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一回戦の途中

一回戦第二試合はセプトとリョーマだった。お互い顔見知りなので手加減などを加える、そう思っていたがそんなことはなかった。


「ふっ!」

「甘いでござるよ!」


セプトの斧を軽々と鞘で逸らして居合い斬り。しかしセプトは落ち着いて盾で受け止めてカウンター。至近距離の斬り結びはかなり観客席が盛り上がった。


(しかし相変わらずチートをしている気分だな)


自分のデバイスをチューニングしている分、反応などが素早い。だからこそ盾が間に合うのだがレベルではおそらく負けているだろう。かなりギリギリだ。だが


「リョーマ、中々速いな」

「セプト殿がそれを言うでござるか? 拙者こそ速いと思っているでござるよ」

「ああ、同意見のようで何よりだ」


セプトとリョーマ、リーチはリョーマに、近距離ではセプトに優がある。だから硬直状態なのだ。しかしリョーマは硬直状態を良しとはしなかった。

仮にもギルドの団長を務める者として、トップギルドのメンバー1人ぐらいには勝たなければ、そんな脅迫観念があった。だから勝ちを急いだのだろう。


「《居合い・絶刀》!」

「焦ったな、《解放ディスチャージ》!」


セプトの盾が真紅に染まった。そしてそれで高速の一閃を受け止めた。衝撃で風が発生するが……どちらも動かなかった。


「……何故拙者の刀が……!?」

「無駄だ。この盾はカウンターに徹底した防具にして武器、アリアの作り上げた最高の盾だ」


セプトはそう言いながら斧を振りかぶり、砕け散った刀を呆然と眺めているリョーマを切り倒した。


*****


「よっと」


アリアは足を伸ばす。ストレッチのようなものだ。意味は無いが気分的なものだ。だからアリアは適当なところでやめて私を、セスタスを見た。そしてにんまりと笑って


「カウントダウン、まだかな」

「っ」


舐められている。そう思うと一泡吹かせたいが


「「「「「「「「「「「スタート!」」」」」」」」」


それと同時に斬られ、全損した。一泡吹かせるどころが一呼吸もできなかった。


*****


「というわけでここからはセスタスが実況を務めます! 続いての試合は《アリアの恋人》、シンと《猫ラブ》、ヴィクトリア!」

「なんて二つ名だ……」

「あのアリアと付き合えるなんて……そんなご主人様も存在するんですね」


シンはヴィクトリアの言葉に苦笑しながら剣を抜いた。そのままヴィクトリアと向き合った。

ヴィクトリアは徒手空拳、さらに自然体だ。だからシンは少し攻め辛い。実際は違うのだが。シンが知っている徒手空拳使いはアリアとマモン、そして姉だ。だから強いという先入観がある。


「行きます」

「あ、どうぞ」


シンは剣を構える。《夜明けの剣》だ。だがヴィクトリアはそれに構わずに突っ込んできた。拳を避けて剣を振るう。だが手の甲で剣の刃は逸らされた。そのままの回し蹴りを剣で受け止めて


「おっと」

「《崩拳》!」


シンは拳を避けて腕を切り上げた。そのまま吹き飛ぶ腕に目もくれず、心臓を刺し貫いた。


*****


「いよぉ、ベルゼブブゥ!」

「……何だ、お前か」

「そうだぜぇ、俺様、アビス様だ!」


アリアの杜撰さが裏目に出たか、ベルゼブブは大きくため息を吐いて槍を構えた。しかしアビスに目を向けない。すると


「どぉーせ負け犬精神染みっ垂れたお前ならさっさと降参するよなぁ?」

「……いや、今は気分が良い。久々に全力でやるとしよう」

「あ?」


スタート、その声が聞こえると同時にブブは槍を投げた。それは吸い込まれるようにアビスの心臓へ伸びるが


「甘えんだよ!」

「ふん」


弾かれた槍を軽々と掴んで真上からの突き。さらに続けての斬撃。アビスの大槌が防いだが着地したブブの薙ぎ払いを腹に受け、体勢を崩した。


「悪いがお前ごときが俺に勝てると思うなよ?」

「が、舐めんなぁ!」

「ふん」


大槌での薙ぎ払いを軽々と逸らした。一本目の槍の柄で下から弾き上げて二本目の柄で大槌の柄を殴りつけてすっぽ抜かす。そして槍で切り裂いて


「じゃあな」


アリアの二刀流のような連続斬りがアビスの体を次々と切り裂いていった。そして光となったアビスを眺めて


「そうだな、優勝でも目指してみるか」


ブブは珍しくやる気を見せた。


*****


「えー、続きましては《魔術剣士》、アスモデウスと《魔王の嫁》、アスカだ!」

「げ」


アスモは冷や汗をかいた。まさか魔王の嫁さんと戦うとは、と。そしておそるおそる周囲を見回すと睨まれた。その視線の主は魔王だ。


(アレ……勝っても負けても俺終わり?)


アスモの思考内を悲嘆が満たす。そのままため息を吐きながらリングに上がる。勝てば魔王に殺され、負ければアリアたちに色々言われるだろう。若いアスモではどちらも辛い。


「アスモさん、いつも旦那がお世話になっています」

「あ、いえ。こちらこそ魔王には常々」

「ではお互い様と言うことで手加減しないでくださいね」


それが言いたかったのか、アスモは納得しつつレベル差を考える。1000台に上がったらしいがまだアスモの3分の1弱だ。だから手を抜いて互角の勝負を演じるのは難しい、そう思っていたが


「うぉ!?」


ベルのようにばらまく感じではなく、一カ所を目がけての集中砲撃だ。慌てて避けて


「《エンチャントーエアー》!」


風のエンチャントを自分にかける。速度を上げて魔法を避け続けているが


(外野がうぜえぇぇぇぇ!)


そう叫びたくなった。ブブのにやけ面にアリアの揶揄、マモンとレヴィのその程度? みたいな目つき。あいつらやっぱどっかおかしいよ。


「ま、俺もそのおかしい奴らの一因なんだけどね」

「何を言っているのですか?」

「んにゃ、魔王に殺される覚悟をしただけ」


アリアの作り上げた魔剣、《ダナトゥス》を逆さまに構える。その背に左手を添えて


「お待たせしました」

「いえいえ。準備はできたのでしょうか?」

「万全に」

「では遠慮無く……《アイスボム》! 《アイストルネード》!」

「《エンチャントーブレイズ》!」


炎を纏わせた剣で氷を切り裂いた。しかし爆風は切り裂けても竜巻は切り裂けない。だから


「《エンチャントーブレイズ》!」


防具に炎のエンチャントをつける。そのままダメージを軽減して剣を担ぐようにして構える。


「はぁっ!」

「《アイスウォール》8!」


八枚の氷の壁に向けて全力の突きを放った。しかし突きは一枚を破るごとに速度を落として


「届かない!?」

「いえ、驚きましたよ」

「……ちなみにどんなトリックか聞いても?」

「アリアさんが創り上げたこれらの装備全て、《氷属性強化》が付いています」


そりゃかなわないわけだ、アスモは呆れながら剣を振り抜いた。避けられるのは前提、重要なのは続きだ!


「《アイストルネード》4!」

「《アークスラッシュ》!」


全力で氷の竜巻を切り裂いてーー体に4本の氷の槍が刺さった。だが全損には至らない。だったら動きを止める理由もない。だから高速の二撃目がアスカを切り裂いた。


*****


「続いての試合は《魔王》、ディアボロスと《光の勇者》、スカイ!」

「……スカイ」

「なんだ?」

「お前には悪いがーー」


「終わりだ」


一瞬で光となったスカイを見てセスタスは勝者の名を言うことすらできなかった。

魔王絶賛ぶち切れ中

ちなみにアリアだけ戦う相手のトーナメントは組んであります

他はその場の勢いです

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