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やはり本戦は甘くない

降り注ぐ矢を避け、時に盾で防ぎながら駆け抜ける片手斧使い。短いリーチを活かすには懐に飛び込む必要がある。だからこそagiも高い。

そのプレイヤー名はsept。意味の無い名前だと思う。しかしそのプレイスタイルは馬鹿に出来ない。だって僕に近いのだから。


*****


「あと3回勝たないと優勝じゃないんだよね?」

「別にきりたちが戦う必要は無いよ?」


僕の挑発的な言葉にきりは笑って


「いくらアリアちゃんでも今の状態じゃソロ勝ちは出来ないと思うよ?」

「そうだね、それは僕もそう思うけど問題無いよ」

「最強だから?」

「最強だから」


僕の言葉にマモンは苦笑する。そしてフィールドの中央で『START!』と表示された。今回のフィールドでは僕たち5人は同じ場所からスタートだ。

高台がある山のようだ。辺りを見回しても相手は見当たらない。もしかして広いフィールド。そう思った瞬間だった。


「「「「「「スプレッドアロー!」」」」」」


上の方から、そんな声と共に多数の矢が放たれたのは。


*****


咄嗟に槍スキルの防御スキルを放った鳥。それ自体は素晴らしい反応だった。だけど


「あっ⁉︎」

「ぐっ⁉︎」

「わっ⁉︎」


3人が、射抜かれた。僕とマモンはその場に留まらずに駆けたおかげで体力全損はしなかった。だけど削られた体力は走りながらポーションを取り出して飲む。回復する体力ゲージに笑みを浮かべて


「危な⁉︎」

「アリアちゃん! 1人ずつしっかり!」

「分かってるよ!」


剣を振りかぶり、目の前で矢を番えた相手プレイヤーに


「スターダストスラスト!」

「きゃぁぁ⁉︎」

「ソードリバーサル!」


続けて飛んで来た矢を流して


「アークリープ!」

「なっ⁉︎」

「一旦下がれ! 態勢を立て直すぞ!」

「ごめんけどね、もう遅いよ」


僕が2人目を倒したら相手プレイヤーたちのリーダーが命令を出す。それにマモンは優しく微笑んで


「ホーミングスプレッドアロー!」


拡散して追尾する矢を放った。そして僕を見て


「狩り切れなかった!」

「分かったよ!」


そのまま山の上から逃げようとする相手プレイヤーが見えた。だから飛び降りて


「アークスラッシュ!」

「え⁉︎」


削り取り、他に音がする方向に向かって走る。そして見つけた背中に


「ボムアロー!」

「え?」


どこからか放たれた矢が僕の背中を撃つ。衝撃で吹き飛ばされる。体力は半分以上ある。だから視線を元の方向に戻すと


「……なるほどね」


矢が3本僕に迫っていた。慌ててソードリバーサルを使おうとしたけど間に合いそうにない。だから


「スターダストブレス!」


さっきの戦闘で解放したスキル、6連撃を放つ。下手な鉄砲数撃ちゃ当たる精神だ。まぁ、1本しか防げなかったけど。


「げ⁉︎」


体力が3割近い。慌てて矢の飛んで来た方向から死角になる方向に逃げる。そして逃げながらポーションを3本取り出して握り割る。そして飛沫を浴びながら駆け抜ける。回復する体力ゲージを眺めながら


「やばいなぁ」


少し面倒に思いながら背後から飛んで来た矢を回避する。そして足を止めて反転して駆ける。


「あっ⁉︎」

「見つかった⁉︎」

「散開!」

「逃がさないよ」


僕は高速で森を駆け抜ける。しかし木々の合間合間から見える背中を追いかけていると


「今よ!」

「え?」

「「ボムアロー!」」


放たれた矢が僕を目掛けて迫る。かわせない。しかも体力全損するかもしれない。すると


「ヘブンススプレッドアロー!」


僕は矢に射抜かれた。


*****


「うん、助かったよ。助けられたのは嬉しいしありがたいよ」

「えへへ」

「でも背中が絶賛針鼠だよ⁉︎」


僕の言葉に苦笑しながらマモンは矢を引き抜いていく。痛みは無いけど


「周りを巻き込む前提のスキルって失敗作じゃないの?」

「えへへ、基本ソロプレイヤーな私にはそれで良いんだよ」

「……でも助かったよ」


マモンは笑顔になった。そして口を開けて


「はい、それではそろそろ相手は作戦をガチ構築しているので私たちも作戦を立てようと思います」

「うん、良いんじゃないかな」

「それじゃまずスキルから始めようか。私とアリアちゃんはすでに出来てるけど使用頻度の高いスキルのレベルを上げて欲しいな」


マモンは続けて


「無理とは言わないけどね」

「一応強制はマナー違反だからね」

「それよりもアリアちゃんは少し周りを守る事を考えようか?」


マモンは少し怒るような口調だけど


「僕はこれが終わったらソロプレイヤーに戻るんだから必要無いよ」

「レイドボスとか来たらどうするの?」

「前みたいにソロで狩るけど?」

「あー、そんな事もあったね」


だけど


「少し協調性を持ちなさいって言ってるのよ」

「マモンがそれを言うの?」

「それもそうだね」


マモンは苦笑して誤魔化した。僕はスキルポイントを使ってスターダストスラストのスキルレベルを上げる。

スキルレベルが1上がると威力と速度は1.1倍になる。2上がると1.2倍だ。攻撃系スキル、つまりアクティブスキルの最高レベルは10。だから2倍になる。

とりあえず最高レベルにして残りスキルポイントが少ないのにため息を吐く。アークの最高スキルは使っていないのに習得する必要は無かったね。


「次は3回戦、さっき見た戦闘の様子から見るにバランスだね」

「遠距離型はマモンに任せるよ」

「任せちゃって」


両の拳を固めて肘をわき腹に寄せてぶりっ子するマモン。魚の鰤が好きっ子略してぶりっ子。


「それじゃアリアは?」

「前衛を切るよ。きりたちは3人で纏まって動くのが一番だと思う」

「うん、それはなんとなく分かってる」


その時、現在の試合の様子がふと視界に入った。そこには片手斧と盾を持ち、切り込んでいく猛者がいた。


「あれ? アリアちゃんと似てない?」

「……僕もそう思うよ」


そのまま片手斧の連続スキルを放ちプレイヤーの体力を全損させる。そして振り向き様に重攻撃スキルを放って攻撃を防ぐ。


「背後にも目があるみたいだね」

「……次に勝ったらあのプレイヤーと戦うんだよね?」


僕はゴクリと唾を飲み込む。


「プレイヤー名はセプト、聞き覚えは無いかな?」

「多分中堅範囲のプレイヤーだよ」


僕は震える体を両手で抑える。これは恐怖じゃない。


「アリアちゃん、やる気?」

「あれは僕がやる。僕があいつと戦いたい……っ!」


僕は深呼吸をして


「マモン、次は速攻で片付けるよ」


*****


「スターダストブレス!」

「ソードパリィ! うわぁぁぁ⁉︎」

「きゃぁぁぁ⁉︎」

「ぐわぁぁぁ⁉︎」


3人を纏めて切り裂く。そして屋根から飛び降りて


「ブラスト!」


地面に叩きつけるようにして体力を全損させる。残り2人。どこだ。どこにいる!


「そこか!」

「え⁉︎」

「なんだと⁉︎」


直感を信じた結果2人の魔法使いを見つけた。そして2人が口を開こうとする瞬間に


「スプレッドボムアロー!」


2人の体力は全損した。これで戦える。あのプレイヤーと。セプトと!


「あのー」

「私たち」

「出番無しで終わっちゃったんだけど」

「気にしないで良いよ。次は露払いをお願いするけど」


僕は鉄の剣を背中の鞘に納めて呟いた。

感想で作者の間違いを見つけてくれたリーフさん、ありがとうございます


作者はミスが多いのでこれからもボロボロ見つかるかもしれません


皆様も見つけたら感想で教えてくださいね?

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