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新たなる始まり

終わったと思った? ねぇねぇ、終わったと思った? 残念、やんb

「それでは新入生、退場!」


周りの人に押されるように体育館から押し出される。そのまま廊下を歩いて教室に彼女たちは押し込められ、割り当てられた席に座る。そのまま窓の外や知り合い、各々が自由に、しかし緊張を孕んでいる時間を過ごしてーー


「みなさん、席に着いてください」


担任なのだろうか、それが教室に入って来て教壇に立った。そして電子黒板を操作して


「私が一年間みなさんの担任を務める佐藤麗子です。よろしくお願いします」


各々のバラバラな声量でも30を越えれば大声となる。それに辟易しながら眺めていると


「それではみなさん、自己紹介をお願いします。左端から右奥へと進む感じでお願いしますね」

「……」


ため息を出しそうになりながらも堪えて


赤坂真白アカサカマシロです」


赤と白の入り混じった矛盾した名前を口にした。


*****


「真白、部活とかどうする?」

「部活は明日の説明会があるでしょ。それに帰宅部の予定だし」

「え、そうなの?」

「だって折角中学からバイトができるのよ? ならするっきゃないじゃない」


親友の遠藤薫エンドウカオルの言葉に応えながらため息を吐く。同じア行なので前後の席だ。


「薫は何部に入るの?」

「うーん。生徒会とか?」

「禿げろ」

「酷い」


息を吐くような会話をしていると鐘が鳴り、雑談の時間が終わった。そして先生が配った紙を受け取り、残りを後ろに回す。一番前はこれだから嫌だ。


「で、口頭だと覚えないから自己紹介を書け、ね」

「面倒だね」

「生徒会入りしたいなら生真面目な文章が良いんじゃないの?」

「あー、そうかも」


後ろの席からカリカリ、と勢いのあるシャーペンの音が聞こえるのにため息を吐きながら生年月日や性別を書き込んでいく。というか制服で性別分かるでしょ。


*****


「桜が散り終わっているわね」

「これはこれで趣あるじゃん」

「新緑色に何かを感じたりしないわよ」


薫と連れ添って坂道を下って行く。そのまま自宅の前でまた明日、と言って別れて


「ーーリンク、イン」


少し怖くてとても不思議だった。初めてのVRに戸惑いつつ、そのインストールしておいたゲームを起動する。

ゲームの名前は『ソーニョ・スキルズ・オンライン』。世界的な大会もあり、テレビや実況などの様々な方面で有名なゲームだ。

そのままチュートリアルを多少手間取りつつ終わらせて


「……これがVRMMO」


たくさんのプレイヤーが街の中を歩いている。話していたり、メニューを開いて覗いていたり、買い物をしていたりと千差万別だ。

そんな驚きに包まれていると


「っとと、済まね」

「大丈夫ですか?」

「街の中だからダメージは無いみたいだね……ま、心配ご無用」


その女性は私の手を掴んで立ち上がって


「新参?」

「……はい」

「私もだ。よろしく」

「ピュアホワイトです」

「アヤだ」


握手をしてフレンド登録。これでメッセージを遅れたり、現在のログイン状況が分かる。


「しかし昼間だってのにプレイヤー多いもんだ」

「私は入学式だから早いだけです」

「なるなる」


アヤはそう応えながら何故か私の側から動かない。だから私も動かないでいると


「おい……」

「あれって……」

「トッププレイヤーの……」

「《魔王の傘下》のギルドマスターの……」


ざわめきが起きた。それに目を向けると


「大丈夫か?」

「大丈夫です。それにあなたは目立っているんですから少し大人しくしたほうが良いと思いますよ」

「……そう、か」

「私は大丈夫です、魔王。だからあなたはあなたのプレイスタイルで最前線にいてください。すぐに追いつきますから」


おお〜、と歓声が起きるほどのカッコいい女性の言葉。それに魔王と呼ばれたプレイヤーは仕方ないな、みたいな表情をしてアイテムを使ったのか姿を消した。


「今の、なんだ?」

「《魔王の傘下》ってトップギルドのギルドマスター。魔王だよ」

「へぇ……やっぱ凄いんだろうな」

「多分ね」


メニューに一通り目を通して閉じた。すると


「あぴょっ⁉︎」

「あっ⁉︎」


さっきの女性と赤っぽい髪の少女が激突し、2人とも尻餅をついた。


「あの髪の色……アリア?」

「え?」


思わず顔を向けた。すると


「大丈夫ですか?」

「あ、はい。大丈夫です!」

「いや、アリアはあんな礼儀正しくない」

「酷い⁉︎」


思わず叫んだ。すると激突した2人が私たちに目を向けて


「どうしました?」

「あ、いやなんでもないです」

「いやー、そっちの子の髪の色が知り合いに似ているなーって話をしていまして」


カッコいい女性の言葉にアヤがそう応えると少女がアヤを見上げて


「似ている?」

「ああ。アリアって言うんだけど」


アリア、言われてみればあのプレイヤーと同じ髪の色だ。そして少女が目を見開いて


「お姉ちゃんを知っているんですか⁉︎」

「んー、リアルでは世話になった身だな」

「……姉⁉︎ ってか妹⁉︎」


いたんだ、という驚き。アリアには姉のシェリルというプレイヤーがいるのは有名だったけど……まさか、ね。


「これも何かの縁でしょう。四人でパーティを組みませんか?」


カッコいい女性の言葉に全員が同意するまで、そう時間はかからなかった。


*****


「剣士2人に魔法使い一人、ね」


そして飛び道具使い、か。中々ピーキーなパーティだと思いながら歩く。お姉ちゃんならきっと1人でも強いはずだ。だけど知っている。お姉ちゃんにだって弱かった時期があったんだって。


「この辺りって何が出るの?」

「ゴブリンとかスライムじゃないのか?」


男らしい口調で応えるアヤ。それに頷いているピュアホワイト、そしてアスカ。


「エミはVRMMOはこれが初めて?」

「うん、そだよ」

「私もだ」

「私も」

「私もですよ」


なんだ、全員が初心者か。そう思っていると


「あ」

「ん」

「蟻……だね」

「うっ……」

「アスカ?」

「……すいません、ちょっとここまで大きいのは……」


顔色が悪いアスカが後ずさる。しかし蟻はそれを気にも留めずに私たちへ近づいてきた。


「エミ!」

「え」

「避けて!」


突き飛ばされた。地面に倒れて……文句を言おうとしたら蟻の脚がさっきまで私がいた位置を貫いていた。


「助かった!」

「注意しなさい!」


ピュアホワイトの言葉に頷きながら腰の剣を抜く。そのまま構える。しかし


「構えるよりも攻撃!」

「え」

「相手は待ってくれないんだよ!」


アヤはそう言いながら片手で握った剣を振りかぶって


「《アークスラッシュ》!」


高速の二連撃を打った。しかしそれは蟻の胴を掠めて終わった。見ると腰が引けていた。


「ここまでデカいとは思わなんだ」

「言い訳は良いから逃げるよ!」

「逃げるのかよ⁉︎」

「調べたけどこの辺りで最強のモンスターよ!」


最強……?


「エミ⁉︎」

「何しているの⁉︎」

「最強……だったら倒したいって思うだけだよ」

「「は?」」


2人の反応を無視して片手長剣を握り締める。そのまま振り下ろされる脚を避けて


「んっ」


斬った。


*****


「アリアみたいな動きをしやがる……」

「……」


見惚れていた。確実に攻撃を避けてチクチクとダメージを与えていく、まるで舞のような剣撃に。そして


「蟻酸よ! 避けて!」

「分かっているよ」


吐かれた蟻酸の塊を軽々と避けてーー蟻の細い首を剣で突き刺し、全損させた。

感動(出来ない感じ)の最終回からの二章開幕でございます

一章はアリア視点多めでした

二章からは今回を読めば分かる四人がメインです

ちなみにピュアホワイト真白を除いて全員が今までに出ています

誰が誰だか分かるかな?


それではまたしばらくよろしくお願いします

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