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聞こえた気がした

『いよいよ始まります、ソーニョ・スキルズ・オンライン世界大会決勝戦!』

『両チームの選手が握手をし、言葉を交わしております』

『それにしても便利な世の中になりましたね。言語を理解していなくとも話せるとは』


実況席の言葉を聞きながら握手をしていると


「アリア、負けませんわよ」

「僕のセリフだよ」

「ふふ」

「あは」


握手をして、抱き合って離れて


「また後でね」

「ええ」


*****


『1回戦、チーム《カーマインブラックスミス》所属、《白銀の斬姫》エミリアと』

『チーム《ツヴィトーク》所属、《剣結界》スライ!』

『ところでツヴィトークとは?』

『ロシア語で花を意味します』


実況席の声が聞こえる。しかしそれに集中出来ない。思いのほか、僕が緊張しているからだ。


「シン……」

「大丈夫なの?」

「1番、代わろうか?」

「今さら代われないわよ」

「そうね」


誰かの声がしたけど……気に出来ない。

勝てば良い、それが意外なことにプレッシャーとなっているんだろう。案外弱い自分の精神に驚く……


「はぁ……」

「シン」

「ん?」


アリアの声が聞こえたので顔を上げると眼の前にアリアの顔が。そしてそれはゆっくり近づいてきた。そのまま


「ふんっ!」

「えっ⁉︎」


ダメージは無く、痛みも衝撃も無い。だけど衝撃はあった。まさかの頭突きである。驚きの衝撃で言葉を出せない。すると


「ちゅー」

「え⁉︎」


アリアはにっこり笑って


「勝ったらキスしよ」

「……」


周囲を見回すと不自然なくらい誰も見ていなかった。だから無言で頷くとアリアは笑みを深めて


「行ってらっしゃい、シン」

「行って来る、アリア」


すれ違うように手を重ねる。パン、と乾いた音が響いた。そのまま『準備完了』をタップして……光に包まれた先のフィールドは


「宇宙……?」

「ここは一体……?」

『それでは今回のフィールドは……っ!』

『深淵の中に潜みし悪魔!』


それ、フィールドなの? そう思っていると風景が一瞬で変わり、火山のような感じになった。いや、火山もある。火口から溶岩が流れ出している。


「まるで地獄絵図だなぁ」


空を飛んでいる黒いのは悪魔なんだろう。つまり上とプレイヤーに注意しろってことだ。


「……さてと」


腰の剣に手を添える。《真黄昏と夜明けの天魔王剣》は《刀》と《片手長剣》のダブルカテゴリーだ。だからまずは《居合い》スキルで先手を打つ。そしてーー


『start!』

「《居合い・神薙ぎ》!」

「《ソードリバーサル》!」


先手を打ったつもりが返り討ちにあいかけた。いや、あったけどダメージはあまり大きくない。まだ7割以上体力がある。


「先手を打つのがばれていたんだな」

「ふ」


相手の剣士は目を細めて両手で握り締めた。そのまま振り上げて


「《ソニックスラッシュ》!」

「んっ」


飛ぶ斬撃を避けて前に出る。彼我の距離は目測で約13メートル。だから4歩で行ける、そう思っていると


「っち!」

「は!」


振り下ろされる両手剣を剣で切り上げて蹴りつける。蹴り飛ばし、地面に転がった男の顔に向けて剣を振る。咄嗟に立ち上がり、剣を盾のようにして防がれた。そして拳が。


「ふ、せやっ!」


切り上げで手首から先を切り落として肩に乗せるように構える。そのまま勢いを付けて振り抜いた。しかし全損していない。その上カウンターが来た。避けきれずに吹き飛ばされた。残り体力5割弱。


「……」


ピンチだと思ったことで逆に冷静になった。剣を下ろして相手を眺める。強い、今までの相手の中でも強いと感じる。だけど


(アリアよりは弱いな)


そう考えて剣を握り締める。すると


『ガンバレーっ!』

「……ん」


幻聴かもしれない、だけど今、アリアの声が聞こえた。早く勝って、とでも言いたいかのように。それに頷いて剣を構える。そのまま駆け出す。


「《へヴィブラスト》!」

「秘剣華の型ーー露草!」


正面からの振り下ろしを袈裟懸けで相殺しようとする。しかし無理だ、だけど2撃目が両手剣を逸らし、隙を作った。その隙を逃がさずに


「はっ!」

「なっ!?」


剣が男の首を刺し貫いた。《致命的位置クリティカルポイント》を刺し貫いたから男は光となって消えた。

正直苦戦って言えるほどじゃないけど……長引けば重装甲の相手に僕は負けていただろう。そう考えると


「アリアに助けられたな……」


*****


「それじゃ、私が行って来るね」

「ほいほい」


義妹の適当な返事に苦笑しながら『準備完了』をタップする。そのまま光に包まれて……森の中かしら? 相手プレイヤーの姿が見えない……一体どこにいるのか……遠距離攻撃手段があるのならいきなり不利ね。


「おっと」


一瞬何かが動いたように見えた。そして


「シェリルの得意魔法ね」


雷が閃いた。咄嗟にその場から離れると森の一部が消し飛んでいた。同じ進路で連射した見たいね。シェリルは麻痺を狙っての範囲攻撃だから真逆のプレイスタイルね。とりあえず消し飛ばされた先に立っているローブの女に向かって駆け出す。


「《ライトニングランス》12!」

「《居合い・雷斬り》ぃぃっ!」


吠える。そのまま雷の槍を纏めて居合いで切り裂く。刀に雷が纏わりつき、バチバチと音を立てている。そのまま刀を振るった。雷が飛んで行き、女は避けようとする。その避けた方向へ刀を構えて


「《瞬雷》!」


神速の突き、それは女の肩を突き刺す。魔法使いなら当然と言うべきか防御力は低い。残り6割強の体力を眺めつつ刀を引き抜いて


「《三日月》、《居合い・鎌風》!」

「《グラヴィティシールド》!」

「っ!?」


黒い壁が現れた。そしてそれに引き寄せられる。まずい、そうは思ったけど


「っし!」


鎌風は飛ぶスキルだ。それが魔法使いの太ももを切りつける。切り裂けてはいない。。4割強……そう思った瞬間


「《バーストボム》!」

「え」


*****


「エミリアが負けた!?」

「ううん、これは……」

「自爆攻撃……」

「そんなスキルを……」

「中々やるね」


そう僕が呟いた瞬間、エミリアが待機部屋に戻ってきた。そしていきなり


「はぁぁぁぁぁぁ」


物凄く深いため息を突いた。それに驚いていると


「ごめん、勝てなかった」

「引き分けじゃない、十分よ」

「次のシェリルにプレッシャーが掛かるのよ……」

「大丈夫大丈夫、正面から殲滅するだけだし」


シェリ姉はなんてことはなさそうに言い切って


「私が勝って三人も勝つ、だから負けじゃないのよ」

「……期待しているわ」


エミリアは笑みを浮かべ、シェリ姉はふふん、と笑う。そしてシェリ姉は杖を取り出した。シェリ姉のために作り上げた杖だ。そして


「ちょっと遅いけど円陣でも組む?」

「……そうね」

「そうしよっか」

「分かったわ」

「うん」

「ほいほい」


シェリ姉と肩を組み、シンとも肩を組む。シンはエミリアと肩を組み、エミリアとレヴィが肩を組む。レヴィとマモンが肩を組み、マモンがシェリ姉と肩を組む。そして


「チーム《カーマインブラックスミス》、ファイトォーーっ!」

「「「「「おーーーっ!」」」」」


全員で笑った。そしてそのまま


「行って来ます!」


シェリ姉は戦場に向かった。

巻き込み自爆はよくある反撃だと思います

《バースト》スキルは全てを消費して使うスキルです

今回は体力とMPを全消費


現在一勝一分、残り4試合

シェリル、レヴィ、マモン、アリアの順に


次回は多分シェリルとレヴィ戦まで書けるかな?

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