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ダンジョンへ

「えっと……どうして?」

「世界最強のプレイヤーですから!」

「……エカテリーナは世界二位だよ? そっちじゃダメ?」

「ふふふ、アリア。そろそろあなたが世界二位になるんですよ?」


エカテリーナとアリアのやり取りを眺め、マグナは苦笑し、声を掛けてきたプレイヤーは戸惑っていた。すると


「僕と戦いたいって事だよね?」

「あ、はい!」

「良いよ」


アリアは剣を抜いた。アリアにしては短い二本の双剣、《乖離地連》と《乖離天連》だ。そしてそのまま構えて


「いつでもどうぞ」

「はい!」


アリアの構える速度は相手が反応できない速度だった。それに相手は動揺しつつ、剣を抜いて構えた。長い長剣だ。対処するには簡単な部類だ。


「……行きます!」

「うん」


剣が振りかぶられ、振り下ろされた。それは届かない距離、だったから


「《スラッシュ》!」

「やっぱり」


斬撃が飛んできた。それを紙一重で避け、前に出ようとしたが


「《サンダープリズン》!」

「むむむ」


雷の檻がアリアを閉じ込めた。思わずそれを斬ろうとしたが、その檻の格子は雷、アリアの握る剣は一本を除いて金属製だ。感電するのを嫌い、双剣を鞘に収めてーー檻を蹴りつけた。物質オブジェクトとして存在しているわけではないそれを蹴り、存在を揺らがせてその隙間から飛び出る。もちろんダメージは受けた。


「《サンダーストーム》! 《スラッシュ》!」

「む……魔法剣士なのかな」


アリアは少し目を眇めつつ、地面を蹴った。そしてそのまま雷の竜巻を避けて、飛ぶ斬撃を避けた。さらに背中から翼を生やし、飛んだ。ちなみに翼を生やす意味は無い。ただの趣味だ。

そのアリアの手には剣が握られていない。相手は舐められている、と理解しつつなんとしても届かせようと頑張っている。だが届かない。アリアの動きが速過ぎるのだ。


「アリア、手を抜いては失礼ですわよ」

「アリア、全力を尽くす義務があると思いますよ」

「むぅ。そうかな?」

「っ、尽くしてください!」


相手がそう言った。そしてーーアリアは目を閉じた。そしてそのまま腰から一本の剣を抜いた。処女雪のように真っ白な剣だ。その剣の名は《聖剣エクスカリバー》、何もかもを切り裂けそうだ。無理だけど。


「行くよ……君の名前は?」

「マンジュウです」

「饅頭……そっか」

「美味しいので好きなんですよ」

「そっか」


アリアはネーミングセンスが謎だ、と思った。ちなみにそれをマモンたちが知ったら「アリアちゃんが言うの?」と真顔で言われること間違い無しだ。


「饅頭、行くよ!」

「来てください、アリアさん!」


アリアは地面を蹴った。余りにも高速なそれを見切れた者はいない。マグナも、エカテリーナも見えなかった。そしてアリアの剣が饅頭の体を真っ二つに切り裂いた。もちろん餡子は出なかった。


*****


「アリア~!」

「ちっちゃ~い」

「可愛い~」

「むぅ……なんだか複雑だよ」


可愛がられているアリアを見てエカテリーナは微笑む。可愛いアリアを見てほっこりしていると


「エカテリーナ、このダンジョンはどうしてこんなに賑わっているのですか?」

「それは潜ってからのお楽しみです」

「では期待して待っていましょうか……おや?」


マグナは振り返り、銃を抜いた。そして連続して引き金を引いた。


「マグナ?」

「……何かが迫っていました。ドロップアイテムから察するに《デモンカメレオン》かと」

「あぁ、擬態していたんですね」


確かにそれは気づかなかった。エカテリーナはそう思っていると


「ふむ……エカテリーナ、潜りましょう。トレインです」

「え?」

「随分な数を引き連れています。あの数を相手にするのは余裕ですがいかんせん、数が多い」


マグナが銃を向けている方向を見ると確かに、プレイヤーがモンスターを引き連れていた。しかしその表情は必死に逃げ惑っている。つまり


「故意のトレインでは無いようですわね」

「ですが私たちが巻き込まれればどちらでも同じと言えるでしょう。アリア、どうしますか?」

「ん、どっちでも良いよ?」

「ではアリア、競争です。どっちが多く狩れるか、です」

「おっけー」

「エカテリーナ……やれやれ」


マグナは少し苦笑しながら銃を腰のホルダーに収めた。


「弾丸を消費したくないので頑張ってくださいね」

「ええ。ではカウントをお願いしても?」

「構いませんよ。それにアリアは数えるのを忘れそうですからね」

「どういう意味さ!?」

「集中力が凄いんですよ」

「えへへ~」


チョロい、と二人は思った。だがそれを口に出さず、ダンジョンを背にエカテリーナは細剣レイピアを、アリアは《悪魔龍皇剣》を構えた。そして


「ん」

「はっ!」

「アリア3,エカテリーナ2です」

「あら? 負けていますのね」

「アリア8,エカテリーナ9です」

「むむ!?」


アリアの剣が閃く度に、多くのモンスターが光となって消滅する。エカテリーナの剣が閃く度に多数のモンスターが光となって消滅する。そしてマグナはカウントしているのが少し楽しくなってきていた。


「アリア204,エカテリーナ204です」

「むぅ」

「ふん」


同数で決着がついた。二人はそれに少し不満そうに顔を顰めて


「決着はダンジョンで付けましょう」

「そうだねー」


*****


アリアの握る大きな剣が振り切られた。それは鍔迫り合いをしていた剣を切り裂き、持ち主すら切り裂いた。そのままの勢いでアリアは回転して


「せゃっ!」

「はぁっ!」


高速の横薙ぎが、神速の突きが次々とモンスターを消し飛ばしていく。それを眺めながらマグナは引き金を引き続けている。


「アリア、少し前に出過ぎですよ」

「良いって事よ!」

「「何が」」


二人の突っ込みを無視してアリアは二本の剣を振るった。そしてそのまま次々と《骸骨剣士スケルトンソードマン》を倒していくが


「多過ぎるって!?」

「ふふふ」

「笑い事じゃねー!」

「ちなみにエカテリーナならどう突破しますか?」

「貫通性のある突進スキルで一気に奥まで行きますわね。むしろアリアがどうして全部倒そうと躍起になっているのか分かりませんわ」

「アリアですから」

「アリアだからね」


なんだか酷い納得をされているのにアリアは気づかず、そして無限沸きにも気づかないようだ。しかしきりがない、と思ったのか二本の剣を鞘に収めた。そしてそのまま地面を蹴り、天井に着地した。そのまま天井を蹴って奥にある扉を蹴り開け、姿を消した。

そしてーー取り残された《骸骨剣士スケルトンソードマン》たちはまだ残っている二人のプレイヤーに眼を向けた。


「……エカテリーナ、あなたが言っていたことを見せるときが来ましたよ」

「見たいですわね……」


ため息を吐いてエカテリーナは細剣を低めに構えた。そしてそのまま高速で地面を蹴って


「バレストラ?」

「フェイシングは嗜んでおりませんわ」

「そうでしたか」


マグナの弾丸がエカテリーナに襲いかかろうとするモンスターを撃ち抜いていく。そしてエカテリーナの突貫で開いた穴に飛び込んで


「あ、遅かったね」

「「アリアが言うな」」


アリアはえへへ、と照れたように笑っていた。そしてその頭にマグナの鋭いチョップが繰り出された。

意外とロシア編が長くなりそうな予感

したらば途中で日本側も出そうぞよ


最近リアルであばすと言ってしまう病にかかりました


次回は懐かしのあのモンスターが登場する予定です

意外と出番が多い噛ませ枠のあいつです

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