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別れの前に

「お泊まりって言っても晩ご飯食べてきたしお風呂はいってきたから本当に泊まるだけよね」

「良いじゃん、楽しいし」

「理解不能」


マグナの呟きにアリアはあはは、と笑う。それにマグナは呆れる。分からなさの結晶のような彼女はマグナにとって理解不能そのものだった。だからこそマグナは望んでアリアと共にいるのだが。


「ほら、アリアちゃん。髪の毛乱れてるよ」

「ん?」

「動かないの」


直美の白い指がアリアのカーマインの髪の中に出たり消えたりする。マグナはそれを眺めながら室内を見回す。漫画やラノベなどが表に出ている。同人誌もだ。だが


(何故隠している?)


本の陰に一瞬だけ見えた哲学書。勤勉なのを隠している? マグナの思考回路はショート寸前だった。

理解不能が二人もいるからだろう。本来ならスムーズに答えへとたどり着けるのだから。


「マグナは寝る時はどうするの?」

「自分でシャットダウンします」

「そっか。起きるのは?」

「アリアを起こす必要があるので早起きです」


アリアが顔を逸らした。


*****


「マグナ、起きてるでしょ?」

「……スリープモードでした」

「あ、ごめん」


直美は謝りながらアリアを見つめる。姉のように。


「少し、話す?」

「良いのですか?」

「明日は土曜日で講義が無いのよ。だから遅くなっても良いの」


マグナを持ってベランダに出る。星はあまり見えない。


「マグナはアリアちゃんに親近感はある?」

「え?」

「アリアちゃんにはきっとある。マグナはアリアちゃんと過ごしててどうだった?」

「率直に言えばなんなのこの子って感じでした」

「ですよねー」


直美は笑う。マグナは


「直美、あなたは凄さを隠す」

「んー?」

「アリアは凄さを見せつける。あなたは凄さを隠す」

「んっんー、どーだろうね。凄さなんて人それぞれだし」

「でしょうね。ですから私はあなたを凄いと思っている」


それはマグナがすでに人間だと直美が考える理由となる一言だった。


*****


「ってことで全員で大会しようよ」


マモンの唐突としか言えない提案に何故かみんなが乗り気だ。それにマグナが驚いていると


「エカテリーナも傘下に加わっているしマグナも傘下の一人って考えても良いよね?」

「構わんが帰る日程などは大丈夫なのか?」

「だからよ。帰る前にみんなで何か楽しもうって思ってさ」


五分後

参加者、アリア、マモン、シェリル、レヴィ、魔王、セブンスドラゴニックライオネルソード、ルシファー、ブブ、アスモ、セプト、シエル、シン、エミリア、ジャック、マリア、アジアンの十六人。そしてエカテリーナとマグナをあわせて一八人だ。トーナメントをするにはやや微妙な人数なので


「やっぱりアレだよね、身内だけってのも盛り上がらないじゃない?」

「お前正気か?」


魔王の言葉虚しく、三十二人でのトーナメントとなった。しかし足りない人数はどうするのか、そういう話題になった。そしてそれはアリアに一任された。なのぉーで


「ほらほら、頑張ってねー!」


アリアの無責任な応援にリョーマを筆頭に多くのプレイヤーがため息を吐いた。そしてそのまま剣を、刀を、槍を、それぞれの武器を構えて


「バトルロイヤル、開始!」


アリアの宣言にそれぞれが動き出した。


*****


アリアに誘われて来たのは良い。だが


「ここまでの乱戦とは思わなかったな」

「まったくでござるよ……」

「リョーマ、ちょい協力しようぜ。俺らだけじゃ辛い」

「スカイ殿とガイア殿の二人でござるか?」


無言で頷いた。それにリョーマは目を閉じて


「これが終わるまでよろしくでござる」

「こちらこそ」

「同じく」


ガイアは悪魔の翼のような剣を振るった。そしてそのまま次々と迫り来るプレイヤーを切り倒していく。だがきりがない。だから


「《居合い・神薙ぎ》!」


切り込んだ。さらに逆手に握った小太刀で隙間を空け


「スカイ殿! 背後は任せるでござるよ!」

「分かった!」


白と黒の鍵剣が切り裂く。しかしその瞬間、猫が飛び込んできた。その両手で次々とプレイヤーを殴り飛ばしている猫だ。その拳はスカイの剣と打ち合えるほどだ。


「お前はまさか……!」

「なんでございましょう、ご主人様」

「やっぱお前か」

「おや? 剣を引かれるのですか?」

「……手ぇ貸せ」


様々なギルドリーダーが手を貸し合った一団はあっさりと予選を勝ち抜いた。そして十六人の中にいるその男は大槌を肩に担いで嗤った。


*****


「エミたちが勝ち残った、ねぇ」


アリアはマモンを見つめる。マモンはほわほわとのんきそうに笑った。アリアが睨んでも、だ。


「今の、手を貸していたでしょ。それぐらいは分かっているんだからね」

「そう? エミちゃんたちの実力もあるでしょ」

「……知らないよ。僕はエミたちに装備を与えただけだ」


アリアはそう呟いて


「マモン、そろそろ言っておいた方が良いのかもしれない」

「んー? なになに? ツゲオとのラブラブな色々?」

「違っ、なんでいきなりそうなのさ!?」


前々からアリアは思っていたがマモンは、直美は重い話から逃げようとする癖がある。話を逸らし、別の話題を出汁、誤魔化す。アリアはそう思っていた。


「……マモン、エミたちに肩入れし過ぎじゃない?」

「えー? そうかな? 自覚はないんだけど」

「嘘でしょ」

「……さぁてね」


アリアはマモンの手を頭皮で感じながら考える。何故マモンはマモンなのか、と。自分の名前を捩ったなんて言っていたけど……何故、強欲マモンなのか。分からないことだらけだ。


「にゃー」

「ん」

「考えても分かんないや」

「何を考えていたの?」

「さぁ?」


マモンは呆れたように笑いながら目を閉じた。そしてそのままアリアを抱きしめて


五分後、アリアは寝落ちした。


*****


「それでは皆様どうぞご一緒に!」

「「「「「「3!」」」」」」

「「「「「「「「「2!」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「「「1!」」」」」」」」」」」」

「開始!」


エカテリーナは喧噪に驚きつつ、細剣を構える。そのまま相手の剣を避けて鋭い一閃、しかしそれは闇色の炎を斬るに留まった。


「ガイア、でしたっけ?」

「……そうだ」

「さっさと終わらせますわよ」

「できるものならやってみろ!」


ガイアの剣、《夜明けの道》と《魂喰らい》がエカテリーナへ迫る。しかしエカテリーナは一撃たりとも受けない。避けて逸らしてガイアの懐に入った。そのまま突きを放ったが


「あら」


それは腕を貫通するに留まった。そのままガイアの剣を受けると思いきや


「るらら~っ!」


高速の拳撃が振られた《魂喰らい》を折った。驚き、目を見開いているガイアは蹴り飛ばされ、その勢いで抜かれた《春雷》に心臓を刺し貫かれた。だが


「ただでは負けん! 《ダークフレア》!」

「んっ」


濃紫色の爆炎が迫る中、エカテリーナは冷静に《春雷》を構えて高速で振り抜いた。その風圧で爆炎が散らされてーー1もダメージを受けなかった。九州サーバーでも有名なプレイヤーがそんなに軽々と敗北したのを見て観客席で動揺が走った。だが


「さすがはアリアと頂点争いをしたプレイヤーね」


マモンは楽しそうに微笑んで次のプレイヤーを10秒も経たせずに全損させた。

やはり一六人の穴埋めは大変でした

ちなみに傘下全員ばらけているんで一回戦で参加メンバーに勝たない限り上に傘下以外のプレイヤーは来られません


32ー16ー8ー4-2の五回戦予定


マリアとアジアン忘れていたZE!

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