ルミナス
《ナイアルラトテップ》の体力が五割を下回った瞬間、飛行形態にシフトする。そして体力がゼロとなった瞬間、第二形態に進化する。
「っ!? 何事!?」
「離れろ、アリア!」
「え!?」
アリアがサタンの叫びに振り向いた。瞬間、闇で形創られた槍がアリアの小柄な体を突き刺そうと迫った。咄嗟に判断で切り払おうとしたが
「《バスターブラスト》!」
「サタン!?」
《七龍獅子剣》が正面から闇の槍と激突し、砕け散った。信じられないような物を見る目で、サタンはそれを見つめ……心臓を刺し貫かれた。
「兄さん!?」
「っ!」
アリアは翼で大気を叩き、高速で落下する。そのまま体勢を立て直そうとしたが
「アリアちゃん!? 《ライトニングシールド》1024!」
雷の盾が闇の槍と激突し、消滅した。そして次々と放たれる闇の槍を全て相殺しながら
「アリアちゃん、エミ、ルシファー、これからどうするか作戦を立てて」
「え!?」
「逃げないの?」
「話している時間は無いよ!」
ルシファーの言葉と同時に雷の盾が全て消し飛んだ。そして闇の槍が降り注いだ。
*****
「ルシファー……シェリ姉……エミ……」
アリアは光となって消えた三人の残滓を眺めてため息を吐く。そしてそのまま翼を広げて《ナイアルラトテップ》に向かって飛翔した。
《ナイアルラトテップ》第三形態の体力は一億だ。だがその体力がどんどん減っていく。アリアは攻撃を加えていない。つまりそれは
「《ナイアルラトテップ》の体力が消えるまで耐え続けろって事か!」
アリアの背中を射貫こうと槍が迫る。しかしそれはアリアよりも遅い。当たらない。そしてアリアは天高く昇っていった。そしてーーこれ以上上がれない、高度限界でくるり、と反転した。そのままや身の槍を避けて結晶だけの体の《ナイアルラトテップ》を見下ろして
「耐え続けて僕の勝ち……なんて僕の勝ちじゃない。そんなもの、僕の勝ちだなんて思えないよ、マグナ」
アリアはくるくる、とダンスでもするかのように回りながら槍を避け続けていた。そしていつしか、その手には光り輝く直剣が握られていた。《聖剣エクスカリバー》、光属性特化の剣だ。しかしアリアの動きは止まらない。
「《解放》!」
その剣身が目映いばかりの光に包まれた。そして
「《聖剣キャリバーン》!」
その剣を握りしめ、槍による弾幕へと突撃。洋紅の残光を残したその動きには到底数撃ちゃ当たる戦法では無意味だった。だから《ナイアルラトテップ》の個別AIは考えてーー
「お?」
槍を束ね、巨大化させた。そのまま連射しつつ、制御を手離さない。槍の群れがアリアに迫る。しかしアリアの表情は変わらなかった。
「輝け、《二重解放》!」
両手で片手長剣の柄を握りしめ、叫ぶ。剣の幅が倍以上になり、長さは倍程度ではないほどに伸びた。
「《霊剣コノハサクヤ》、神話を冠す剣だよ」
意識があるか定かでは無いマグナに呼びかけ、大剣を構える。すでに《ナイアルラトテップ》の体力は7割を切っている。つまり6000万台。
「んっ!」
迫る闇の巨槍を斬り払い、結晶に向かって突撃する。落下加速にアリア自身の加速、それに回転を加えて
「ーーっ!」
名前も何も無い全力の一撃。それは結晶を弾き飛ばし、残る体力をごっそりと削った。しかしアリアの動きは止まらない。《霊剣コノハサクヤ》で結晶の中心に突きを放った。
弾き飛ばされる速度よりもさらに高速の突きは結晶の端を大きく削り取るに終わった。
「っ⁉︎」
「残念でしたね、アリア!」
「また戻ってきた⁉︎」
「何度でも蘇るさ!」
「ぬぁーっ!」
苦し紛れの一撃は結晶がフワリと動くことで避けられた。そんな絶対の隙をマグナは見逃さない。あらかじめ用意しておいた数本の闇の槍を纏めて放った。これで倒せるはずだ、と確信を持って。
しかしアリアは笑った。負けられなくて、負けたくなくて、勝ちたい。そんな純粋な想いがアリアの背中を押した。
(アリアの軌道が変わった⁉︎)
マグナは驚きつつ、槍の軌道修正をする。この槍には一撃死という特性があり、アリアの装備でも一撃を受ければ即死なのだ。だが
「当たらないっ⁉︎」
「その槍、なんだか怖いからね!」
片翼を固定し、もう片翼を羽ばたかせる。そうしてアリアは槍とすれ違うように避けて
「うらっ!」
「喰らえ!」
同時の一撃は相殺し、弾かれる。空いた距離をアリアは眺めて
「ラスト一撃、かな」
「そうですね」
現在のアリアの体力は4割、対してマグナの体力は2割を切った。だから自ずと最後の一撃と悟った。
「行きます」
「行くよ!」
示し合わせたかのように同時に前に出た。そしてそのままマグナは槍を突き出しーーアリアは剣を振りかぶった。
「っ⁉︎」
「《最終解放》っ! 《光輝》!」」
アリアの平らな胸を槍が刺し貫いた。マグナはそれを目視でもデータとしても確認した。それなのに
「去れよゴーストーー」
「何故⁉︎ 何故死んでいないのですか⁉︎」
「僕は自分の作った装備にエミリアの作ったアクセサリーを装備しているんだ、《即死耐性》があったのは偶然だけどね! 《バニッシュ》だ!」
マグナは思った。次は即死属性よりも高威力の攻撃をしよう、と。
*****
無事に《ナイアルラトテップ》を切り倒し、先に逝ってしまった五人の装備を回収する。そのまま《ナイアルラトテップ》のダンジョンから出て
「ただいまー」
「お帰り、アリアちゃん。どうだった?」
「マグナが執念深かったよ」
「え?」
「私がですか?」
「うん、途中から《ナイアルラトテップ》のAIがマグナに乗っ取られていたよ」
「何をしているんですか……」
マグナが呆れたように呟きながらかき氷をスプーンで突き崩す。そのまま口に含んで
「あぁ、やはり夏はかき氷ですね」
「どこ知識なのさ」
「ふふふ」
マグナはミステリアスを貫こうとしているみたいだ。アリアは直感でそう思っていると
「私は、マグナはどうでしたか? 《ナイアルラトテップ》を乗っ取ってどう戦いましたか?」
「ん……言っちゃ悪いけどステータス任せかな?」
「やはり」
マグナが頷いた瞬間、店の扉が開いた。振り向くと
「あ、エレナじゃん。久しぶり」
「久しぶりね、アリア。エミちゃんはいるかしら?」
「んー? いつ帰ってくるか分からないよ。伝言なら聞くけど?」
「あぁ、そうじゃないんです。エミちゃんに頼まれていた用件を済ませに来たんです」
「用件?」
エミから何も聞いていない。アリアがそう思っていると
「アヤとピュアホワイト、そしてアスカとアヤのレベルとスキルを上げました。この街まで自力で辿り着いたんですよ?」
「ん……? アーニャは?」
「アーニャは実はレベルとスキルが高かったんです。ただ装備が弱かったんです」
とりあえずアリアはそれは良いと思った。だが
「エミに頼まれたの?」
「はい。アリアに装備を作ってもらえる代わりだそうです」
「聞いてないよ!?」
アリアは思わず叫んだ。それを見て開いた扉から顔を覗かせている四人が苦笑していた。
ルミナスはどこかの言葉で光だぜ!
大学疲れるもう嫌だ
SIMカードは再起動すると謎の復活を果たしました
昨日まで一日三回くらい「SIMカードが刺さってない」って言ってきたのに今朝一回言ってからは黙りです
これで長い通学時間にも書けるぜ
現在が7月14くらいです
そろそろ二度目の夏休み
また長くなるんだろうなぁ……
そして案の定ネタが無いんだ……
誰かネタを恵んでくれ……
みてみんを覗いてみたんですけど絵が上手な人多いですね
誰か書いてくれないかなー(チラッ




