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文化祭の終わり

「アリア、何か食べたい?」

「んー、特には無いかなぁ。ツゲオは?」

「まだお腹減ってない」


そっかー、と思いながら廊下を歩く。するとすれ違った女の人から何かを感じた気がした。顔を向けるもサングラスにマスクの不審な装い……だけど分かった。


「優さん、またね」

「「え」」


ツゲオと優さんの驚きの声を無視して廊下を歩く。3年生は時間をあまりかけないようなものが多い。高校受験の時間を取りたいんだろう。学校の方針でエスカレーター推奨だけど。


「ツゲオは受験なの?」

「ううん、エスカレーターだよ」

「そっか……でも学校は変わるからね」

「そうだね」


何故かは知らないけど高校と中学の間には山がある。だから遠く、とてもじゃないけど登下校時に一緒なんてできない。


「……」

「……」


それが嫌だ。でも言えない。繋いだ手をぎゅっと握りしめる。心ごとぎゅっと。


「ツゲオは食べたい物はあるの?」

「……何か温かい物かな」

「ふむふむ。焼き系かぁ」

「煮込みも考えてあげてね」


揚げるのは家庭科室を使用している一クラスだけだ。他のクラスは電気コンロを持ち込んたりしている。


「たこ焼きとか食べる?」

「定番だね」

「ならやめる?」

「ううん」


ツゲオは私に微笑んで


「温かいなら良いさ」

「アバウトだなぁ」

「ははは」


*****


「あら」

「むっ」

「あ」

「何をしているの?」

「「……」」


何故か顔を逸らすアリアちゃんとツゲオ、しかも何故かその2人の顔の間は狭い。まるで


「キスの邪魔をしちゃったかな?」

「……⁉︎ 別に良いでしょ⁉︎」

「良いけどね。ごめんね、江利くん」

「……気にしないで」


江利くんは残念そうに笑った。アリアちゃんは不満を隠そうとしていない。頬を膨らませている。可愛い。頬をツンツンしたい。


「ちなみにアリアちゃん、ここって上からだと丸見えなの」

「えっ⁉︎」

「そうだったんだ」

「お勧めは屋上かな。元会長権限で鍵を貸せるわよ」


*****


「ふふふ、屋上は実はここから丸見えなのだよ」

「うわ、酷え」

「流沙さんもあの二人の行方は気になるでしょ?」

「……シェリルほどじゃないけどな」


ため息を吐いて向かい校舎の四階の空き教室から出る。空き教室の中でシェリルが二人を眺めている。一体何を考えているんだろうか……この辺りは直美みたいだ。姉のように接していた彼女に似るのも無理は無いけど。


「……おっと」

「流沙か。何かあったか?」

「特には。ま、アリアたちが屋上に移動したくらいだな」

「そうか」


真央は教室内に目を向けて


「この教室、今は使われていないみたいだな」

「みたいだな」

「俺はここの教室だったから覚えているさ」

「へぇ」


俺と瑠璃、直美と真央がここのOBなのは知っていたが……俺たちのときには空き教室だったな。今日私立を受ける生徒が多くないってことかな。


「で、お前のそれはなんだ?」

「え? どれのことだ?」

「……背中に貼り付けてあるそのシールだ」


剥がしてもらうと直美が持っていたシールだと発覚した。2人で苦笑して


「お前、何かに悩んでいるみたいだな」

「……まぁ、そうかもな」

「何かあったのか……? いや、あったんだろうな」

「まぁね……」

「話せるなら話してみろ。無理はしないで良いさ」


真央はそう言って直美の店で売っていた飲み物を口にした。そして


「その年頃なら恋愛かもな」

「……プロポーズできていない奴に言われたくない」

「その通りだな」


真央は笑って


「シェリル、そろそろ覗き見は止めたほうが良い」

「ん……どちら様?」

「む……ああ、そうか。一度しか会っていないからな」

「夏休み前くらいに会った気が……あぁ、オフ会の時に。真央さんでしたね」


シェリルは思い出したように微笑んで


「お久しぶりです」

「ご無沙汰しています……流沙?」

「……ん、ああ」


一瞬アリアとツゲオがキスをしていたように見えた。シェリルはその瞬間を見ていない。良かった……のか?


「それよりも流沙、お前は何に悩んでいるんだ?」

「瑠璃と直美に告白されたのは知っているか?」

「知っているとでも思うのか? 薄々は感づいていたが……」

「感づけるぐらい露骨だったか?」

「瑠璃はな。だが直美は結構分かり辛かった」


気づいていたんなら言えよ、そう理不尽な事を思っていると


『どこにいるの?』

「ん……真央がかつて使っていた教室」

『どこよそれ』


瑠璃の言葉に苦笑していると電話の向こうで何かぼそぼそと聞こえ


『四階の空き教室ね』

「なんで分かるんだよ」

『直美に聞いたわ』


左様で。


*****


「すぅ……すぴゃぁ……」


不思議な寝息だなぁ、と思いながらアリアの髪に触れる。洋紅カーマインの髪は僕の太ももにかかっている。それを眺めて


「相変わらず不思議な子だなぁ」

「……もひょひょ」

「何か面白い夢でも見ているのかな」


奇妙な笑い声を上げたアリアに苦笑して……目を閉じる。12月とはいえ陽が当たっていると暖かい。確かに眠りたくなるのも分からなくはない。だけど眠れない。何故ならば


「そんなに見られていると恥ずかしいんだけど」

「良いじゃないの」

「お姉ちゃんはそれで良くてもさ……僕は良くないよ。それにアリアも」


何故か向かいの屋上に立っているお姉ちゃんにため息を吐いて……学校の鐘が鳴った。まぁ、鐘の電子音なんだけどさ。とりあえず


「アリア、もう文化祭が終わりそうだよ」

「…………んぅ……あと5……」

「5?」

「5時間……」

「それは寝過ぎ」


苦笑しながら頭を撫でていると


「えへへ」

「……起きた?」

「うん」

「おはよう」

「おふぁよ」


欠伸交じりの挨拶をしてアリアの顔が少し赤くなる。恥ずかしいのかな? 僕はそんなのは気にしないけど……


「文化祭も終わりかぁ」

「だねぇ」

「なんだか何もしていなかった気がするねぇ」

「気のせいだよ」


色々あった気がする……あれ……そんなことは無かった気もする。うん、気にしない。


「それじゃ、また後で」

「うん、また後で」


お互いの教室に戻って片付け、だから階段の途中で分かれる。すると


「よっ」

「……瑠璃」

「何してんの? 後片付け?」

「そうだよ」

「三年の教室下なんだ……変わったなぁ」


瑠璃は歩きながら教室を覗き込んでいる。すると


「うげ」

「お、瑠璃じゃないか。久しぶりだな」

「ご無沙汰しています……先生」

「何だその嫌そうな顔」


かつての担任と遭遇したのか顔色が悪い。そして


「江利、片付け始まっているぞ」

「分かりました。それじゃ」

「はいはい」


瑠璃と別れて教室に入る。そのまま言葉を交わしながら片づけを手伝っていると


「あの……江利くん、この後時間良いかな」

「え……? 大丈夫だけど……」


そして片づけが終わり、ホームルームが終わった。そして


「あの……二人きりになれる場所に……」

「……うん」


何のためか、少しだけ予想は出来た。だけど


「告白の類なら断らせてもらうよ」

「そんな……どうして!?」

「アリアがいるから」


その子は廊下の途中で悲しげな表情を浮かべた。すると階段の方から洋紅色の髪の少女が。その子はアリアを見ていきなり殴ろうとした。そして驚く間もなく床に倒れた。


「一体何をしたの?」

「直美直伝のカウンターだよ」


アリアは倒れたその子を平然と通り過ぎて


「ほら、帰ろ?」

「あ、うん」

何かあると思った? 残念、普通に終わっちゃった!


現在が12月23日、もう大晦日まで何もありませんねすっ飛ばします

クリスマスはもう廃止されましたからね


文字数と時間的に書けなかったアリアとエカテリーナ戦をここで書いてみたりする。省略形です。本来はもっと長くなりそうなので泣く泣く断念しました。


『~~』

『……~~』


アリアとエカテリーナが歌い始めた。最初はまったく違う歌だった、そのはずなのに


「合唱……なの!?」

「歌詞も無いのに良くやるわね……」

「どちらも《アイドル》スキルを使ってのステータス補助……だとしたら」

「そうね、決着はそう遠くない」


レヴィは笑みを浮かべて頷いた。



最近ツゲオがアリアちゃんといちゃつき過ぎだと思います怒

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