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文化祭

「ツゲオたちは何をするの?」

「うーん、展示かな」

「点字?」

「うん。クリスマスにまつわる色々なことを纏めて展示するだけだよ」


あぁ、点字じゃなくて展示かぁ。苦笑しながらおにぎりを齧る。梅干の酸っぱさを楽しんでいると


「あれ? ツゲオじゃん」

「直美……? どうしてここに?」

「OB兼ボランティアでーす」


直美の言葉にツゲオはなるほど、と頷いた。すると直美は微笑んで


「それじゃ、お邪魔虫は退散するね」

「じゃーねー」

「軽いなぁ」


直美は苦笑して立ち去った。とりあえず食べ終わった弁当箱を交換して


「次のツゲオたちは何の授業なの?」

「文化祭の準備だったかな。アリアたちは?」

「私たちもだよ」


どこも変わらないなぁ、と思いながらペットボトルからお茶を飲む。


「「あの」」

「「……」」


お互い同時に口を開いて、お互い同時に沈黙した。


「先に言って良いよ」

「そう? それじゃ文化祭の時、一緒に回らない?」

「うん、良いよ」

「それでツゲオの方は?」

「同じ用件だよ」


なんだ、どっちも同じことを考えていたみたいだね。


*****


「準備は終わったみたいだね」

「そうだね。とりあえず私たちに出来ることはもう無いんじゃない?」

「かもねー」


きりと一緒に眺めていると先生が今日の準備が終わりだってみんなに言った。後は明日の文化祭が始まるまでに終わらせないと。まぁ、大体終わったけどね。


「明日の最初はアリアなんでしょ?」

「うん、それが一番良いんだ」

「ん……? なんで?」

「ツゲオとデートするんだもん」


乾いた声できりは笑った。そして


「何人か退学になったとは言えまだアリアのことを恨んでいる生徒はいるんだからね?」

「大丈夫だよ」

「大丈夫じゃないから心配しているんだけどなぁ」


きりは頭を掻いてため息を吐く。そして


「私はアリアたちが行き着く先まで行けば良いと思うし行って欲しい。だからその邪魔をしそうなのは排除したけど……アリアたちもちゃんと注意してよ?」

「私が……私たちが注意、かぁ。そうだね、そうだよね」


きりは心配してくれているんだ。刃傷沙汰になったのを知っているから。僕が囲まれていたのを憶えているから。


「ありがと、きり。私は良い友だちを持ったよ」

「どーも」


きりは笑みを浮かべて……ふと呟いた。


「恋愛ってなんだろうね」

「好きになってからの色々?」

「かもね」


*****


「マモン、何それ?」

「私にも分からないよ……」

「自分でも分からないものをなんで作るのよ……」


レヴィの言葉にマモンがしょぼーん、とする。それに苦笑しながら作り上げられたそれを見る。巨大なパフェなのだが


「僕より大きいんだけど」

「ねー」

「なんで作ったのよ」

「ねー」

「どうして他人事なの?」

「さー?」


こいつ、現実逃避してやがる。レヴィと僕の思考が一体になった。


「どうするのさ、これ?」

「……食べる?」

「そりゃ分かっているけどさ……3人じゃ無理だし僕は明日があるからもう寝るから歯磨きしないと」

「アリア? それはリアルでしょ?」

「あ、そっか」


*****


「それで胃もたれした? 馬鹿じゃないの?」

「面目無い……」

「アリアが馬鹿なのは薄々気づいていたけどここまでとは……江利先輩に怒られても知らないよ」

「ぅう……」


きりは冷たく言い放って教室内を見回す。と、言っても廊下からだから何も見えないけど。ちなみに悲鳴が次々と聞こえてくる。


「ホログラムでお化けを再現、ねぇ。存在すると思う?」

「お化けが?」

「そそ。ちなみに私はいないと思う」

「んー、私はいてもいなくても不思議じゃないと思う」

「ほーう? その心は?」

「私に関係無いし」

「ごもっともで。それよかアリア、そろそろ交代」

「はーい」


きりと入り口番を交代して廊下を歩く。ツゲオの教室は中庭を挟んだ反対側の校舎。口の形をしている校舎を歩いていると


「お、アリアじゃん」

「やほ」

「流沙と瑠璃……で」

「やっほー、アリアちゃん」

「直美は仕事中なんだ」

「そーよ」


中々儲かっているみたいな直美。見れば飲み物屋らしい。そう思っていると視界の端に人影が。


「ツゲオ!」

「アリア……うわっ」

「うわっって何よ」

「酷い反応だなぁ」


瑠璃と直美に驚くツゲオ。そこに追撃を加える女大学生2人。それに流沙がため息を吐いて


「ツゲオくん、ここは良いから。アリアと行きなさい」

「……? ありがとうございます」

「ツゲオ、ベルだよ」

「え⁉︎」


驚き、振り向いた視線の先では流沙が2人に謝っている姿が。大学生2人の魔の手からツゲオを助けた彼のことは忘れない。


*****


「何て言うか……アレだね」

「どれ?」

「意外とコスプレって楽しいんだね」

「僕は少し恥ずかしいけどね」


短めのスカートの裾を気にしながら鏡を見る。真っ赤な部分を囲むようにふわふわの白、サンタ服だ。しかもミニスカの。


「どう? 似合うかな?」

「……似合うけど派手だね」

「私の髪より?」

「……前言撤回」


ツゲオはそっと微笑んで


「お願いします」

「はーい。彼女さんもうちょっと近づいて……抱きつく感じで」

「はーい」

「え!?」


ツゲオが驚くのも気にせずに抱きついてカメラに向けてピースをする。


「ほら、ツゲオも」

「う、うん」


困ったように笑いながらツゲオはピースをした。


*****


「……さてと」

「うん、大丈夫そうね」

「過保護だと思うんだけどなぁ……」


アリアを追い回していた謎の女、その子が刃物を出したのを確認して取り押さえる。


「で、この子どうするの?」

「刃物を見せた時点で正当防衛……とは言い辛いわね。直美はどうしたい?」

「別になんとも。流沙は?」

「教員達に引き渡すのが良いだろう……映像は?」

「抜かりなーし」


直美の再生した映像データでは刃物を持った少女がアリアたちを付回している姿がはっきりと映っていた。

それに満足して頷こうとした瞬間、アリアたちの後ろにある人影が見えた。それは


「やっぱり過保護ねぇ」

「まったくだね」

「……彼女が姉か」

「そうよ」


そっと笑みを浮かべて


「向こうにも優秀な警備が付いているみたいね」


*****


「こちら亜美、クリア」

『こちら真央、同じく』

『達也同じく』


過保護部隊の通信に頷いて眼鏡を上げる。そのまま目立つ洋紅の髪を追う。本来なら眼鏡は必要ないけど……


「ん、アリアたちの近くでじろじろと眺めている不審者」

『ジャック了解』


有給を取ってまでいる社会人達に苦笑しながら眺めていると別に義妹たちに何かをしようとしているわけじゃないようだ。ただ目立っているから気になっただけのようね……


「優さん、聞こえますか?」

『はい、なんでしょうか?』

義妹アリアたちがそっちに向かっています。気づかれないように」

『分かりました』


サングラスを掛けた優さんの前を素通りする2人に安堵していると


「む……」

『どうした?』

『なにかあった?』

『……?』

『どうしましたか?』

「……アリアたちが手を繋いでいるわ」


通信の先の4人からため息が聞こえてきた。

ミニスカのアリアちゃんをイメージしてツゲオを恨んだ作者

どんな思考回路なのだ

とりあえずミニスカのアリアちゃんの絵を誰か描いてください


次回も文化祭の続きの予定です

そして過保護な人が多い

ちなみにお母さんたちは仕事で来れません

真央、達也、ジャック、優は有給を消費しています

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