悪魔龍皇の遺品
悪魔龍皇の巨体が地面に墜落する。その体力はもはや0だ。なのにまだ消えない……イベント?
とりあえず地面に着地すると
『ミゴトダ、チイサキユウシャヨ』
「ありがと」
『ソノチカラヲタタエ、コレヲサズケヨウ』
そう言って悪魔龍皇は光の粒子となって消えた。そして地面に刺さった僕の身の丈を軽く上回る大剣が残された。これを授けた……のかな。とりあえず引き抜くと
「うわ、重い」
ステータスを元に戻すとこんなにも差があるのか、と思いながら持ち上げて構えてみる。セブンスドラゴニックライオネルソードの見よう見まねだ。
『ちぃ!』
「ひよちゃん! お疲れ!」
『ちぃっ!』
頭に乗ったひよちゃんは両翼を広げて高らかに鳴いた。
*****
「《悪魔龍皇剣》、これまた随分と適当なネーミングね」
「ううん、それ名前変えられないんだ」
「ふーん? イベントアイテムだからなの?」
「知らない」
そりゃそうね、とマモンは笑って
「とりあえずアリアちゃんの剣に見劣りしないステータスを持っているわね」
「でしょでしょ」
「《大剣》スキル、習得するの?」
「そのつもり」
「今は止めておいたほうが良いと思うよ?」
なんで、と目で問いかけると
「大会まであまり時間は無いのだから新しく伸ばすより今のを伸ばした方が良いと思うの」
「うーん……でも使いたいなぁ」
「ならスキル買って使うだけ使ってみたら? ダメならガチャにすれば良いじゃん」
それもそうか、と思ってカーマインブラックスミスから出る。快晴の夜空は星の光を隠さない。
「悪魔龍皇……倒したけど何か変化があるって感じじゃないみたいだね」
とりあえずギルドに行ってスキルを買う。ついでにクエストも眺めるけど特に面白そうなクエストは無い。だからさっさとギルドを出て町からも出る。そして両手でしっかりと《悪魔龍皇剣》を構えて駆け出す。重いけど走れないほどじゃない。
正面にいる巨大な四刀流の骸骨が虚ろな眼孔で僕を眺める。そして剣を抜いたけどもう遅い。
「秘剣天の型ーー絶天!」
一瞬で懐に飛び込み振り下ろし、そしてすれ違うと同時に背後への薙ぎ払い。それだけで6桁ある体力が消し飛んだ。僕のステータスが高いのもあるだろう。スキルによる補正もあるだろう。だけどそれを考えても余るほどに強いんだ、この剣は。
「どうしたものかなぁ……」
マモンはやめておいたら? と、言った。だけど僕は使いたいと言う思いがある。だったら使おう。スキルの熟練度とスキルレベルを上げて使おう。
「片手長剣3本に両手大剣1本、さらに殴ったり蹴ったりかぁ……僕も色々迷走しているなぁ」
苦笑しながら四速歩行の肉食獣の群れに突っ込む。両手で振りかぶり
「《アークスラッシュ》!」
両手大剣だけじゃなく、この剣は剣カテゴリーの全てを網羅している。つまりどういうことかと言えば
「《短剣》も《刀》もあるなんて不思議だよね」
上がる熟練度に苦笑していると《短刀》や《苦無》まで上がっていた。そんなスキルもあったんだなぁ……知らなかった。
「アリア? 珍しいね、こんなところで」
「マリアこそ、アジアンも」
「そうかな?」
アジアンが小首を傾げる。その手に握られているのは《スクリーミングダガー》、《解放》を使うと《デスクライソード》という鞭のように変形する。
「僕はちょっとスキル上げしているだけだよ」
「……その剣、《両手大剣》?」
「うん、そうだよ」
「アリアが作ったの?」
「ううん、ドロップ品」
だよね? 地面に刺さっていたから頷いて良いのか分からないけど。とりあえず腰の鞘にしまって
「二人は何をしていたの?」
「マリアと素材集め」
「小道具師としての?」
「うん」
「小道具師かぁ……マリアにも立派な二つ名があるんだね」
「立派かなぁ?」
「大道具師のほうが良かった?」
「語呂が悪いよ」
マリアの言葉にアジアンと笑って
「帰ろっか」
「そうだね……アリアはどうするの?」
「もう少しスキル熟練度を上げてからにするよ」
それに《悪魔龍皇剣》にも慣れておかないといけないし。とりあえず腰の鞘から引き抜く。腕だけじゃ抜けないから腰を回して抜く。そのまま駆け出して
「やっ、だりゃあっ!」
バッファローみたいなのの群れに向かって叩き込む。さらに体を1回転させてさらに叩き込む。隙は蹴りで埋めて
「うん、中々使えるようになったね」
満足して帰ることにした。
*****
「アヤコ、どう? 立てそう?」
「リアルでも練習したからね、成長を見せてあげる」
そう言ってアヤコは自由の女神像に手をついて立ち上がった。
「おお!?」
「っとと」
「凄い!」
「立ったままはまだちょっと辛いけどね」
そう言ってにやりと笑う。なんだかそれがとても似合っているように見えた。そして地面に座って
「どうよ?」
「凄いなぁ」
「ま、義足で立つのと同じ感覚ってのが無ければここまで来れていないけどね」
「うん、良いことじゃん」
いえー、とタッチして
「そういやさ、アリアってあのソーニョをプレイしているんでしょ?」
「あの? 有名なの?」
「ああ、うん。テレビでもちょくちょく映ってるし」
そう言ってにやりと笑って
「カーマインブラックスミスの店長さん?」
「oh……」
「戦っているとこも見たよ、カッコ良かったよ」
「そう?」
「凄い動きで巨大なライオンと戦っているのも見たし女っぽいのとも戦っているのも見た。大会みたいなのも見たよ」
「結構見ているねぇ」
「立てるようになったらやりたいゲーム一位だからね」
そうなんだ、と思って頷いていると
「しばらくしたらそっち行けそうだし、そん時はよろしく」
「うん、待ってるよ」
握手して……再び自由の女神像に触れて立ち上がった。そこで肩を貸すと
「……ま、慣れるまでか」
「ん?」
「なんか手を貸されたら負けかなーって勝手に思い込んでた」
「不思議だねぇ」
そのまま立っていると
「なんか慣れてきたかも」
「なら離れても大丈夫?」
「たぶん」
言われて離れると足が少し震えているけど立てている。ちなみにここのVR空間は痛みなどをリアルに伝えてくる。そうじゃないと意味が無いからだ。立ったりするのに感覚が無いとダメだからだ。
「これはもう立つのももう少しだね」
「みたいね。とりあえず私は自力で立てるようにならないとね」
そう言って地面に座って
「あー、きっつ。無い部位を使うなんて無理ゲーよマジで」
「できているじゃん」
「まね。それよりもアリアって有名人っぽいね」
むぅ?
「そうなのかな?」
「そうよ。だってソーニョのwikiとか見ていると確実に名前が載っているし動画投稿サイトでもアリアが出ている動画ばっかりだもの」
「そうなんだ」
「そんな凄い子がこんな中学生だなんて誰も思わないよね」
「見た目を知らなければね」
外見が子供っぽいってのは自覚しているから。とりあえず立って
「支え無しで立ってみる?」
「そうしてみるね」
地面に手をついてゆっくりと立ち上がろうとする。そしてバランスを崩してお尻から地面に着地、そして
「痛い!」
「え?」
「尾骶骨打った」
そりゃ痛いや、と思いながら2人で笑った。
エロゲやりたい
次回から全国大会の予定です
地方で分けてのチームなんですが四国と中国を一緒にするかで悩んでいます
IBMとSAOのを見た方いらっしゃいますか?
あれのテスター応募したいんですけどね、学生だから時間が無いです
だけどVRMMOが現実にできてしまったら現在進行形で書いている皆さんも反応に困りますよね
空想の産物が現実に出てきちゃったわけですから




