召喚獣
「アリア、来たか。とりあえず会議室に行くぞ」
「ジャック? 私達也からの呼び出しだったと思うんだけど」
「ああ、達也が待っている。とりあえず行くぞ」
そして三人で歩いて会議室に入る。
「本日は忙しい中お時間をいただき「達也、そんな話をしに呼んだんじゃないでしょ? 早くしようよ」
「……そうだな。とりあえず座ってくれ。親御さんもどうぞ」
「お気遣い無く」
アリアとそのお母さんが椅子に座るのを待って改めて
「本日はわざわざありがとうございます。それでは早速説明をさせていただいても?」
「私は構わないよ」
「一つだけ、良いかしら?」
「構いませんよ」
「アリアちゃんとそちらのお二方はいったいどんな関係なんですか?」
「アリアの方から何か説明などは?」
「一切ありません。ただ、将来に関わるので着いてきて欲しい、と」
「なるほど」
ジャックと達也は一瞬顔を見合わせて
「私は酒崎達也、そちらはジャックです。私たちの業務については?」
「デジタル関係としか」
「私たちはVR、バーチャルリアリティに関わる様々な方面を研究しています。ジャックの部署ではVRを利用した医療機関との提携を計るなどといった感じです」
「はぁ……よく分からないのですがアリアちゃんは何故、そのような研究職の方々とお知り合いに?」
「私たちの業務上、VRについては身をもって体験することが重要となっております。そのため、うちで運営をしているゲームの方で知り合いました」
お母さんが驚いている。それを無視して
「アリアさんとはそれから色々と我々の業務を手伝ってもらっています。去年の義足実験の際もアリアさんのおかげで満足のいくデータを取ることが出来ました」
「アリアちゃんが?」
「なんでそんなに疑わしそうなの?」
「アリアちゃんが実験に付き合うとは思えなくて」
「確かに」
「言われてみればそうだな」
「達也とジャックまで……」
「それとアリアちゃん、どうして歳上の二人を呼び捨てなの?」
「え?」
「それに敬語は?」
「お母さんシェリ姉みたいだよ」
「逆よ」
確かにそうだ。たはは、と苦笑して
「アリアさんを我々は勧誘しています」
「それは会社としてですか? 部署として?」
「どちらも、です」
「え」
そんなの聞いていない。
*****
「アリアちゃんって意外と世界が広いのね」
「うん、そうだね。でもお母さんは私が就職することに何も言わないんだね」
「今の社会だとね。私だってジャパン基準だと高校中退なのよ」
「え!?」
知らなかった。それに驚いていると
「お待たせしました、レモングラスとアリアちゃん専用甘々コーヒーです」
「アリアちゃん専用……? アリアちゃんはここの常連なのかしら」
「ここ、私とシェリ姉のバイト先だよ?」
「あ、そうなんだ」
お母さんは書類にちゃんと書き込んだはずなのに。
「エミもよくここに来ているよ」
「そうなんだ」
「それじゃ、お代はアリアちゃんのお給料から引いておくわね」
「ええ!?」
「確か現在の貯金は1000万を超えたんでしょ?」
「えっと今は……」
スマホの方から確認すると
「今は2000万だね」
「何があったらそんなに貯まるのよ……」
「テレビ出演とか?」
「なーる」
直美との会話にお母さんは苦笑して
「アリアちゃんのお金があればきっと結婚してもしばらくは苦労しなさそうだね」
「……?」
「その指輪、誰くんからの贈り物かな」
お母さんは実は気づいているのかもしれない。そう思うと少し怖かった。しかし
「子供同士の結婚の約束って意外と覚えているものなの。私はアリアちゃんが誰と結婚したいって言っても文句は言わないよ」
「お母さん……」
「早く孫の顔が見たいなー」
「まだ中学生だってば……あれ?」
この言い方だとまるで
「私は進学しないで良いの?」
「アリアちゃんがそうしたいなら、ね。でもお父さんにもちゃんと話さないと」
「……うん」
「だったら私はアリアちゃんに何も言いません」
*****
婚約者がいる、それはツゲオにとって初めての経験だった。アリアにとっても、だが。まぁ、普通の人間はいないだろう。
「お姉ちゃん、出て行って」
「良いじゃないの。義妹と交友を深めるのは大事よ」
「だからって……」
「エッチいことするわけじゃないんでしょ? なら良いじゃん」
「アリアまで……」
ツゲオは二対一を不利と悟り、大きくため息を吐いた。そのまま椅子に深く腰掛けて
「それで? お姉ちゃんは何の用なの?」
「見張り」
「え?」
「ツゲオがアリアに手を出さないかの見張り」
「うっわいらね」
アリアの呟きに2人が目を見開く。そして慌てて両手を振って
「別に違うからね⁉︎」
「アリア……そんな子だったのね」
「アリア……」
「そんな目で見ないで!?」
一旦全員で落ち着いて
「つまりアリアはむっつりスケベなのね」
「落ち着いてないじゃん!」
五分後
「婚約者って何をするの?」
「さぁ……いちゃいちゃするだけ?」
「ならいつも通りだね」
アリアはツゲオの膝の上で猫のように丸まっている。その頭は何故か亜美の太ももの上だ。三人とも何かがおかしいと思っていたが何も言わなかった。
*****
「ダンジョン作成と《召喚》スキル?」
「そうよ。新要素だって」
「へぇ」
エミは楽しそうに笑ってお知らせに目を走らせる。
「《召喚》スキルは買えるんだね」
「金さえあれば、ね。ダンジョン作成はお金がめっちゃかかるみたいだけど」
何故かは知らないけどピュアホワイトのレベルが上がっている。それも尋常じゃ無く。
「今のレベルは……130!?」
「ドヤァ」
「私が今89だから……40も差がついたの!?」
「ふはははは」
「地味だね」
「……自覚はある」
エミとピュアホワイトは笑っている。そこに
「こんにちは、二人とも」
「アスカ、久しぶり」
「久しぶり」
アヤ、シア、アーニャが来るのを待っていると
「ダンジョン創るの、どの辺りにする?」
「んー、どこでも良いんじゃない? ぶっちゃけ誰にも突破させる気無いし」
「またガチダンジョン?」
「創るからにはね」
姉とマモンの会話を聞かなかったことにして
「それじゃあみんなで《召還》スキル買って使ってみようよ!」
五分後
「それじゃー《召還》スキルで召喚するモンスターって萌えキャラなんだ」
「いや……私の男なんだが」
運営のスタッフの意思で外見は同じモンスターでもランダムとなりました。萌えキャラありイケメンありよく分からないのまで何でもある。
「エミの良いなー」
「でしょ?」
『んなー』
「でもテイムモンスターと同じ感じなんだよね」
「え」
エミが驚き、その腕の中から召喚獣が抜け出した。猫耳尻尾のおにゃの子だ。かわゆす。
「でもピュアホワイトのだって可愛いじゃん」
「超イケメンなんだけど」
「あ、そう」
ピュアホワイトは口では不満そうだけどその腕はしっかりと組まれている。召喚獣の猫耳が困ったように垂れていた。
《召還》スキルの最初は猫か犬、そのどちらかしか喚べない。そして熟練度を上げていくと喚べる召喚獣が増えていく感じだ。ちなみに満場一致でエミたちは猫にした。
作者ですら忘れかけていたスキルなどが復活!
これは昨日友人と話している途中に思い出しました
ツゲオ爆ぜろ
私が父親ならお前との結婚は認めん
でもアリアちゃんには幸せになって欲しいジレンマ




