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七龍獅子剣過剰駆動形態

「《七龍獅子剣セブンスドラゴニックライオネルソード》はその名の通り、七属性の龍とレグルスの素材を使った立派な剣だ。アリアが、世界最高峰の鍛冶師が創り上げてくれた剣だ」

「それが……なんだと……?」

「だからこそこの剣を受け止められる者はいない。アリアですら避ける」


 そもそもアリアは剣を受けたりはしない。その真実をサタンは口にせず、両手で剣を握りしめた。そのまま体勢を低くして、背負うようにして構えた。そして――


「行くぜ、ジェーンとやら。この一撃は、受け止めらんねぇぜ!」

「ちょ


 確か剣が虚と現世の剣とか言っていたか? いや、言っていなかったか? まぁ、どうでも良い。ただ、何も考えずに高速で振り抜くだけで良かった。だって、それだけで終わったのだから。


『一撃! 圧倒的だ! さすがは最強ギルド、《魔王の傘下》の先鋒! 二人揃っての全力ではどれほどのものなのか!』


「……プレイスタイルが変わるだけっつーの」


 ルシファーと共に戦うのならば、互いの護りがメインとなる。一人だから自分を守れない、そんな弱点を晒さないために、最初っから最高の一撃を放ったまでだ。そしてそれは弟に見透かされていたようだ。にやり、と笑っている顔が無性に腹立たしかった。


*****


「兄さんは一撃で終わらせたからさ、僕もそうしなきゃいけないようなプレッシャーを感じるよ」

「それは私を一撃で仕留める、と言うの?」

「ま、そうなるね」


 ルシファーは槍をくるくる、と回転させている。遠心力を乗せたその槍は、もはや目で追える速度では無かった。ちなみにルシファーは目視する必要が無いから、片目を閉じ、背に回した手で回転させていた。


「あなたが攻めてきた時こそ、あなたの敗北です」

「――なればこそ、私はそれを突き破る! 《プラーミャ()》、《解放リベレイション》!」


 握っている槍が炎となった。しかしその持ち主はダメージを受けていない。外見だけで攻撃範囲は変わらない、そんな風にルシファーは腰を落としながら判断し――


「《魔王の傘下》が一人、《剣槍弟》、ルシファー。押して参る」

「《雷鳴鳴り響く天門》が一人、属性が一つ、《炎》のケイレン! 貫き通します!」

「いつでもどうぞ」


 ルシファーの言葉にケイレンは気付いた。反撃カウンター狙いなのだ、と。だからこそ背に隠すようにして槍を回転させているのだ、と。回転を乗せた打撃を放つならば前面で、もしくは横で回転させるのが良いはずだ。そう考えると反撃カウンターに対する反撃カウンターで良いだろう、そう判断できた。だからこそ、地面を蹴って突く、と見せかけて――


「……何故!?」

「別に両手で槍を使っているわけじゃないんだよ」


 剣が脇腹に刺さっていた。それに動揺し、突きが放たれてしまった。フェイントのつもりだったのに、と思っていると


「あ、これじゃ一撃じゃないかも」


 心臓が刺し貫かれた。


*****


「別に一撃必殺である必要は無いよね?」

「俺がやったんだから弟のお前も続けよ」

「断る」


 兄弟喧嘩が勃発している中、次は誰が行くか、と話し合っているとアリアがブブを指差して


「んじゃあ次はブブが行ってよ。ブブなら負けないでしょ」

「負けないだろうが……その言い草だと負ける相手もいるようだな」


 誰のことだ、とブブは周囲を見回した。アリア以外の全員が顔を背けた。アリアはふふん、と平らな胸を張った。それにブブが苦笑しながら腰掛けていた切り株(出来立て)から立ち上がり、歩く。そして少し離れたところで振り向いて


「アリア」

「んー?」

「人に指を指すな」

「はーい」


 絶対に真剣に聞いていないな、と思いながらブブはゆっくりと歩く。まだ槍は抜いていない。二本とも、抜いていない。だからこし、相対した時、相手は


「真面目にやる気はあるの?」


 と、少しイラッとしたような表情で言った。それにブブは何を言っているんだ、と返し、


「っ、ムカつく」

「そうか」

「……《雷鳴鳴り響く天門》が一人! 属性が一つ! 《風》のセイラン!」

「《魔王の傘下》が一人、《双槍》のベルゼブブ」

「《ウィンドソードレイン》2048!」

「む?」


 いきなりの風の剣の雨、それが2048セット放たれた。それにブブが少し困りながら槍を抜こうとした……が


「おや?」


 剣で斬りかかってきていた。少し戸惑いながらそれを避けて槍を抜き、刺し貫こうとしたが上空から降り注ぐ風の剣が降り注いでいた。だからそっちを避けることに専念した。ちなみに全てに被弾すれば全損するが、100や200程度なら受けても体力は余裕がある。しかしブブはそれに気付いていながら、二人がノーダメージで勝っているのに続こうとしていた。


「やれやれ、至極面倒だな」


 避けながら攻撃を仕掛けるのは無理ではない。だが、相手が動き回っている、自身の剣に刺し貫かれながらも動き回っているのは何故か、と考えながら避けていた。実は攻撃するつもりはあまりなかった。


「曲芸としては愉快だが……この程度なら槍を抜くまでもないか」

「舐めているのですか!?」

「いや、測っているだけだ」

「謀っている?」


 一体何を、と思っているセイランは見当違いだった。だがあながち間違いでもなかった。ブブが何かを企んでいるのは確かだったのだから。


「《ウィンドスピアレイン》2048!」

「ここだな」


 ブブは唐突に前に出た。それはセイランの背後から次々と射出される槍を避けながらの高速の前進、それにセイランが戸惑いながら剣を振ろうとしたが


「え!?」

「生憎だがその腕は無いぞ?」

「なっ!?」


 斬られたことにも気づけないほどの高速の斬撃、それをブブは続けて放ち、槍を背中の鞘に収めた。そしてそのまま、セイランに背中を向けて自陣へと歩みを進めた。


「隙あり!」

「……その姿のお前の方が隙だらけだがな」

「え


 上半身と下半身、右半身と左半身が綺麗に別れている。4つに切り分けられているセイランは何が起きているのかも分からず――光となって消えた。


「主命通り、全力を尽くさない程度の実力を出してきたが?」

「ああ、ご苦労。だが俺が望んだ通りにはならなかったな」

「ははは」


 ブブはそう言いながら切り株に腰掛けようとし――そこに座っていたルシファーを眺め、ため息を吐いた。そしてそのまま槍を振るい、もう一つ切り株を作り、そこに座った。そして目を閉じて


「次はアスモが良いだろう。いや、ベルたちか?」

「あー、いや。ここらで一戦負けといた方が面白そうだし俺が行くよ」

「無様に負ける姿を眺めておくとするか」

「それも良いだろう」


 魔王は笑いながら許可を出した。それにアスモはにやり、と笑って切り株を立った。そしてそのまま歩いて行って


「《魔王の傘下》が一人、《魔法剣士》兼情報収集担当のアスモデウス。よろしく頼むぜ」

「《雷鳴鳴り響く天門》が一人、属性が一つ、《氷》のヘレン。情報収集担当ということは立場は低く、実力も低いのですか?」

「立場はともかく実力は折り紙付きの最低だぜ?」

「……立場は高いのでしょうか?」


 そこを気にするのか、とアスモは思いながら、腰の剣を抜いた。

タイトルに溢れ出る中二病感


次回、まだまだ続くよ決勝は!


もう梅雨やだ……学校行きたくない

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