全国大会終了
「あと5人に勝てば優勝かぁ」
全ての剣を鞘に収めて呟く。相手は誰が行くかの相談をしている。その結果
「魔法使いが前に出るの?」
「そっちだって出てたじゃない」
「ま、そうだね」
『let's go ahead!』
「《フレイムランス》99!」
100に満たない炎の槍が僕を刺し貫こうと迫る。だけど遅い、すでにそこに僕はいない。
シェリ姉みたいに同時に発動し、個体ずつを制御するのが一番厄介だ。つまり、今の状況は厄介でもなんでも無い。
「嘘⁉︎ 速い⁉︎」
「さっきの、見てなかったんだね」
「見てたわよ!」
「ふーん」
魔法を連続して放ち続ける、かなり《連続魔法》のスキルを高くしているんだろう。あとMPも。そう思ったら足元に叩きつけた小瓶が割れ、MPが回復した。
「よいしょっと」
「っ⁉︎」
「そんなに驚かなくても良いじゃん」
まぁ、いきなり目の前にいたら驚くとは思うけどさ。
「秘剣天の型ーー雷迅!」
《悪魔龍皇剣》を逆手に持ち、すれ違いざまにぶった切った。
「なんで……スキルを使わないの
それが遺言だった。生きてるけど。
「スキルに頼り過ぎたら困る事の方が多いからね」
聞こえていないと知りつつ、口にして
「次は?」
*****
「完全に舐めプね」
「そうねー」
「……アリアちゃん……」
「余裕そうね」
「本当に相手が弱過ぎるように見えてくるよ」
「「弱いからね」」
レヴィとマモンの言葉にシンは苦笑する。そろそろ常識の範囲内じゃどうにもならないと悟ったみたいね。もっともそれは《魔王の傘下》のほぼ全員に言えることだけど。
「シェリルは心配していないのか?」
「うん、アリアちゃんが絶対って言ったからね、負けなんてしないよ」
「そうだね」
「ところでキスしたの?」
私の問いに驚きむせるシン。
「なんでいきなり⁉︎」
「思い出したから」
「いきなり過ぎだよ⁉︎」
「思い立ったが吉日って言うじゃん?」
シンの表情が目まぐるしく変化し
「……一応、しました」
「一応?」
「一応ってなによ」
「……間接キス」
「「「温い!」」」
「「えっ⁉︎」」
レヴィとマモンとエミリアの言葉にシンと一緒に驚く。すると
「キスってのはむちゅーってやってピチャピチャ舌を絡ませてムードの中で押し倒すためのものなのよ!」
「中学生に何言ってんだ⁉︎」
こればっかりはシンの言う通りだ。ちなみにマモンは2人から物理的な突っ込みを入れられ、地味に体力が減っている。そして
「さぁ、早く来てよ」
アリアちゃんの言葉に相手が困っているのが容易に予想できた。
*****
「剣士かぁ」
「……行くぞ」
「うん」
素早い動きで僕に向かってくる剣士、だけどその剣は、動きは遅い。だからあっさりと振り下ろされる剣を
「遅い」
「真剣、白刃取りだと!?」
「白くないけどね」
両手で挟みこんで真下から剣の柄を蹴り上げる。一瞬緩んだ力を見逃さずにお腹を蹴り飛ばす。そのまま《悪魔龍皇剣》を引き抜く。腰の回転運動を乗せた抜剣ざまの一撃は剣ごと吹き飛ばした。とりあえず逆手に持って
「秘剣華の型ーー杜若!」
「っ、《アークスラッシュ》!」
咄嗟の反応で高速のスキルを使ったのは良い判断だ。だけどそれじゃ遅い、遅過ぎるんだ。
「スキルより速い攻撃だと!?」
「ありえない……!?」
「嘘でしょ……」
相手側の残り3人の言葉を聴きつつ、光となって消え行くプレイヤーに目を向ける。その表情は驚きに満ち溢れていた。
「……次の試合、3人で出ても構わないか?」
「それは卑怯じゃないか!?」
「良いよ」
「アリア!?」
「シン、僕を信じて」
シンに微笑みかけると顔を赤くされた。そしてレヴィは笑い、マモンは何故か地面に倒れている。エミリアガ笑みを浮かべ、シェリ姉は苦笑している。
「僕が最強なんだから」
「……信じるよ、アリア」
シンの言葉に頷くと向こう三人が闘技場に上がってきた。剣士と弓矢使い、それと魔法使いみたいだ。前衛三人と後衛3人のバランスの取れたパーティだ。僕たちもそうだけど。
「《魔剣士》リョーガ」
「《アルテミス》エルミン」
「《魔人》ルーディア」
男一人に女二人。しかもどちらも結構でかい。だから
『let's go ahead!』
「っ!」
「速い!?」
「さっきまでは手加減を!?」
全速力で駆け抜けて一番後ろにいた弓矢使いに《悪魔龍皇剣》を突き刺す。そのまま体を蹴って距離を取って
「秘剣天の型ーー雷迅!」
「《ソードパリィ》!」
「《アイスウォール》!」
「《スプレッド》《パラライズアロー》! 嘘でしょ!?」
三人を纏めて吹き飛ばす。そのまま両手で《悪魔龍皇剣》を握って
「秘剣「待て!」
「え」
「どうしてスキルを使わないんだ……!?」
「どうしてって言われてもなぁ……スキルを使った後の硬直が嫌だし」
「その程度が「君たちにとってその程度でも僕にとっては重要なことだから」
体勢を立て直すまでの時間稼ぎに付き合って……体力までちゃんと回復したね。
「もう大丈夫?」
「……ち」
舌打ち、そして
「《パラライズ》《ホーミング》《スプレッドアロー》!」
「《ミーティアリープ》!」
「《ライトニング》100!」
同時のスキルに笑う。最初に飛び込んできたリョーガの攻撃を受け流してお腹を蹴って浮かす。そしてその浮いた体に雷が降り注いだ。狙いを絞りすぎて僕だけを狙った結果だ。そして矢は普通に避けた。
「全損しないんだ」
驚きながらリョーガに止めを刺そうとすると矢が飛んできた。やっぱり弓矢使いが強いのはどこも同じみたいだ。だから
「秘剣華の型ーー露草!」
エルミンに向かっての二連撃、しかし弓矢に受け止められてダメージが軽減された。だけど
「弓が!?」
「っ!」
弓が折れたのを確認した瞬間に腰から盾と剣を抜いた。そして即座に攻撃を仕掛けてきた。接近戦をしているからこそ魔法は撃ち辛いだろう。だから今の僕の相手は二人の剣士だ。
「あ、レグルスネメアだ」
「《獅子の咆哮》!」
「《スターダストスラスト》!」
「《解放》」
新たに抜いた《真風王龍の天魔剣》を即行で《解放》し、光を切り裂き、三連撃を相殺する。そのまま蹴って
「秘剣龍の型ーー龍爪!」
上下左右からの斬撃で9つに分かれたエルミンが全損。そしてそれに動揺したリューガに
「秘剣龍の型ーー龍牙!」
上下四連撃、それで5個に別れて全損した。そして魔法が飛んできたけど
「《女神の加護》」
ぼそりと呟いて前に出る。魔法が僕に直撃する。だけどそのダメージはビビたるものだ。だからゆっくりと歩いていると
「やったか!?」
と、魔法のせいで上がった土煙の向こうから聞こえた。それ、フラグだよ。
「っ、嘘でしょ!?」
「ほんとだよ」
「まさか女神の加護!?」
「うん」
「道理で私服……っ! 《エレメンタルブラスト》100!」
4かける100で400発の魔法が僕を狙って降り注ぐ。だけどその程度じゃあ僕には勝てない。降り注ぐ魔法を避けながら駆ける。制御が甘い、そう思いながら《悪魔龍皇剣》を両手で握って振り上げて
「秘剣天の型ーー瞬迅!」
終わらせた。
あっさり終わってしまった件について
これは九州サーバーが強い上でアリアが強過ぎってのがあります
世界大会は11月の第2土曜日と第3土曜日
一週間開きます
今現在10月10なので結構開きますね
と、いうことで次回から日常編に




