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黒猫三兄弟

「エミ!」

「うん、分かってる!」

「行動と言葉が一致してねぇ!?」


アヤが言ったのは攻撃が届かないから引け、しかしエミが考えていたのはなんとかして引きずり落とせだった。すれ違うどころじゃない会話を済ませてエミは剣を鞘に収めて駆け出した。そして扇を振りかぶって


「《八扇乱斬》!」

「うぉ!?」


両手の指の隙間に扇を取り出して投げた。それはまっすぐに飛んで《ヴォルケイノドラゴン》へ激突した。しかし


「あぁもう! 墜ちない!」

「一旦引け! シアとアスカに任せるぞ!」

「まぴょっ!?」


エミの襟を掴んでアヤは駆け出す。そのまま背後から吐かれる炎をなんとか避け続けて


「《影落とし》っ!」


影に手裏剣と苦無が刺さった。すると《ヴォルケイノドラゴン》に重力が増したかのように落下し始めた。しかぁーし、ボスにそんな小細工は通用しないとばかり《ヴォルケイノドラゴン》は再び高高度へと上がった。そして


「《セイントランス》!」

「《ウォーターランス》! ……あ」


アスカが驚きの声を上げる。逃げ回っている途中に撃っていた、その足が止まった。炎の玉をアヤは盾で受け止めて


「どうした!」

「……《ウォーターボム》!」

「え!?」


今まで使わなかった広範囲攻撃スキルを使ったアスカにシアが驚く。しかしアスカはそれを無視して


「《アイスボール》!」


《ヴォルケイノドラゴン》の翼の付け根が水で濡れ、氷で冷やされて凍り付いた。そして地面に落下した《ヴォルケイノドラゴン》は六人でのフルボッコにあえなく光となって消えた。


*****


「《ヴォルケイノドラゴン》狩りを続ける?」

「それも良いわね」


ってことで本日の《ヴォルケイノドラゴン》討伐数、十三体。


「それじゃまた明日」

「お疲れー」


ピュアホワイトはログアウトをして……ヘルメット型デバイスを外した。そしてそのままベッドから降りて


「あ、真白。何しているの?」

「何も。そろそろ寝るからお休み」


歯磨きを済ませて眠ろうとしたそのときだった。電話がかかってきた。


「もしもし」

『もしもし、真白?』

「……エミ?」

『うん』

「何の用なの?」

『明日の宿題ってどこまでだっけ?』


さっき聞けば良かったじゃん、その言葉を飲み込んで教えると


『ありがと!』


それだけ言って電話は切れた。何なのあの子、奔放すぎる。そうは思ったけど悪い気はしなかった。


*****


「エミ、何で昨日ログアウトする前に聞かなかったの?」

「何でって机の上に置いてたから気づいたの」

「……はぁ」

「真白はどうしてエロ本読んでるの?」

「面白いし」

「え」


エミが絶句しているのを無視してページをめくる。ふむふむ、


「やっぱ男ってでかいのが好きなのかな」

「んー、どうかな? お姉ちゃん私より小さいのに彼氏いるよ?」

「へぇ」


そんな風にのんびりと昼休みを過ごしていると校内放送が流れた。


『生徒会からのお知らせです。本日四月三十日をもちまして生徒会長を交代します。藤大4《フジダイフォー》元生徒会長から二階堂アリア会長へと交代します』

「お姉ちゃんが!?」

『桐ヶ谷雛副会長、油谷朝日書記、玖堂才人クドウサイト会計の四人が新生徒会となりました』


お姉ちゃん以外知らない名前だ、とエミが呟いた。この学校の生徒会は生徒会長がメンバーを決める、つまりアリアさんが選んだのだろう。


「……あ、お姉ちゃんだ」

「あ、いたいた。エミにちょーっと仕事頼んでも良い?」

「えー? 何?」

「次の生徒会長を任せたいからその……練習的な感じで生徒会に所属して欲しいんだ」

「えー」

「お願い」


お姉ちゃんが頭を下げるだと!? そう愕然としているエミにアリアは気づかない。しかしアリアは頭を下げているから当然なのかもしれない。そう思っていると


「お願い、エミ」

「……白織屋でパフェ」

「良いよ」


物で釣られる系12歳、真白は呆れながらエロ本のページをめくった。ちなみにそんな真白が周りから呆れられているのには気づいていない。男子からは人気だが。主にエロ本の内容的な意味で。


*****


「生徒会長になっちゃったんだ。私と同じだね」

「もう止めたいけどね」

「初日でしょうが」



容赦のないシェリ姉の婆チョップがお姉ちゃんを打ち据える。頭を押さえて涙目のお姉ちゃんをシェリ姉は眺めて


「エミ、先にお風呂入っちゃって。私はご飯作るから」

「お姉ちゃんは?」

「しばらくほっとく」


*****


「お姉ちゃん何しているの?」

「格ゲー」

「うわ」


お姉ちゃんが格ゲーも美味いことが分かった。確実にコンボを決めて相手を浮かし、さらに雨下し攻撃をたたき込んで倒れた相手に追撃を加えている。そしてKOしてから


「どうしたの? エミもゲームしに来たの?」

「そんなとこ」


天神にある大きめのゲーセンでたまたま出くわした。妹は驚き、姉は驚かない。そして


「クレーンゲーム?」

「うん、黒猫三兄弟のクッションがあるんだって」


黒猫三兄弟、それは可愛い黒猫たち三匹の日常を描いたアニメだ。つまりアニメグッズのクレーンゲームをやりに来たらしい。

そしてお目当てのクレーンゲームを見つけたエミは電子マネーで料金を払って開始した。だが


「むむむ」

「本体が重い上にアームが弱いね。一番上に上げた衝撃で落ちてるもん」

「……」

「エミ、悪いことは言わないから止めといたら? それ無理だと思うよ」

「え」


持ち上げた人形が壁際に移動してしまった。アリアは嘆息して


「すいません、元の位置にお願いします」

「はーい」


店員さんに頼んで真ん中に。笑みは頷いてチャレンジを再開した。そして五分後


「とれた!」

「おめでとう」


ぎゅーっと抱きしめている妹を見てアリアは微笑んでいる。実は頼まれたらあっさりとれる自信があった。しかし妹の喜び方を見て、それを言うのは野暮だと思ったのか何も言わなかった。


「あ」

「どうしたの?」

「……黒猫だ」

「ほんとだね」


黒猫の違うグッズがあったのを見て、エミの動きが変わった。ふらふらと寄っていった。しかし


「……」

「これ、私が取ろうか?」

「お姉ちゃん……出来るの?」

「うん、出来るよ」


二回で取った。エミは両手に黒猫で嬉しそうだ。とりあえず電車に揺られて帰っていると


「ありがと」

「ん」


エミは満面の笑みでそう言った。しかし


「改札が通れない……」

「はいはい」


黒猫を両手で持っているせいで通ることが出来ない妹は涙目だった。


*****


黒猫の印刷されているパジャマの妹は妹と戯れている。それをシェリルは眺めながら紅茶を飲んだ。


「なかなか美味しいわね」

「シェリちゃん、高校には慣れた?」

「そこそこね。知り合いもいるから」

「そっか」


ヨーロッパのどこか出身のお母さんは微笑んで


「お母さんは日本こっちに来てから一人で寂しかったのに……やっぱり私の娘たちは凄いね。お父さんの血かしら」

「知らないわよ。でもお母さんも凄いわよ」

「どこが?」


それに答えず、妹たちに目を向けると何故か組み体操のサボテンをしていた。何をしているのよ。


「あぴょるっ!?」

「はべりおんっ!?」


よく分からない悲鳴をあげて二人が床に激突した。

黒猫三兄弟をイメージしてにゃーにゃーにゃーと聞こえてきて幸せになりました

猫可愛いよ猫


明日から正式に大学の授業開始……不安だね

大体の方は新年度で本格的に始まるんじゃないでしょうか

まぁそんなのに構わずにソーニョは続けるけどね


誕生日まであと9日、誰か何かくれないかなー(チラッ

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