ご両親に挨拶を
「アリア、そろそろ落ち着きましたか?」
「むぅ」
アリアはエカテリーナの胸に手を伸ばし、払われる。伸ばし、払われるを繰り返していた。なんとしてでもあの現況を、と思ったのだがエカテリーナは思った異常に反応速度が高い。
「ぬがーっ!?」
「アリア、そろそろ行きますよ」
「むょょょょーっ!?」
襟を掴まれ、アリアが持ち上げられる。それに両手両足をばたつかせるがマグナの長い手にしか当たらない。
「エカテリーナ、もう行きましょう。これ以上アリアを甘やかすのは良くないでしょう」
「そうですね。とりあえずアリアを運びましょうか」
「僕は荷物じゃないよ!?」
アリアがぶらぶら、と揺れている。その様子を眺め、エカテリーナは相変わらずというか、変わっていないと思った。可愛いところも、やんちゃなところも、お馬鹿なところも。
*****
アリアの剣がエカテリーナの剣を切り裂いた。さらに続けてその胸をもう片手の剣が切り裂いた。そしてそのまま心臓を刺し貫いて、光となって消えたエカテリーナを無視して違うエカテリーナと斬り結ぶ。
「ここが私のダンジョンの最難関にしてラスボス、無限の私ですわ」
「なんというネーミングセンス」
「カッコいいね」
マグナはやはりアリアの同族か、という納得をしていた。しかしマグナもそう考えている余裕が有るわけではない。銃から放った弾丸が剣で切り裂かれるのを眺め、やべぇと思っていた。これ、私じゃ相性が悪い、と。前後左右からの剣を避けながら引き金を引いていると
「マグナ、大丈夫ですか?」
「いえ、エカテリーナが多過ぎて辛いです」
「その言い方、語弊がありますわね」
「しかしエカテリーナも同じ意見でしょう?」
「もちろん」
ふふふうふふ、と二人で笑いながら戦っていると、洋紅色の髪の少女が上から振ってきた。その少女は二人の真ん中に落ち、慌てて立ち上がった。
「まさか投げ技を使ってくるなんて思わなかったよ」
「思われるもとい予測されるのならば意味がありませんからね」
「それもそうだね」
アリアは苦笑しながら二本の剣を腰の鞘に収めた。そして一本の巨剣を抜いた。もちろんその間にも攻撃の手は止まらないのだがアリアは舞うような動きでそれを避けていた。そして
「だらっしゃーぃ!」
思いっきり振るわれた剣は何体ものエカテリーナを吹き飛ばした。全損していないからこそ、エカテリーナがエカテリーナに激突し、やや地獄絵図となりかけていた。外見がまったく同じ少女たちがぐちゃぐちゃしているんだもん。仕方ないのじゃ。
*****
「ようやく突破できた……」
アリアは剣を振るい続け、何とか突破口を創り上げた。そしてそこに突っ込んで何とか助かったのだ。だが
「報酬がしょぼいよぅ」
「おほほほほ、ここを突破したという名誉こそが真の報酬なのですわ!」
「むぅ、納得出来ないよ」
「アリア、アリアは世界二位のダンジョンを攻略したのですよ」
「おぉ、そう考えれば良いかも……あれ? 世界一位って僕だから……? あれ?」
アリアは首を傾げながら、エカテリーナに引きずられていった。
*****
エミの剣がエミリアの刀に逸らされた。そしてそのまま心臓に伸びてくる刀の先端を扇で払い落として真下から剣で切り上げる。しかし
「っ!?」
「惜しい惜しい。でも悪くない作戦だったわよ」
「……敵わない、ですか……悪くない作戦程度じゃ……」
「アリアに勝つなら作戦はない方が良いと思うんだけど」
エミは少し、ため息を吐きながら剣を握りしめて地面を蹴った。そのまま扇を投げて
「アリア相手に投擲技は危ないと思うわよ」
「え!?」
エミは目の前で刀を鞘に収めたエミリアに絶句する。いつの間に、そう叫ぼうとするが刀が抜かれた。そしてその刀が高速で迫る。間に合わない。
「……諦めが早いわね」
「う、ごめん」
「アリアは諦めないわよ。諦めないからこそ強い」
「……」
「アリアに勝つのは無理だって思っているんじゃないの? だったらもう、諦めなさい。アリアに勝てないなんて思う程度なら諦めなさい」
「……諦めない。勝つ、絶対に勝つ」
「そう。なら構えなさい」
エミリアの言葉にエミは剣と扇を構える。その様子を見つめ、エミリアは嘆息する。
(アリアに勝つのを諦めろ、ね。私が言えることじゃないわ)
*****
アリアは緊張していた。エカテリーナのお母さんは……言い辛いけど怖い雰囲気が合ったんだ。だけど
「あなたがアリアさんね。リーナから話は聞いているわ。何も出来ないけどゆっくりしていってくださいね」
「……日本語、喋られるのですか?」
「職業柄、話せないと不便だもの。アリアさんも綺麗な髪ですけど日本人なんですか?」
「クォーターです。母がハーフなんです」
「そうでしたか」
怖かったけど良い人だ。アリアがそう思っているとエカテリーナのお母さんはアリアをじっと見つめて
「リーナをよろしくお願いしますね」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします」
そして15分後
「君がリーナの言っていた……済まない、名前は失念してしまったようだ」
「父様、アリアですわよ」
「そうか。アリア嬢、私たちは何も出来ないがのんびりしていってくれ」
「は、はい」
どうして日本語ぺらぺらなの、とアリアは思っていた。そしてそれを知らなかったエカテリーナも戸惑っていた。
アリアはそのままがちがちに緊張し、朝ご飯を食べることになったのだが
『アリア、あーんして』
「自分で食べられるってば」
『妹が欲しかったから良いんですの』
「何が良いのさ……んむ」
アリアは少し顔を顰めながら、エカテリーナの差し出したスプーンを咥えた。それを見て、エカテリーナの両親は餌付けみたいと思っていた。しかし世話を焼いている娘を見ていると
(リーナは可愛い物が好きなんですね)
そう思えてきた。
*****
「エカテリーナ、あれって何?」
『あれってどれですの……あの服はサラファン、うちの伝統衣装ですわよ』
「ほーぅ?」
『スカート長めも短めもありますわよ……着てみます?』
と、言うわけで
「どう? 似合うかな?」
「ええ、良くお似合いですよ。ロングスカートも試してみてはいかがですか?」
『アリアならどっちも似合いそうですね』
「そうかな?」
『シェリルにもお土産として、いかがですの?』
「エミにも良いかもしれませんね」
アリアとエカテリーナ、マグナの三人はきゃっきゃと騒ぎながらウィンドウショッピングを楽しんでいた。例え時代が変わろうと、こういった風習は消えていない。
「よし、発送っと」
『ありがとうございました』
「アリア、いきなり送られてきたら向こうも戸惑うでしょう。何かしらのメッセージを送りつつ、お菓子を買いましょう」
「そうだねーってえ? お菓子?」
『良いですね。お菓子を買ってのんびりと食べながら、シェリルたちにも送りましょう』
アリアは金持ち、それを理解していながらエカテリーナは少なからずお金を出している。アリアはそれを少し申し訳なく思っていたので和菓子や明太子を送りつけようという決意をしていた。
「ところでアリア、滞在期間中に星獣イベントがあると言うことはそういうことですよね?」
娘は渡さん! 的な展開ではない
だが柘雄、お前にアリアちゃんはやらん
まぁ私を倒して~と言うと一瞬で負けそう
じゃんけんならワンチャン
CLANNAD風に野球なら負けるだろう
とりあえずアレです、書くことが無いです
後書きって書く義務はあるのか、と迷い中
現在、新たに投稿しようとしている小説をカクヨムで先行投稿しております
こちらでの投稿は0701となります
次回、羊、双子、蟹のどれか
「おい、デュエルしろよ」




