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クリスマスツリー

「ふはははん」

「アリア? どうしたの?」

「なんとなく笑ってみたの」


何それ、とレヴィはため息を吐いてそれを見る。物凄く高いそれは僕らを圧倒するように聳え立っている。


「クリスマスツリーって動く物だっけ?」

「え? アリアの家では動かないの?」

「え!?」

「普通動くわよ。ま、うちのよりは生きが悪いみたいね」


レヴィの銃から放たれた弾丸がクリスマスツリーの群れに飛ぶ。それを身に似合わない俊敏さで避けるクリスマスツリーの群れに苦笑して剣を抜いた。


「その剣は?」

「クリスマスツリーをイメージして作った剣だよ。名前は《クリスマスソード》」

「イベント武器みたいね」

「あはは」


緑色の剣身、先端に星だけのシンプルなそれでクリスマスツリーを斬る。クリスマスツリーでクリスマスツリーを斬った。そのまま連続して斬りつけて次々と倒していると


「アリア! 上よ!」

「うん! アストライアー!」


飛ぶ。そのまま上空から襲いかかるトナカイを切り裂く。

現在のイベント、クリスマス襲来。それは街へと侵攻するモンスターたちを討伐、撃退という単純明快なイベントだ。だが


「リア充爆発しろぉぉぉ!」

「爆ぜろカップルぅぅ!」

「くたばれアベックぅぅぅ!」

「「「古っ⁉︎」」」


あんな感じのプレイヤーたちが頑張っているのを眺めてため息を吐く。ごめんね、リア充で。


「レヴィ、みんなは?」

「さぁ? 今は私たちだけでしょ。それよりも来たわよ」

「ん」


レヴィが来た、そう言ったのはトナカイが引いているソリだ。そしてその上に乗っている真っ赤な服に白い髭のお爺ちゃん。サンタクロースだ。


「アリアってサンタクロースを信じているの?」

「まさか」


小学校の間には分かっていたよ、そう言いながらトナカイを足場に跳ぶ。サンタクロースは素早く反応したけど、それでも僕よりはかなり遅い!


「せゃっ!」

『メリークリスマァァァァァス⁉︎』

「墜ちろ!」


トナカイたちを斬り、いち早く飛び降りたサンタクロースを狙う。地面を転がって避けられた。だからそのお尻を狙って一閃。さらに続けて斬りつけて


「まだまだ来るわよ!」

「知っているさ」


《クリスマスソード》を握り直して空を見上げる。振り出した雪に隠れるようにサンタクロースが現れる。そしてーー


「遅くなった!」

「ごめんねー」

「シン!」

「マモン、さっさと射なさい」

「はーい」


マモンは片目を閉じて


「んっ」


射た。放たれた矢が分散し、それぞれがトナカイとサンタクロースを射落とす。そして地面を駆けるクリスマスツリーの群れにシンが飛び込んで切り倒していく。討ち漏らしはレヴィが着実に撃ち抜いている。3人で対処できている。だから


「暇ー」

「なら前に行きなさいよ!」

「だって僕が手を出したら他のプレイヤーに迷惑じゃん」


僕がそう言った瞬間、マモンとレヴィの動きが止まり、かと思うといきなり僕の方を向いて


「アリア、今なんて言ったの?」

「聞き間違いだと思うけど迷惑って聞こえたなぁ」

「聞き間違いじゃないよ」

「「嘘だっ!」」

「ええ⁉︎」


息のあった言葉に押されていると


「あの傍若無人のアリアが今さら迷惑⁉︎」

「考えられないよねぇ……」

「あのさ……2人とも、僕を誰だと思っているの?」

「「アリア」ちゃん」

「……はぁ」


ため息を吐く。すると


「アリアらしくない、そう感じたのかもね」

「シン……確かに僕らしくないって思ったけどさ、僕たちが世界一でしょ? それがイベントの前線にいると他のプレイヤーたちは楽しめないんじゃないかなって思ってさ」

「……かもしれないけどさ、それは運営が考えることじゃない? 万人に共通して楽しめることなんてそうそう無いからね」

「……?」


シンが言った内容を理解してみると


「みんなで楽しめる何か、かぁ」

「文化祭を考えてみなよ」

「やりたくない」

「……ごめん、今のは僕が悪かった」

「いや、シンは悪くないでしょ」

「アリアちゃんが対象ってのが悪かったねぇ」


シンは苦笑していた。


*****


「ベル、どうした?」

「……セプトか。仕事は良いのか?」

「ああ。どうもボンヤリしているが?」

「……ちょっと考える事があってさ」


ギルドホームでコーヒーを飲みながらセプトは俺を見つめた。そして


「多少は手を貸せるが?」

「……そういやセプトって結婚していたよな?」

「ああ。恋愛関連か?」

「そんなとこ……なのか?」


要領を得ない、自分でもそう思いながら


「好きな相手が『分かっていたことが分からなくなった』って言っていたんだ」

「マモンか」

「え⁉︎」

「オフ会の時に分かってはいた。それにそんなことを言いそうなのは彼女ぐらいなものだ」


言われてみれば確かに直美マモンぐらいだ。苦笑した。すると


「分かっていたことが分からなくなる、それはきっと怖いんだろうな」

「怖い……?」

「彼女に関する何かが変わったんだろう。俺はアリア辺りだと予想するが……いや、案外お前かもな」

「俺?」

「マモンに何か言われたりしなかったか?」


特に心当たりは……心当たりは……


「告白されたな」

「良かったな、カップル成立じゃないか」

「……そうでもないんだよな」

「……何故?」

「レヴィも同時に告白したんだよ」

「……お前、モテるんだな」


セプトの言葉に苦笑してため息を吐く。


「進む中で停滞しようとするあいつは……なんて言ったら良いんだろうな」

「さぁな」


セプトはコーヒーを飲み干して


「あいつのことが分かるのは数少ないんだろうな」


そう呟いた。それには同感だった。


*****


「アリアちゃん、それ似合っているわよ」

「えへへ、ありがと」


髪飾りと髪留めを見てお母さんは微笑んだ。


「でもアリアちゃんのセンスじゃそれは選ばないよね?」

「むぅ、失敬な」

「彼氏君にプレゼントされた?」

「うん」


あの日、天神に行って内緒と言っていたのは私の髪留め……と、言うかプレゼントを考えていたらしい。嬉しかった。


「アリアちゃん、今日の夜ご飯は?」

「秘密だよー」

「じゃあ楽しみにしてるね~」


お母さんの言葉に頷いて野菜を切る。ジャガイモと人参を細く切って塩胡椒でシンプルに炒める。それだけで十分美味しい。


「はい、ジャガイモのサクサク」

「ネーミングセンス……」

「文句あるならシェリ姉の分は無しでーす」

「ごめんなさい良い名前だと思います」

「なら良し」


シェリ姉もお腹が空いているので素直に従った。あはは。


*****


「ねぇ、アリア」

「なに、きり」

「アリアって何かするの?」

「まさか」

「お化け屋敷ってのは定番だけどこんなのは初めてだよ」


入り口に一人10分交代だけ、中には誰もいない。そう言った感じのお化け屋敷でも良いじゃないか。そう言って学級委員権限で全ての意見をすり潰した。


「それに人が驚かすよりホログラムの方が怖いでしょ」

「まぁね……」


きりは苦笑して……あ、


「やっほ、直美」

「あ、アリアちゃん。ちゃんと仕事しているの?」

「うん」

「嘘吐き」


きりの言葉に直美は目を細めて……笑った。


「楽しめるようにね」

「うん」

イベント武器ってあるけど思いっきりイベントに関連させようとして武器に見えないよね


現在日付は12月19日

文化祭は23日で終業式が24日

ちなみにアリアちゃんの誕生日は17日


だからパソコンじゃ予約投稿やり辛いんだよ!

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