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「アリアさんの成績だとこちらの高校などを狙えると思います」

「その辺りは娘の意見を優先したいと思っています」

「……アリアさんの進路志望は卒業生の江利くんのお嫁さんと書いてあったのですが」

「あぁ、はい。婚約者なので」


これには三者面談をしている先生が驚いていた。そして


「すでにうちのアリアちゃんは婚約者がいる上に就職するつもりらしいので問題ないかと思います」


*****


「おや、アリアちゃんじゃないか。今日は来ないのかな?」

「あ、はい。今日はたまたまこの辺りに来ただけなので」

「そうかそうか。いつでも来てくれ、亜美も柘雄も喜ぶよ」


柘雄のお父さんと談笑する。そう言えば


「お義父さんは今日は何をしているんですか?」

「うん、今日は休みでね。だから私は散歩をしているんだ」

「そうなんですね」

「私に敬語は良いよ。アリアちゃんは私たちの義娘ムスメだからね」

「ありがとうございます、お義父さん」


お義父さんと別れて歩いていると


「んー、もしもし」

『もしもし、アリア? 今どこにいるの?』

「さっきの話し合いで決まったじゃん。模造紙を買うって、その途中」

『先生たちが使って良いよって何枚かくれたから買い込まなくて良いよ』

「ん、3枚くらいで良いかな?」


良いよー、という朝日の声に頷いて電話を切る。そのまま歩いてお使いは無事にクリアした。


*****


「あれ? エミリアは?」

「仕事が忙しいんだって。アリアはそろそろ期末テストだけど良いの?」

「良いの良いの」


アリアの言葉にシンは苦笑して


「アリア、僕と結婚して就職も決まっているからって成績がどうでも良いなんて思っていたりするの?」

「何故バレたし」

「何故バレないと思ったのさ」


シンの肩の上で逆立ちしているアリアがにゃはは、と笑う。そのままくるりん、と空中で猫のように回転してシンに向き合う。そのまま自然な感じでキスをした。


「アイラブユー!」

「Me too」


苦笑しながらもきちんと返してくれるシン、アリアはだから好きなんだ、と改めて実感した。ちなみにニマニマ笑っているため客に不審がられていた。


「あ、そうだ。シンに言わないといけないのを忘れていたよ」

「え? 何かあったの?」

「何も無かったけどね。シンには生まれてくる子供の名前を考えて欲しいんだ」


それに客が反応するがシンがそれに気づける余裕は無かった。シンも動揺していたからだ。


「……アリアが名付けたら?」

「僕の命名センスで?」

「そう」

「……うん」


アリアはこくり、と頷いた。それにシンは小動物みたい、という感想を抱いた。そして


「まだ時間はあるから大丈夫だよ」

「う? そんなにあるかな?」

「あるよ」

「だって卒業まで一年と……えっと……」

「もう少しで7月だから9ヶ月だね」

「意外と短いね」


アリアの言葉にシンは微笑みつつ、立ち上がろうとした。しかしアリアがしがみついているため、一瞬躊躇った。結局立ち上がり、ぶら下がるナマケモノアリアを微笑ましく思った。


「ところでアリア」

「ん?」

「この前、お父さんと話したんだって?」

「うん、たまたま会ってね」

「それでさ、お父さんが『絶対に娶れよ、娶れよ!』って言ってくるんだよ」

「ほうほう」


シンは苦笑しながら


「お母さんもお父さんもアリアを家に呼びなさいって五月蠅いんだよ」

「そうなんだ。でも僕を呼んで何が楽しいのかな?」

「僕がアリアと一緒にいて楽しいのと同じだよ」

「あー、なるほどね。僕がシンといて楽しいのと同じだね」


客はいちゃついてんじゃねぇよリア充みたいな目でアリアたちを睨み続けた。


*****


「んっ」


一気に潜る。目を反射で閉じそうになるがその必要は無い。アリアは深くまで潜ろうと思い、足をばたばたさせる。しかし


「おっと、魚だ」

「アリア、潜るんじゃなかったの?」

「ん……敵じゃないみたいだし、良いよ」

「うん、そうだね」


アリアは潜り続けて……靴を装備した。それは異常なまでに重い靴、履いているだけで沈む靴だ。


「その名も《ヘビーブーツ》! 水の神殿必須アイテムだぜ!」

「あれは初見じゃ辛いよね」


タイトルに名前があるのに主人公が違う伝説アクションゲームの話題でシンと盛り上がりつつ、水底を散歩していると


「アリア、中々来ているみたいだよ」

「んー、そうみたいだね。でもこれ、抵抗が強くて動きづらいかも」


アリアは剣をぶんぶん、と振るい文句を言う。しかしシンからしてみれば充分速いのだ。とりあえずシンも剣を構えて


「アリア、少し違和感があるから気をつけてね」

「大丈夫大丈夫って。僕は最強なんだよ?」

「最強でも心配はするよ」


シンの言葉にアリアはほにゃ、と表情を緩ませた。そのままアリアは剣を構えて


「やっ!」

「おや」


アリアの剣が見えた。シンがそう思いながら地面を、海底を蹴った。だが水の抵抗が凄まじく、魚へ迫るうちに軽々と避けられた。


「全力で戦いなよ」

「はいはい」


アリアは水中という動き辛いはずの環境でもアリアだった。剣を振り、その勢いで回転し、そのまま連続攻撃を放った。それはまるで独楽のようだった。


「当たらなーい!」

「あ、あはは……大丈夫だよ、全力を出しなよ」

「んー、了、解っ!」


アリアのばらまいた剣の柄から伸びる糸、アリアはそれを足場として利用し、魚の頭を剣で刺し貫いた。そして


「ドロップするのは切り身なの!?」


*****


新エリア、海がアップデートで追加されたのは七月に入ってからだった。これからの暑い季節に合わせて少し冷たい感じになっている。エリアは広大で泳ぎながらも戦うことが出来る。そして通常エリア、深海エリア、岩礁エリアの三種類に分けられる。つまり


「わぁーっ! 凄いよ!」

「アリア、指さしたらダメだよ」

「だってほら! ムキムキだよ! ムキムキマッチョだよ!」


アリアの言葉にシンは戸惑いつつ、辺りを見回す。プレイヤーが多い、そう思いながら。アリアに手を引かれつつ、シンが走っていると


「あら、アリアじゃない」

「レヴィも来たんだ。ベルは?」

「どうしてさも当然のようにベルの名前が出るのよ……いるわよ」


レヴィが指差した方向には確かにベルがいた。だがそこにはベルだけでなく、《魔王の傘下》のメンバーが勢揃いしていた。そのため、僕たちの周囲から人が離れていった。


「それで海に集まって何をするのですか?」

「マグナちゃん、海に来て水着なら何をするか分かるでしょう?」

「……青かn「それ以上良くない」


マモンの言葉と共にシェリルの手がマグナの口を塞いだ。そして何故かそのまま僕を見て


「聞こえた?」

「青って聞こえたよ」

「セーフであります!」

「うむ、ご苦労」


よく分からないがセーフらしい。良かった。僕はそう思いながらマグナの体を凝視する……むむむ!


「レヴィ! あのおっぱいは貧乳!?」

「……ギリ貧乳ラインよ!」

「セーフ」


また親友を手にかけるところだった、とアリアはかいてもいない汗を拭うモーションをした。それを見て弛緩する空気の中で


「それじゃ自由時間で良いよな?」

「ダメですよ」


パーカーのような水着の魔王がビキニ姿のアスカに突っ込まれ、デレデレしていた。

水着だろうとアリアちゃんは貧乳です

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