一回戦の途中だってば
マモンが戦っていますが少し前に「10秒~」と書きました
つまり今回の戦闘は10秒以内でした
『次の試合は《天弓》、マモンと《騎士団長》、エレナ!』
『いやー、セスタスさん、次の試合はどう見ますか?』
『そうですね。マモンの矢をどれほど避けられ、接近できるかですね』
『なるほど、ですが遠距離タイプがサブウェポンを用意していると私は思うのですが……』
スカイの言うとおりだ、と恵令奈は思った。マモンと相対する度に思う。底知れない、と。アリアへの純然たる畏敬とは別のものだ。落ち着いて剣と盾を構え、そのときを待つ。
『スタート!』
「10秒間待ってやる!」
「んなっ!?」
『おおっと!? ここでマモンからとんでもない宣言だ!』
『すさまじい自信だが……それに釣り合う実力があるからな。だがエレナも黙っちゃいないだろう』
スカイの言うとおり、エレナは黙っていなかった。剣を構えて走り出す。しかしマモンは
『『動くのかよ!?』』
「待って上げるけど動かないとは言ってないよーだ」
マモンは低い姿勢で突っ込んできたエレナを見据えて微笑んだ。そしてエレナの剣が空打った。マモンの残像を切り裂いて。
「どこに!?」
「ここだよ?」
「っ!?」
マモンはエレナの背後で座布団を敷いてお茶を飲んでのんびりしていた。そして振り向いたエレナに手を振って。
「どうしたの? 何か変なことでもあった?」
「《アークスラッシュ》!」
「残念無念、また来年」
マモンが10秒経った、と言外に告げた。実際は経っていない。そしてエレナは正面で矢をつがえたマモンへ剣を投げた。撃たせてはいけないと直感が告げていたから。しかし剣はマモンの矢と相殺してーー前後左右から矢がエレナを貫いた。エレナの体力は全損していない。安堵した、だがマモンはエレナの視界内にいていない。何故ならば
『マモンが10人以上!?』
『《幻影》スキルの《分身》……あそこまでスキルを使いこなすだと!?』
スカイの驚きも当然だ。時に自分の幻影すらも射貫いてエレナを射る。もはやエレナに勝ち目は無かった。
*****
『で、次は《魔弾》レヴィアタンと《最強の妹》、エミ!』
『……マジで?』
『手元の籤はそう言っています』
スカイに同意だ。レヴィはそっとため息を吐きながら壇上に上がった。エミは私に敵わない。だからといって諦める子でもない。もっとも苦しませないのはーー即死だ。
「この銃の名は《ハーディス》、反応できたら褒めてあげる」
「……分かったよ」
エミは剣と扇を構える。そして銃口を睨む。いつ弾丸が放たれても反応できるように。しかし
「無駄だよ。注意して注目するのはこの世界じゃ不利にしかならない」
「え」
エミは背後から投げられた。それに驚き、受け身も取れずに地面に落ちた。しかし追撃はない。レヴィは銃を投げて右手を居合いのように構える。
『あの構えは《刀》スキル!?』
『だがレヴィは刀を握っていないぞ! 何を抜き打つつもりだ!?』
「抜き打つ? 馬鹿なことを」
抜き撃つのよ。振ってきた銃を掴んで引き金を引いた。しかしそれは防がれた。何故かと言えばレヴィが一撃で終わらせるために心臓を狙い、エミがそれを呼んで扇と剣を重ねて防いだからだ。
「《天舞二の型》!」
「は」
扇による連打を避けて剣を受け止める。そのままハーディスを振り上げて銃口を心臓に突きつける。そして引き金を引いた。
「《解放》!」
リベレイションよりもディスチャージの方がかっこいいから、というアリアの言葉から勝手に変えられた。ちなみにそのおかげで少し割引された。だから満足している。
「エミ、高見へ至りなさい、待っているから」
「分かってるよ……!」
振りかぶられている剣を無視して
「《 炸裂・電磁銃》」
*****
『次の試合は《詳細不明》、マグナと《忍者》、アーニャ! だったのですがアーニャの姿が見えません! そして書き置きが!』
『えー、書き置きによるとアイスの食べ過ぎでお腹を壊したそうです』
『なので次の試合は《サタン》、セブンスドラゴニックライオネルソードと、《癒やし手》、シア!』
「逆だろ!?」
どこからかの絶叫を軽く無視してシアは錫杖を握りしめる。護りのために作られたそれを両手で構えて
「初めまして、サタンさん」
「俺の本名が……久しぶり過ぎて泣きそう」
「「「「「「セブンスドラゴニックライオネルソード! セブンスドラゴニックライオネルソード!」」」」」」
「てめえらいい加減にしろーっ!」
泣きながらの絶叫。そのまま両手で大剣を構えて
「来いよ」
涙目でそう言った。だからいった。
「《セイントランス》128! 《セイントウェーブ》128!」
アリアからもらった大量のMPポーションをがぶ飲みして回復。しかし体力はまだ半分も減らせていない。しかしウェーブに捕われている今なら!
「《ライトニングボルテックス》32!」
今撃てる最大火力の魔法を放った。しかし残り体力は三割! 削れない量じゃない! 大会のルール上体力回復は禁止だから……そう思った瞬間、目の前で剣が振りかぶられていた。
「えっ!?」
「ふん!」
振り下ろされる剣を間一髪で防ぐ。しかし今お一撃で錫杖の耐久が削り取られた。光となって消えていく錫杖を名残惜しく思いつつ
「《ライトニングバースト》!」
「げ!?」
瞬間、二人の体力が同時に0となり、判定でシアの勝ちとなった。
*****
『なんとも驚きの結末となりましたが次の試合は《槍弟》、ルシファーと《小道具師》、マリア!』
『正面から攻めるのと搦め手で攻める、か。なんとも不思議な組み合わせだな』
「さすがに兄さんのような無様は晒せないよ」
黙れーっ、と観客席の方から声が聞こえたがルシファーは無視して長槍を回転させた。それを眺めてマリアは考える。勝ち目はある、と。だから後ろ手に小瓶を四つ引き抜いて
『スタート!』
「《トリシューラ》!」
「っ、《レイヴンブラスト》!」
別名霞斬りだ。だがそれは三叉の槍のうち一本を斬り消した。そして二本の槍でダメージを受けるが
「ふっ」
耐えた。これで!
「《小道具師》、時間をかけると厄介な相手だってね」
「光栄だね、知っているなんて」
「アリアの周囲にいる時点で危険人物なんだよ!」
再び投げられた槍を避けて四つ同時に投げた。それはルシファーが槍で切り払ったが
「生憎だけど《強酸》と《毒煙》、それから《麻痺煙》と《濃煙》だよ」
「前が見えない……搦め手を極めている感じだね」
「極めている?」
マリアは笑って
「僕ごときが極めているのならアリアたちはなんだろうね」
《魔王の傘下》のメンバーは一八人。つまり一回戦で争う参加メンバーが二組いるということだ。マリアはそう思いながらルシファーを倒した。
*****
『次の試合は《死神》、ジャックと《魔女》シェリル!』
『この試合は……長引きそうだな』
『と、言いますと?』
『シェリルの魔法がどれだけジャックに当たるか、そこが重要だ』
ジャックはだよなー、と思いながら鎌を肩に担いだ。そのままシェリルを眺めると開始宣言より先に詠唱を始めていた。形振り構わないその姿勢に呆れていると
「《ダークネストリニティ》4096! 連ねて《ライトニングトリニティ》4096!」
瞬間、どこに逃げても当たるような魔法が放たれ、ジャックは為す術なく全損した。
マリアたちを忘れてて少し書き直したぜいやっほい!
誰が戦ったのかを忘れた作者はもう末期
とりあえず明日確認しよう
ちなみに現在は6月前期のつもり
夏休み編がまた長くなるかも
逆手に握った剣を握りしめ、アリアは駆ける。失われようとしている命のためにーー
↑
こんな感じの展開を考えたら劇場版っぽくなって靴屋の中で吹き出しました
書こうか書くまいか……多分真面目に書いたら1万字じゃ足りないと思う
ゴールデンウィーク中に書けたら投稿します
というか書こうかで悩んでいる時点で書くつもり満々ですねこれ
お楽しみに!(してくれる人いたら良いな)
そしてそれ用の名前募集中!
感想ください
デスゲーム物に文句を言うわけじゃ無いですけどゲーム脱出という明確があるあちらに比べて日常系って意外と難しいと200話以上続けて気づきました




