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一回戦の終わり

「2戦2勝、良い感じね」

「次どうする? 私行こうか?」

「んー、先に3勝しときたいから任せても良い?」


マモンの言葉に頷いて椅子から立つ。心配そうな弟の視線に頷き、義妹の頭を撫でる。すると


「エミリアってそんなに強いかな?」

「アリア?」


こめかみをぐりぐりして悲鳴を上げるアリア、それを自業自得だというかのような視線を向ける全員。とりあえず刀を抜いて


「《真天魔斬刀》、この刀があれば負けないわよ」

「頑張ってね」

「頑張ってって言うのは追い込むことになるわよ」

「そうなの?」

「頑張っている人に頑張ってって言われても無理でしょ」

「あ、なるへそ」


アリアが頷いて


「出来る限りやってきてね」

「はいはい」


義妹の言葉に頷いて……光に包まれた。辺りを見回すと障害物一つ無いコロシアムのようなフィールド、アリアとレヴィの時と同じだ。とりあえず正面に立つプレイヤーを眺めると


「西部劇スタイル……?」


それっぽい帽子にそれっぽい格好、そして腰の銃で勝手にそう判断して《真天魔斬刀 弐》の柄に手をかけていつでも抜刀できるようにする。アリアやレヴィ、マモンはスキル無しでもそれと同等のパフォーマンスが出来る。でも私やシン、シェリルはそれが難しい。だから


『start!』

「《居合い・神薙ぎ》!」

「っ!」


抜き撃ちで放たれた弾丸と銃ごとを切り裂く、そのつもりだったが反射神経が良いのか避けられた。弾丸は切れ、光となって消えた。しかし


「レヴィほどじゃない!」


レベル2000オーバーの彼女に比べれば、おそらくレベル1500程度のプレイヤーが強い道理が無い。だから連続して刀で弾丸を防いで


「ふっ、《居合い・神風》!」

「《スプレッドバースト》!」


散弾一斉射出、それを眺めつつ瞬間での斬撃を放つ。斬られたことに気づけないほどの速度での一撃。それは確かな手ごたえとともに多数のダメージエフェクトを表示した。もっとも大したダメージじゃない、数が多いだけだ。私の残りは8割、相手は4割。このまま追撃を!


「《雷閃突き》!」

「《パラライズバレット》!」


片手突きと同時に正面から麻痺弾が飛んできた。それは私の太ももを狙っている。しかし私の刀の軌道は既に弾丸を切れない。だから


「自爆だと!?」

「はっ」


自分の手で刀を握って無理矢理止めた。そのまま刀を下ろすことによって弾丸を逸らして


「《三日月》!」

「なっ!?」

「《居合い・震天》!」


ズバンっ、と鈍い音を立てて相手プレイヤーが全損した。かなり厳しい勝負だった。最初の散弾の際に麻痺段を使われていたら……負けていた。


*****


「ほら、三勝したしマモンがいるから後は気楽でしょ?」

「……そうね」


気楽な妹の言葉に苦笑しているとシンとマモンが私を見た。そして


「最後は私が行きたい」

「なら僕がその前で」

「……じゃ私なのね」


苦笑してメンバー表に名前を入れる。そして


「行ってくるね」

「出来るだけねー」


妹の言葉に頷いて杖を構える。アリアちゃん製作の《真七王龍の天魔杖》だ。攻撃力もあり、全ステータスを上げる。その上で詠唱省略に魔法威力増大など色々と特殊効果がある。これさえあれば負ける気がしない。


「……ん」


ここが戦闘フィールド、森の中なのか木が多くて視界が悪い。私向きじゃない。そう思ったから杖を掲げて詠唱を開始する。

この世界での詠唱というのは自分の中にあるスキルという項目の中から選び出し、それを起動するための時間を言う。選ぶのは焔の魔法、使うのは範囲魔法。


「薙ぎ払え、《フレアトルネード》4096!」


一撃で決める。この魔法は発動までに2秒を要する。しかしそれはカウントダウンが終わると同時に発動させた!


「燃え尽きろ、相手プレイヤーごと」


木が燃える中でプレイヤーも倒れたのか、あっさりと私は光に包まれた。どうやら勝ったみたい、楽勝ね。


*****


「えげつない……」

「卑怯じゃないの……?」


僕とお姉ちゃんの言葉にアリアたちが笑い転げる。マモンまで……


「さっすがシェリ姉」

「やるねぇ~」

「勝ったから良いでしょ。これで4勝、あとは消化試合よ」

「そうだね」


僕は席を立つ。そのまま相手プレイヤーが決まるまでを待つ。どちらもプレイヤーを選んだら戦闘フィールドに転送される。


「シン」

「なに?」


振り向く、すると


「ファイト!」

「一発?」


アリアの言葉に苦笑しつつ返すと僕は光に包まれた。なんともしまらない。そして


「随分と卑怯な手を使うのね」

「そう言われてもね」


相手は女プレイヤー、それも年上か。僕の弱点をついてくるとは……そっちこそ卑怯だ。とりあえず腰を落として


「僕は正面からあなたを切り倒す」

「私があなたを切り倒しても勝ちは無い。でも全敗は笑えない!」


そう言った瞬間飛び込んできた。そして剣を振りかぶっている。まだカウントは残って……


『start!』

「っ!?」

「《スターダストスプラッシュ》!」


カウントが0になると同時にスキルが僕を切り裂こうとした。手馴れている、そう思いながらギリギリのところで《真黄昏と夜明けの天魔剣》を割り込ませて


「《ソードリバーサル》!」

「《アークスラッシュ》!」


受け流した、そう思った直後の二連撃。それは何とか剣先で逸らして


「っし!」

「はっ!」


カウンター気味の一撃は避けられ、フェイシングのバレストラのような一撃が帰ってきた。避けられない。だったら


「片手を捨てた!?」

「秘剣華の型ーー露草!」


アリアの剣技、高速の十字での二連撃を放つ。しかし


「蹴り……《体術》スキルも習得しているのか」


レベルは僕と同等、だったら差をつけるのはスキルと技術だ。それならば!


「剣舞師の力、見せてあげるよ!」


かつての呼び名を思い出しいて笑う。そのまま前に出る。思ったとおり、僕のほうが速い!


「っし! っしゃ! せやっ!」


三連撃を加えて背後に飛ぶ、そのまま左、前、右と敵とに動いて混乱させて


「やっ!」


真下から切り上げる。体力が結構減っている、だから畳み掛ける。切り上げる途中で手首を返して跳ね上げる。そのまま地面を蹴って飛び上がり空中連撃。さらに


「フライ!」


飛ぶ。そしてそのまま連続して切り倒した。


*****


「飛べるってあんな自由自在に出来るくらいなのね」

「うん、凄いでしょ」

「アリアちゃんが作った靴だもんねー」


テイムモンスター有りなのに誰も使わない、それには誰も気づいていないようだ。それに一人で笑って


「それじゃ、大将戦行って来るね」

「はいはい、あっさり勝てるでしょ?」

「うん、ここらでちょっと圧倒的な力で蹂躙される気持ちをアメリカンに叩き込もうと思って。手も足も出させずに射抜かれ続けている、そんな勝利をしてあげる」

「マモンってアメリカに恨みでもあるの?」

「無いはずよ」

「私の妹のアリアちゃんが馬鹿にされたからね、徹底的に潰さないと」


私の言葉にアリアが笑い、レヴィが肩をすくめ、シェリちゃんが苦笑して、シンがため息を吐いて、エミリアガ目を閉じた。

そして5分後、ハリネズミが地面に崩れ落ちた。

一回戦、アリアは手加減をして圧勝

レヴィは普通に圧勝

エミリアはやや圧勝

シェリルは完勝

シンは普通に勝利

マモンは軽々圧勝

シンは弱くないんだ……他が強いんだ……


次回は一回戦の他を書くつもり

エカテリーナ視点かも


感想欲しいぞい

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