パワーレベリング
「と、言うわけで種族について色々話し合いたいと思います」
「宿題は?」
「まだ」
きりに怒られた。そんなに言わなくても良いじゃん……
「そもそも先生は今年初任よ? それなのに宿題やってないって言われたらどう思う?」
「面白いって思うよ」
「初任の先生がそんなに余裕あると思うの?」
「うん」
「……」
頭痛を堪えているみたいだけどどうしたのかな?
「お2人さん、お話しも良いけど注文は?」
「え、僕も?」
「そうよ」
「……マモンのイチゴパフェが食べたい。それとコーヒー」
「はーい。きりちゃんは?」
「えっと……同じので。それとアップルティーを」
マモンの返事に頷いていると
「先生も若いからねー」
「うん、22か3だよね?」
「教育大出てすぐだから……そうなるね」
「好きな人いるのかなー」
「美人だもんね」
「うん」
「おっぱい大きいもんね」
「うん」
「天然入ってるもんね」
「うん」
「……明日の天気は?」
「うん」
「……夜ご飯は?」
「うん」
「……聞いてないよね?」
「そんなこと無いよ」
「え⁉︎」
「え?」
きりが驚き、椅子から落ちそうになった。
「聞いていたの?」
「うん」
「それであの適当な返事?」
「そだよ」
「……マモンさーん、なんか言ってください」
「そうね……アリアちゃん」
真剣な表情からの
「明日の天気は曇りって」
きりが椅子から落ちた。
*****
「って事で久々だね」
「……」
「……」
「……」
「なんか3人ともテンション低くない?」
「またきりの無謀チャレンジの時間でしょ……」
「無謀じゃないよ! きっと多分倒せるって!」
それ多分無謀チャレンジで合ってる。
「僕を巻き込まないで欲しいな……」
「万が一の時の保険だから! お願い!」
「でも……」
「宿題写したよね?」
「張り切って行こー!」
内心ため息だけどね。これから行く場所も相まってさらにやる気がひゃっほー↓だよ。
「……ひよちゃんたちに来てもらうんだった」
今からでも遅くない。テレパシーを送る。多分ビビビッ、と何か起きたに違いない。信じてるよ、ひよちゃん。
*****
「あ、ひよちゃんたちがポーションスタックで作ったから」
「分かった、濃縮するわね」
「ひよちゃんは器用だね」
『ちぃ!』
*****
「しりとり」
「りんご」
「ごみくず」
「……」
「アリアの番だよ」
「え?」
「しりとりしてるの。次ず、から」
んー……
「ずんだ餅」
「チョイスが謎!?」
「象」
「ウサギ」
「ギャンブル」
「ルー」
「大柴」
「馬鹿」
何か変なしりとりを続けていると
「到着!」
「……ここ、何が手に入るのさ」
「フッフッフ、聞いて驚け見て笑え」
「何て吃驚」
「まだ何も言ってない!?」
きりをからかいつつ森の中へ。何か出て来たサルを切り倒す。体力に目を向ける隙も無く消えていった。
「「「おお~」」」
「……」
ドロップアイテムは爪と毛皮。それもかなり使えないクラスの。
「……僕が前じゃ意味が無いよね」
「パワーレベリングとしてならあるいは」
「それならマモンを頼りなよ……」
「友情を大事にしたかったのよ」
きりはちょっち恥ずかしそうに言ったけど
「誰と誰の友情?」
あ、分かった。
「マモンとレヴィか」
「後ろの誰!?」
「かくかくしかじか」
「なるほど、説明する気無いってのが伝わってきたわ」
きりの目が冷たい。あはは。
「それにしても異様だよね」
拳士に多武器士に魔法使い、そこに鍛治師が加わった形だ。
「きりも働け!」
「そうよ!」
アカネと鳥人の言葉にきりは魔法を詠唱し始める。詠唱短縮のレベルが低いのかとっても遅く感じる。
とりあえず地面を蹴る。大型のサルの背後に回りこんで振り下ろす。真っ二つにする。
「……この辺りにサル山でもあるのかな」
あるなら一気に狩れば良い、そう思ったら
「っ……何の真似かな」
今の魔法は明らかに僕を狙って撃たれたものだ。誰が、何のために。
「……君は!?」
*****
「シェリルさん、お願いします!」
「良いよー」
短期雇われとしてレベリングに着いて来て欲しい、とのマリアの言葉に二も無く頷いて
「えっとアジアンさんとマリア、ピンプさんとトマトサン、ユリィさんと今はいないサフィさんの六人なんだね」
「ギルドがそもそもパーティの最大人数って珍しいですよね」
「んー、傘下がそもそも多過ぎる気もするんだけどね」
「15って少ない方だと思うんですけどね」
マリアの言葉にそれもそうか、と思っていると見えてきた場所は
「《飛竜の丘》……ここでレベリングするの?」
「僕とアジアンならもっと先でも出来るけど他のみんなが……」
「この場にいないサフィの分も頑張らないとね」
アジアンの言葉に、みんな頷いているけど顔も知らないサフィさんが可哀想ね。今度個人的にレベリングしてあげようかな……
「ん、いるね」
「どうする?」
「誰が先制する? 僕でもアジアンでも良いけど」
「私で良ければするわよ」
アリアちゃんの作り上げた全身の装備、それからこの《真七龍の天杖》。これがあれば誰にも負ける気はしない。
「任せる」
「了解、《ライトニングスピア》24連」
雷で出来た槍が次々と飛竜を打ち落とす。うん、打ち落とされた飛竜を見て他の飛竜、正式名称ワイバーンが反応する。
「凄い……」
「一撃で……」
「そんな事より来るよ」
「みたいね!」
アジアンのナイフではなく、鞭が飛竜を打ち落とす。もっとも一撃では終わらなかったけど
「《ライトニングピアース》!」
雷速の突きが飛竜を貫き、全損させた。
「《ロールウィップ》!」
鞭が飛竜を巻き取って地面に落とす。そして
「《ホームラン》!」
ユリィさんの棍棒がその飛竜を殴り倒した。とりあえず撃ち落としていると
「《バスターブレイド》!」
「《デュアルスライス》」
トマトサンの大剣が地面へと切り落とし、削りきれなかった飛竜を2本の短剣でピンプさんが切り刻む。
「《ライトニング》48!」
上空から雷鳴が降り注ぐ。それは次々と現れる飛竜を撃ち落として
「《ライトニングランス》!」
雷鳴の槍が飛竜を貫き、近くの森まで飛んでいった。すると
「君は!?」
「お前は……」
「「誰?」」
トマトサンとその前に立つ小柄な少女が言葉を交わす……うん、完全にアリアちゃんねあれ。何しているのよもう……
「アリアちゃん、何しているの?」
「あ、シェリ姉。何しているの?」
「レベリング。そっちは?」
「こっちもレベリングだよ」
ため息を吐いて
「どうしてここなの?」
「きりたちの手伝い。儲け無いけど」
「アリアー! どこ行ったのー?」
「呼ばれているよ」
「うん、それじゃまたね」
山の上の方なのに一気に飛び降りちゃった。大丈夫なのかなーって思っていると木の葉の上を走っている。何アレ……凄い。agiどれくらいなのよ……
「狩場のブッキングみたいだったね」
とりあえず両手を広げて
「《ライトニングスラッシュ》10!」
指先から放たれた10本の雷の斬撃は飛竜を纏めて切り裂いた。
エリア説明
5個目の街から6個目の街方面の最寄りの狩場の森へ
6個目の街から5個目の街方面の最寄りの狩場の丘に
順番だと5個目の街から森を抜けて丘を越えて6個目の街に
エミリア視点のどこかで軽く書いた感じで言うと一周と半分上に行ったところです
今は8月25日のつもり




