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ありがとう、ソーニョ・スキルズ・オンライン

3月11日、その日が出来れば来ないで欲しい、私たちはそう思っていて、願っていた。しかしその日は足を止めずに、来てしまった。


*****


桜舞い散る通学路を歩く。今日は隣に小柄な彼女はいない。それを寂しく思いながら校門をくぐる。そのまま坂道を登る。


「……卒業、か」


一生のうちに限られた回数しかない。だからと言って別段何も感じたりはしない。クラスで仲の良かった人たちの進路はバラバラだ。でも特に何も感じたりはしない。


「江利くん」

「……シェリルさん」

「おはよう。テンション低そうね」

「……そうだね」

「アリアちゃんがいないから?」


からかうような彼女の言葉に頷くと


「マジで言ってるの? だとしたらアリアちゃんに伝えたいくらいなんだけど」

「うん、マジだよ」

「はぁ……ラブラブだね」

「うん、そうだね」


シェリルさんの呆れたような口調に苦笑しながら昇降口に。靴を履き替えて階段を上っていると


「アリアちゃんは行かないって言っていたよ」

「そっか……」

「あからさまに残念そうね」

「……まぁ、そうだろうね」

「江利くん……卒業式だからって告白してくる子もいると思うんだけど」

「……いやいや、いないよ」


いない、と思いたい。そう思いながら教室へ。電子黒板に大きく『卒業おめでとう』と書いてある。


「感慨無いなぁ」

「そうなの?」

「うん。私にとっては何も無かったからね」

「……」

「江利くんにとってはたくさんあったかもしれないけどね」


シェリルさんは窓際の席に座り、窓の外を眺めた。正確にはアリアの席を眺めた。しかし今そこに洋紅色の少女はいない。


「誘いはしたんだけどね」

「……仕方ないよ。アリアも朝はゆっくりしたいだろうし」

「かもね」


シェリルさんが苦笑していると教室の扉が開いて


「みなさん、おはよう」

「「「「「おはようございます」」」」」


担任の先生が教室に入ってきたので立っていた生徒たちが席に着く。よく見ると先生の目元は赤い。


「先生、泣いていたみたいね」

「そうだね」


シェリルさんの隣の席で頷いているとチャイムが鳴り、体育館へ移動することとなった。列になって移動し、決められた席に座る。そのまま色々あってクラス代表が卒業証書を受け取って


「卒業生、退場!」


拍手の中、女子たちは泣き、男子もちらほらと泣いている。それを眺めながら体育館から出て教室へ。そして保護者達が教室の後ろに並んでいる。しかし


「お姉ちゃん……」

「亜美も来ているんだ」

「お母さんは来ていないけどね」


僕のお母さんはいないがお姉ちゃんがいた。そしてシェリルの妹とお母さんがいた。しかし


「アリアは来ていないみたいね」

「そうみたいだね……」

「お母さん、アリアちゃんは?」

「朝からどこかに出かけているよ?」


え、と驚いていると


「全員座ってください」


クラス全員が席に座ったのを確認して一人一人に卒業証書が渡される。それを無感動で済ませて


「……」

「江利くん」

「……」

「江利くん?」

「あ、なに?」

「後でちょっと時間もらえる?」


シェリルさんが何をするのか分からないけどとりあえず頷いて……卒業式は終わった。


*****


「江利くん、着いて来て」

「分かっているよ」


お姉ちゃんたちを置いて教室から出ようとする。しかし


「江利くん、待って!」

「え?」

「時間良いかな?」


なんと応えるべきか迷っていると


「ごめんだけど江利くんは私が先約なの」

「え……」

「それに告白の類なら私の妹がいるから無理だと思うよ」

「……」


シェリルさんは残酷とも言える感じで切り捨てた。それを見て妹さんは何も分かっていないような顔で、お母さんは苦笑していた。


「早く行くわよ」

「行く……?」


目的地があるのか。そう思いながら昇降口を出ると


「卒業おめでとう」

「……直美?」

「私だけじゃないよ。瑠璃も流沙もいるよ」

「……そっか」

「そして大ボスの!」

「大ボス!?」


驚いていると洋紅色の髪が視界に入り込んだ。シェリルの髪型とは違う。


「アリア……」

「卒業、おめでとう。ツゲオ」

「……ありがとう」

「でも何がおめでたいのかな?」


アリアはいつも通りだった。そう思っていると


「ほら」

「……花束?」

「多分邪魔になるだけと思うけどね」

「……ありがとう」


アリアが差し出した花は桜の花。品種改良が進んだ結果、ヒヤシンスのように咲く種類もあるようになったそれだ。


「ねぇ、ツゲオ」

「なにかな?」

「目、閉じて屈んで」


それから行われたキスは今までに見たことが無いほど情熱的だったと彼女の姉は語った。


「あ、そう言えばシェリ姉も卒業おめでとう」

「おまけ扱い!?」


*****


「シエルも卒業したんでしょ?」

「ああ、そうだよ」

「大学進学なの?」

「いや、就職だ」


そうなんだ、と思いながら桜餅を食べていると


「アリア、何か剣作ってくれ」

「んー? どんな?」

「デッケェの」

「ほうほう」

「それだけで良いからさ」


シエルの言葉に頷いていると


「マモン、ココア飲みたいな」

「はいはい。ちょっと待ってね」


マモンが台所に引っ込む。その様子を見てセブンスドラゴニックライオネルソードは


「変わったなぁ」


と呟いた。そして


「僕もココアで」

「はーい」


ルシファーの声に返事、そして


「アリアちゃんは何か飲む?」

「んー、苦くないの」

「苦くないの……アップルティーで良いかな」


桜餅と合うのか分からないけど食べていると


「アリアちゃん、ちょっと良い?」

「シェリ姉? どうしたの?」

「記念写真撮ろうって思って。魔王たちも呼んでるよ」

「そうなの?」


驚いている間にみんながカーマインブラックスミス内に揃って


「それじゃー撮るよ」

「僕、シンの隣が良いな」

「だったら私はアリアちゃんの隣ー」

「じゃあ私は弟と義妹の後ろで」


みんながそれぞれ自由に移動して


「それじゃ、タイマーするからね」


ドロップアイテム《once camera》を使ってみんなの記念写真を取った。みんながそれぞれ個性的で纏まりが無い写真だ。だけど


「悪くない、そう思わない?」

「うん、そうだね」


*****


一年の終業式が終わった。と、言っても大半寝ていてきりに起こしてもらったんだけど。

桜が散り、薄茶色に染まった花弁が足元に散らばっている。それを眺めながら帰ろうとしていると


「アリア、もう帰るの? 学食で何か食べて行かない?」

「うーん……少し寄り道しない?」

「ん、どこに?」

「ゲーセン」


ってことなので一緒にゲーセンに行って


「何するの?」

「んー、クレーンとかしてみる?」

「え、何をするか決めてないの?」

「うん、寄り道っぽいでしょ?」


きりは苦笑してゲーセン内を見回す。そして


「音ゲーでもする?」

「あー、良いかもね」


2人で音ゲーをしてスコアを競って


「アリアってゲーム全般が美味いのね」

「でしょ?」

「昆虫王者虫キングとかも強そう」


チョイスが古いなぁ、と思っていると


「ねぇ、アリア」

「ん?」

「プリクラ撮らない? 来年は違うクラスになるかもだし」

「……そうだね。記念写真だね」

「や、記念写真って言うか記念プリクラでしょ」


それもそうだね、と思いながら2人で仲良くわいわい言いながらプリクラを撮った。

こうやって友だちと遊びに行ったのも彼氏が出来たのも……全部あの世界ソーニョのおかげだ。


ありがとう、ソーニョ・スキルズ・オンライン。

サンキュー、エクスガリbありがとう、ソーニョ・スキルズ・オンラインというわけで最終回です

いきなり、と驚かれる方も多いかと思いますがそれは置いておいてください


それとアリアの妹のエミリアを小学六年生に書き直したいと思います

ただどこに書いたのか分からないので教えてくれると助かります


それではまた縁があれば












































伏線回収? なんのことやら

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