「そうか……そうだったよな。んじゃこっちは?」


 シエルの構えたもう片方の剣は


「《模倣悪魔龍皇剣レプリカントソード》でしょ。最近創ったんだから忘れるはずがないよ」

「おお、良く覚えていたな」

「むぅ、どういう意味さ」

「まんまの意味さ!」


 一閃が二つ、都合二閃。アリアはそれを正面から斬りつけることで受け止め、相殺した。さらに続けて真下から蹴り上げたが


「うっわ、重いなぁ」

「はっ!」


 振り下ろし、横薙ぎ、切り上げ、回転斬り、連続斬り。アリアはそれを全て剣一本で斬り、弾き続けている。そしていつしか、護る側と攻める側が切り替わって――


「あぁ、やっぱ強えわ」

「でしょ?」

「でも次は負けねー」


 シエルは良い笑顔で言い切った。


*****


「で、次は俺なのか? ぶっちゃけ俺はあんまりアリアに勝ちたいって思っていないんだけど……」

「私たちが負けたんだからベルも負けなさいよ」

「そうよそうよー」

「勝ったら何かご褒美上げるから―」

「そうよそうよー」


 単純な欲望で、ベルはやる気を出した。


残るは魔王と、ブブ。シェリ姉にエミ。アリスとマグナとオバマ


今さらだけどさ、作者ってネーミングセンスが壊滅的ですよね

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