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ポニーテール

「私とレヴィとベルは今日成人式だったのよ」

「成人式って何をするの?」

「昔の友人たちと会ったり、かな?」

「ふーん」


アリアちゃんは興味無さそうに野菜とお肉を左右の手で同時に切り刻んで


「あ、ミンチにするんだった」

「あはははは!」


簡単な失敗をしていた。ミンチには確かお肉を叩くんだよね?


「何か考え事?」

「うん……ちょっとね」

「聞いても良い?」

「うーん……バレンタインでさ、シンにチョコを上げようと思っているんだけど作り方が分からなくて」

「ググりなさいよ」


思わず突っ込んでしまった。するとアリアちゃんはあはは、と笑って


「とりあえず湯煎ね……ううん、何を作るの? チョコクッキー?」

「うん、チョコクッキー」

「クッキー作れるよね?」

「うん」

「生地にチョコを混ぜなさい」

「え」

「それで終わりよ」


*****


「ってことでチョコクッキーです」

「あ、うん。ありがとう……?」

「自信作だよ。味見で食べ過ぎそうになったし」

「あ、あはは……」


ツゲオは苦笑しながらクッキーを一枚取り出して齧った。


「うん、美味しいね」

「良かった……うん」

「アリアも食べなよ」

「え、でもツゲオにあげたのだよ?」

「なら僕がアリアにプレゼント、ということで」

「……ありがと」


ツゲオから一枚もらって齧る。甘くて美味しい。


「2月14か、バレンタインデーかぁ」

「元々傭兵のヴァレンティンさんが起源だったと思うけどね」

「あ、そうだったんだ」

「最初は普通の贈り物だったんだよ? それをどこかのお菓子会社がチョコレートを贈る行事に仕立て上げたんだよ」

「へぇ~」


ツゲオの意外な雑学に感心しながら空を見上げる。河にあるベンチから見る景色は曇り空だ。


「曇っているね」

「だね」

「国語なら心情を表現しているって言うんだろうね」


だとしたら、今の曇り空は誰の心情を表現しているのだろう。少なくとも僕じゃない。


「ツゲオの心情?」

「僕の心情だと今は晴れかな」

「そうなの?」

「うん」


ツゲオはそう言いながら空を見上げる。つられて空を見上げると


「あ」

「降ってきたね」

「急いで帰らないと」

「僕の家近いけど傘貸そうか?」

「ううん、この程度なら大丈b


ザァァーッ!


「橋の下で雨宿りしよっか」

「うん」


言いながら駆け込む。濡れた。時計型デバイスやスマホが濡れていないかを確認して一息吐く。大丈夫だった。


「ツゲオの家って近いの?」

「うん。ここから50メートルくらいかな?」

「荷物が無ければ走れる距離だね……」

「荷物持とうか?」

「ううん、良いよ。自分で持って走るよ」


ツゲオは苦笑して屋根が濃緑の家を指差して


「あの家までだよ。大丈夫?」

「結構小さい?」

「アリアの家が大きいんだよ」

「そうなのかな」


1分もかからずにツゲオの家の門をくぐる。そのまま鍵を開けて


「どうぞ」

「お邪魔します」

「タオル取ってくるから待ってて」


ツゲオの言葉に頷き、玄関で待っていると


「アリアじゃない。なに、家でいちゃつくの?」

「亜美……大学は?」

「卒業式まで行かなくても良いの」

「そうなんだ」


驚いていると亜美がゴムや髪飾りを取ってタオルで髪をわしゃわしゃする。そして


「髪形を整えるからじっとしてなさい」

「はーい」


亜美に連れられて洗面所に。そこで椅子に座らされて


「どんな髪型がお望みですか?」

「んー、いつもツインテールだからポニーとか?」

「アリアの髪の量だとギリギリかな……ちょっと待ってなさい」


五分後


「意外と髪の量あるわね」

「そうかな?」

「そうよ……ほら、じっとしてて」


くすぐったい亜美の指を頭で感じていると


「ほら、こんな感じでどう?」

「わ、凄い」

「我ながら自信作よ……やっぱり妹欲しいなぁ」

「え?」

「こうやって髪の毛弄ってあげたかったのよね……」

「娘さんにしてあげたら?」

「まだ旦那様候補がいませーん」


ありゃりゃ、と笑っているとツゲオが扉を開けて


「お姉ちゃん、アリアの……」

「ツゲオ?」

「……」


ツゲオが私を見て息を呑んだ。そしてそのまま顔を赤くした。


「どうしたのよ」

「可愛い……」

「ツゲオも可愛いよ」

「「え!?」」


その様子が可愛いって言ったら二人の表情が変化した。そしてこそこそ話をしている。


「アリアって感性まで残念なの?」

「知らないよ……」


なんだか物凄く酷いことを言われた気がするけど鏡に映る私が思ったよりも可愛いので許した。


*****


「あら?」


窓から外を眺めていると車が家の前で止まった。見覚えのない車に首を傾げていると


「あ、亜美じゃん」


驚いて部屋から出る。そのまま階段を降りて玄関まで出て


「どうしたの……ってアリアちゃん、送ってもらったの?」

「無理言って送らせてもらったのよ」

「逆でしょ普通……」


亜美の言葉に苦笑してアリアちゃんのポニーテールを眺める。


「とても可愛いよ、アリアちゃん」

「亜美がしてくれたんだ」

「そうなの? 弟子入りしたら?」

「良いわね、それ。これからも家に寄ってくれたら教えてあげられるわよ?」

「え、ホント?」


アリアちゃんが珍しくやる気を見せている。そう思っていると


「ツゲオのためなら?」

「うん」

「そう。だったら最高に可愛いくしないとね」

「うん、もちろんだよ」

「ふふっ」


思わず笑ってしまった。すると


「あ、お姉ちゃんとシェリ姉と……?」

「あ、エミ。お帰り」

「エミ……? 妹?」

「うん、妹のエミリアだよ」


いまここで亜美エミリアとエミリアが出会ってしまった。それに亜美は苦笑して


「アリアたちの友だちの亜美です、よろしくね」

「えっと……?」


よろしくしても良いの? 見たいな目で私を見るエミに頷いて


「えっと二階堂エミリアです! よろしくお願いします!」

「江利亜美です、弟ともどもアリアたちにはお世話になっています」

「お世話に?」


してもらっている側のアリアちゃんが首を傾げる。それに三人で思わず笑ってしまい、除け者になったアリアちゃんがおどおどしているのを見て亜美が涙を出しながら爆笑していた。


*****


「豆まき?」

「そうよ」

「でもバレンタインデー終わっちゃったよね?」

「忘れていたからおまけとして、よ。2月中にしておこうって思って」


マモンの言葉に頷いて豆を取り出す。色々と料理に使えるそれを撒いていると


「……レヴィ?」

「これ、銃弾として飛ばせないかしら……」


何かしらの試行錯誤しているレヴィが銃を神速で抜いて豆を撃った。それは壁に当たって床に落ちた。


「食べ物で遊ばないの」

「……はい」


そして5分間フルでマモンに正座で説教されていた。さすが飲食店の娘。


「でもそろそろ一年経っちゃうんだね」

「え?」

「私たちがまた揃って……仲間が増えてからね」

「そうだね……もう一年かぁ」

「色々あったねぇ」

「まったくね」


三人で思い出してしんみりしていると


「何この空気」

「あ、マリア」

「どうしたの?」

「豆撒きしているって聞いてやってきたんだけど……」


リアル事情で解散した元《動物園》、現《魔王の傘下》のメンバーのマリアが呆れたような顔でやってきた。そして季節はずれだって言って出て行った。何しに来たのさ。

粗雑なエイプリルフール用の話を書いて絶賛後悔中

予約投稿しちゃったけど


アリアちゃんのポニーテールの絵を描いてください(切実)

ツインテールも素敵だけどポニーテールも良いと思います

お団子とかもしれ欲しいですね


そしてツゲオは性懲りもなくいちゃつきおって……

最終回が近いんだから自重しろよ(真顔)

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