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アリシア

「アリア、洗濯物を取り込んでおいたよ」

「あ、ありがと。もう夕方なんだね」


 アリアは夕焼け空を眺め、目を細くする。そのまま少し笑って


「そろそろ晩ご飯にしようか」

「そうだね、お腹も減ってきたし」


 アリアはノリノリで着替える。髪を一纏めにし、裸エプロンになったアリアは一回転して


「どう? 可愛い?」

「うん、可愛いよ」

「エロい?」

「……うん、エロいよ」


 苦笑しながら柘雄は褒める。それにアリアは顔を綻ばせる。そしてアリアのおしりが揺れながらの調理、柘雄は窓の外の夕焼けから明日は雨かな、と思っていた。だが雨なのは朝焼けである。


(しかし綺麗だなぁ)


 アリアの肌はつるつるで柔らかそうだ。尻派の柘雄はそこに惹かれる物があるが対象がアリアということがあって別段、何も感じなかった。結局のところ、二人の間で性的な行為をしようとする欲望すら芽生えていなかった。

 アリアは調理を終えた後、わざわざ着替えてTシャツと短パンに。そして髪は一纏めにしていた。そのまま二人で向かい合って食事をしていると


「それじゃあこの後、どうするの? 食器洗いをしたら、お風呂にする? それとも私?」

「どっちもにしておこうかな」

「ぅにゅ?」


 アリアと一緒にお風呂に入る。部屋は広いのに風呂は狭い、これはアリアの望んだことだ。そしてこの部屋を借りているのはアリアだ。だから柘雄は何も言わないし、なんの文句も抱いていない。それはアリアも同じだった。

 お互いの体を洗い合い、体を流して湯船でのんびりする。温かいのはお湯か、それとも柘雄か。アリアがそういう風に思っていると


「アリア、アリアは子供は欲しいの?」

「ん? あ~、うん、欲しいよ。でもまだ二人っきりでいちゃいちゃしていたいなぁ」

「そっか」


 柘雄は望まれればそういう行為をしないといけないと思っていた。だからこそ、少し安堵していた。


*****


「リンクイン」


 目を閉じる。私から僕に切り替えて――切り替わった? なんだか違和感があった。体が思ったように動かない。

 思わず鏡を見て体の不調を確認すると


アリアじゃない……!?」


 そこに映っていたのは蒼い髪の少女だった。どうして、なんで、


「アリシアが……!?」


 慌ててログアウトする。そしてそのままログインするためのパスワードとアカウントに間違いが無いのを確認して


「っ!」


 今度こそ、と思ってログインボタンを押した。そのはずなのに――アリアじゃない。アリシアだ。

 一体全体、何が起きているのか。アリアはそう思いながらとりあえず辺りを見回す。まずはカーマインブラックスミスに行かないと、そう思ったけど


「……ここは、どこなの?」


 一切合切見覚えのない暗い森。空を覆い隠すほどの大量の木が生えている。そうだ、ここは確か攻略する価値が無く、マッピングもモンスターのデータも無い、ある種の危険エリアだ。

 手持ちの装備は頼りない、そして何故か周囲に他のプレイヤーはいない。何故かって得が無いからだ。そう思いながらアリシアはとりあえず剣を取り出して


「何が原因か分からないけど……バグ、だよね?」


 位置情報にプレイヤーデータがバグった。そう思いながら誰かしらにメールを送ろうとするが


『送信先のプレイヤーデータが存在しません。もう一度ご確認の上、送信してください』


「え……嘘、どういうこと!? マモンのデータが無いの!?」


 思わず連打してしまう。しかし何度も同じメッセージが表示される。戸惑いながらレヴィに、エミリアに、そしてシンにメールを送ろうとするが全てエラーだ。


「……そうだ、ログアウトっ!」


 咄嗟の発想にしては悪くない、アリシアはそう思いながらメニューを開いてログアウトボタンを叩いた。しかし――


無反応だった。


*****


 まぁ、デバイスを脱がせれば目覚めたんだけどね。私はそう思いながら戸惑っている一人きりの少女を眺める。

 もっともデバイスを無理矢理外した際、アリアの精神がどうなるかは分からないけど。そう考えると少し申し訳ない気もするが……アリアに勝つためだ。そう自分に言い聞かせながら繋げていた糸の本来の繋がる先に意識を向ける。そこには彼女がいる。彼女なら、そう遠くないうちに私のしたことに気づくだろう。だから


「……急いで書き換えましょう」


 存在の無いイベントが創り出され、開始された。


*****


「アリア、来ないなぁ」


 シンがそんな風に呟きながらカーマインブラックスミスの中を歩く。色々とある装備の造形はアリアの趣味丸出しの中二感溢れる感じだ。それを微笑ましく思いながら歩いていると


「……?」


『緊急イベントが開始されました』


 唐突な通達、確かにそれは緊急って感じがするけど……おかしい。こんないきなりのイベントが起きたことは今までに無い。だからシンはメールを送った。これに関して何か情報を持っていそうな三人に。


『シン:今回のイベントについて何か分かる?』

『エミリア:うちの部署には流れてきていない情報よ。そもそもそんなの、通達がいきなりっておかしいでしょ』

『セプト;一旦ログアウトして確認してくる。何かあったらメールで報告しろ』


 メールを送った直後にチャットルームに誘われた。そしてジャックはログインしていないのが分かった。シンは少し、不安を感じながらアリアにメッセージを送ろうとしたが……


「アリアが、ログインしていない?」


 メニューを開き、ログアウトしようとしたが


(アリアならきっと、何かトラブルに巻き込まれている。ログインできず、僕を起こすことも出来ないのなら……機械関係のトラブル?)


「マグナは……どこにいる?」


 カーマインブラックスミスの中を見回しても彼女の姿は無かった。


*****


「っ!」


 糸で周囲のモンスターを薙ぎ払う。しかしダメージは軽微、二桁にも上らない。思わず舌打ちしつつ、アリアは自分のステータスを思い浮かべた。strもagiも本来の自分(アリア)に比べればダメダメなそれ、そんなものじゃこのエリアを脱出することは出来ない。


「ぬぁぁぁっ!」


 一気に糸を木の枝に巻き付けてそれを使い、木の幹を駆け上がる。さらにそのまま木の枝から木の枝に飛び移っていると


「……なんだろう、なんだか違和感が……あ、マグナの気配?」


 異質な、マグナにしては冷徹な気配があった。そしてそのマグナは程なくして私の目の前に現われて――


「あなたには負けたくない。あなたには負けない。だからここは通さない」

「え……? 何を言っているの?」

「だから私はあなたを倒す!」


 瞬間、マグナの手に一本の長剣が握られた。そしてそれは真っ直ぐに私の頭に振り下ろされた。思わず地面を蹴って避けようとしたが


「っ!?」

「……そのステータスでは反応できないはずですが」

「え……何を言っているのさ!?」


 マグナは何も答えず、剣を両手で不格好に構えた。そして無造作に振り下ろしてきた。避けられない。ダメージを受ける。


「その防御力を突破するには難しいですね……まぁ、何度も斬れば良いですよね」

「マグナ……一体何を言っているの!?」

「そいつは私ではありませんよ」


 もう一つの、声が聞こえた。

『アリシア、忘れられた乙女』って書くとなろうにありそうなタイトル


それはさて置き読者の皆様には何が起きたか分かりますかな?


つり乙2のCGが四つほど回収終わっていませんがクリアと見なしてもよろしいでしょうか?

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