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停滞の終わり

カーマインブラックスミスとはトッププレイヤーが働いているという凄い店らしい。

装備の性能が極めて高く、アイテムは安くて性能が極めて高い。そんな凄い店らしい。

さらには料理屋やアクセサリーなど様々な方面でも活躍しているそうな。


「僕たちの店とは大違いだね」

「そんな風に思われても仕方ないけどね」

「アリアさんは店長なんですよね!」

「あ、うん」


アリスがテンション上がってる。背後の3人が呆れているのに気づかないのか……


「カーマインブラックスミスの商品ってどれくらいの値段なんですか!」

「うーん、どれくらいだっけ?」

「《ポーション》の99が約10Kだったかな?」

「99個で10K⁉︎ お得ですね!」

「そうなの?」

「最初の街じゃ《ポーション》の単価は500とかするんですよ!」


それは多分売ってるプレイヤーの《錬金術》スキルが低いせいだ。


*****


「レベリングなんて初めてやるよ」

「そうなの?」

「手伝う方を、だけどね」


マリアの言葉に頷きながらカエルを蹴り倒す。そのまま体を回転させて蛇を蹴っ飛ばす。


「最近蹴りばっかりだね」

「うん」

「剣は使わないの?」

「んー、剣はちょっと色々試してる途中だから」


オリジナルスキルを作ろうって頑張ってるんだ。スキルじゃないのにスキルと同等の効果を発揮する、そういうのを作りたい。難しいけど。


「ところでアリア」

「なに?」

「ダンジョンを作れるって聞いた?」

「あ、うん」

「アップデートまだかなー」

「楽しみだね」


2人で談笑しながら次々とモンスターを狩って行く。


「マリアは強くなったね」

「まだまだだよ」

「そうかな? ヴァルゴと正面から戦って倒したのに」

「みんなが与えたダメージがあったからだよ」


そうかもねー、と頷いて剣を抜く。何の変哲も無い、普通の剣だ。


「見てて」

「うん」

「……華の型!」


踏み込んで一閃、切り上げる一閃、薙ぐ一閃、逆袈裟に一閃、そして再び切り上げる一閃。


「どう?」

「……スキルじゃないんだよね?」

「うん」

「完成度は高いと思うよ」

「でしょ?」

「だけどスキルと違って追加効果は無いんだよね」

「そこはおいおいどうにかするよ」


どんどん狩りを続けながら技の練習を繰り返す。さっきの華の型もたまたま成功したんだ。絶対に成功させられるように練習しないとね。


*****


アリスwithテレスは考えていた。何故トッププレイヤーが2人も《ヴォルケイノドラゴン》を狩りに来ていたのか、を。今でも動画に上がるレグルス戦につい最近のヴァルゴ戦で活躍した2人だ。


「気になるね」

「そうか?」

「首を突っ込まない方が良いと思うけど」

「同じく」


なんとも好奇心の無い奴らだ。悲しくもなる。


「に、してもこの狩り場、経験値凄いな」

「私たちのレベルゾーンじゃないからね」

「そうだったのか」

「400か500くらいだったと思うよ」


2人はそんなのを気にもしないように一撃でモンスターを葬り去っているけど。一撃で、という事は500を軽く上回るレベル……まさかね、オーバーサウザンド?


「ないわー」


引きつつ鞭を振るって大型の狼を巻き取る。そして投げて


「《スターダストスラスト》!」


仲間の、臨時パーティの仲間が攻撃を加える。しかし削りきれていない。


「危なくなったら呼んでよ」

「アリアさん……ありがとう」


降って来たアリアさんが狼の頭を踏み潰し、全損させた。そしてそのまま連続蹴りで次々と集まる狼を全損させていった。


「一体……どれくらいのレベルなんですか?」

「ん? 今のレベルは……うん、2000ちょい」

「え!? そんなに高くなるんですか!?」

「うん」


アリアさんは笑って剣を抜いた。そのまま狼を流れるように切り裂いた。


「レベルを上げて物理で殴る、それだけでもこれくらいなら強くなれるよ」


*****


矢を番える。そして放つ。狙いと寸分違わずに頭を吹き飛ばした。


「うーん、やっぱりまだまだだなぁ」


狙いをつけて放つ。弦を引くだけで矢が番えられる。射る。射る。射る。射る。射る。射る。

気づくと周囲のモンスターが全て全損して消えていた。


「……やっぱり気になっているなぁ……」


アリアちゃんと、シンが付き合っているのが。大事な妹と弟が仲良くなったのは嬉しいんだけど……アリアが進みだした。中学生という意識だからか……分からない。

最強という立場で足を止めていたアリアが動き出したんだ……だったら私も動かないといけないかもしれない。彼の気持ちに気づかないフリを止めるべきかもしれない。そして瑠璃と話し合って……


「シェリちゃんは好きな人がいなさそうだしね」

「そんな事無いですよ」

「それならいるの?」

「今はいないけど」


なーんだ、と思いながら矢を射る。シェリちゃんの魔法もモンスターの殲滅を手伝う。


「アリアちゃん、彼氏できたんですね」

「そうね」

「しかも私の同級生……はぁ」」


二つ上かぁ……それはそれで良いんだけどさ。みんな進んでいく。停滞を望んだのは私だけ……


「シェリちゃん、お願いがあるんだけど」

「なによ」

「私さ、ちょっと決心したんだ」

「はぁ……?」

「だから適当な日を指定して。その日に停滞を止めるから」

「……よく分からないけど良いわよ。10月3日ね。良い?」


なんでその日?


「ベルの誕生日だからよ。どうせそこなんでしょ?」

「っ!?」

「なんで分かったって顔しているけどね、分かるモンなのよ」

「そうなの?」

「そう。ベルがマモンを好きなようにマモンはベルが実は大好きなのも分かっている。レヴィも気づいているわ」

「うっ」


レヴィも私の気持ちに気づいていた……? 自分の好きな人が実は両想いだって……? 一体どんな気持ちでそれを見ていたのよ……


「レヴィに何て言ったら良いのよ……」

「レヴィに告白するって言ってきたら? 恋愛は戦争って言うでしょ」

「恋は戦争よ……っし!」


両手で頬を叩く。


「今度ベルが、流沙が店に来たら告白する!」

「10月3日は?」

「その日に来させる」

「プレゼントはマモン……ねぇ」

「大丈夫、二人共18は越えているわ」


そう、18禁な事をしても良いのだ違うそうじゃない。18禁は見せられないよ! なアレだ。


「それってセック「それ以上良くない」


シェリちゃんを何とか食い止めて


「アリアちゃんに恋人が出来てマモンもかぁ……私はまだそう言うのは良いかな」

「それで良いと思うよ。好きな人なんて作ろうとして作るもんじゃないからね」

「そうね」


苦笑して空を見上げる。


「好きって感情を押し殺しているのは随分と重かったみたいね」


いつもよりもカラフルな景色に微笑して


「私はベルが好きーーーーーーーーっ!」

「うわ」

「うん、盛大に叫ぶと気分がスカッとするね」

「ふーん……なら私も」


え、と思っていると


「私たちはここにいますーーーーーーっ!」

「そのネタは学校でゾンビがいないと……」

「そうかもね。だけど私はここにいる、今も昔も私は私でここにいる、それで良いでしょ?」

「……私みたいに停滞するの?」

「ううん、私は進むよ。アリアちゃんに抜かされちゃったしね」


そのまましばらく2人で笑っていた。

いつまでも止まってはいられないーー


恋愛メインな3章です

とりあえずハロウィン前にイベントが一つの予定

だからベルの誕生日が決まったのです

ちなみにアリアちゃんの誕生日は12月のつもり


そろそろツゲオ「お前に娘はやらん!」と言う準備をせねば

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