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シンとエミリア

流れるような銀髪を荒っぽく一纏めにし、エミリアは服を整える。戦闘用装備でもあるそれは紺のズボンに白のワイシャツ。その上から羽織ったファッションのような緑のジャンパー。前は空いている。そして腰には一振りの刀。


「エミリア、覚悟は良いわね?」

「……はい」


エミリアと共に見つけたギルドホームに突入しようとした。直後、


「エアリミ? まさかアビスの言う通り裏切ったの?」


シンの声が聞こえた。


*****


シンがエミリアたちと出会う20分前。


「殺しに来ましたって言われたらお引き取りくださいって返すよ」

「はは」


ハーネスの小道具の中から後手に選ぶ。束縛系か妨害系か……


「っ⁉︎」


直後、首の辺りに衝撃が。地面に倒れてしまった。


「さて、計画通りスクショだけ撮って帰るかな」


パシャリと写真を撮る音が聞こえた。内心慌てて死んだふりを続けていると


「アレ、殺せてない? なんで?」


驚きの声が。気づかれた。慌てて体を起こし、《濃煙》の小瓶を地面に叩きつけた。そのまま姿勢を低くしたまま走り出す。何かが追いかけてくる気配に向けて《液体鳥もち》の小瓶を投げつける。破砕音は聞こえたけど振り返らない。そのまま街に駆け込んで


「逃がさないよ」

「っ⁉︎」


横から聞こえた声に驚く。そして腰に衝撃。ダメージは無い。しかし蹴り飛ばされ、地面を転がって……街の外に。


「どうして……僕を殺すのさ」

「アリアを誘き出すためだよ」

「あはは」


笑いが出た。首元に突きつけられた剣も気にならないくらいに。


「何かおかしいかい?」

「アリアはいない。しばらくログイン出来ないからね」

「……冗談ならやめるべきだよ」

「本当さ」


僕の言葉に舌打ちし、剣が鞘に収められた。


「見逃してくれるの?」

「……興が醒めた」


そのまま夜闇に溶けるようにして消えたシン。一体何だったのか分からない。


*****


そしてシンがギルドホームに戻って来たところで冒頭に戻る。


「裏切ったの、なんて聞かなくても分かるでしょ」

「そうね」


マモンとレヴィの言葉に驚き、そして頷く。


「親友だから、一緒にいるの」

「……僕よりも他人が大事なの?」

「他人じゃないよ。親友」


小っ恥ずかしい事を言っている自覚はある。だけどシン、あなたにはそう言ったものが無い。


「……もう、冗談キツいよ、姉さん」


あはは、と笑って近づいて来たシン。その首に《霧雨》を突きつける。引き攣った笑みを浮かべるシン。ごめんなさい。あなたのお姉ちゃんは弟よりも親友を優先しているわけじゃないの。ただ、もうあなたにPKをしてもらいたくないの。


「だから、お姉ちゃんは戦うよ」

「意味分かんないよ……何言ってるのさ」

「お姉ちゃんの決意表明……かな」


だからお姉ちゃんはもう、《霧雨》を降ろさない。


「シン……ううん、ツミ、勝負しよう」

「……何でさ」

「お姉ちゃんたちが勝ったら柘はもう、PKをしないで」

「……僕が勝ったら?」

「お姉ちゃんを一晩好きにして良いよ」


柘の目つきが変わった。さっきまでの混乱していたのと打って変わって殺そう、と決意した目だ。


「勝敗を決めるのは?」

「ギルドホームの崩壊、そしてギルドの消滅まで」

「……殺そう」


シンの姿が消えた。どこに行った⁉︎


「下よ!」

「っ⁉︎」


見下ろすとすでに切り上げる体勢に入っているシンが。《霧雨》の柄を振り下ろして剣閃を逸らす。跳び越えて


「総員、裏切り者共々殺せ!」


シンの叫び。そしてギルドホームの方からたくさんの足音が。


「レヴィ!」

「分かってるわよ!」


レヴィが手元でメニューを操作し、二丁の銃を抜いた。そしてシンはギルドホームの中に消えた。逃げた、違う、混乱している、だから落ち着くために一人になろうとしている。


「エミリア、アリアみたいに頼むわね」

「切り込め、と?」

「そうよ。まさかできないの?」


ぬるい挑発、だから


「アリアよりも殺ってやりますよ」

「そ、なら後ろは任せなさい」

「《スプレッド》《ホーミング》《パラライズアロー》!」


駆け出した私の上を黄色い光を纏った矢が追い抜いていく。それは分裂し、一気に《シリアルキラーズ》のメンバーの動きを止めた。その隙間を縫いながらすれ違いざまに切りつける。


「通すか!」

「状態異常耐性かな」


《霧雨》を納刀、直後に居合い切り。胴体を真っ二つにし、光となって消えるそれを踏み越えて次々に切り裂いて行く。


「エミリア! 危ない!」

「問題ありません」


乱射される弾丸を切り裂く。次々と、次々と切り裂く。弾丸には限りがある。だから切り続ければ問題ない、そう思ったら


「進んで!」

「え!?」

「「マリア!?」」

「三人は進んで! ここは僕が引き受けるから!」

「それ死亡フラグ!?」

「良いからさっさと行って!」


弾丸に向かって何かを投げつけた。それは弾丸を受け止めているのか貫通しない。


「エミリア! バイトをサボったの僕は怒っているんだからね!」

「なら生きて帰りなさいよ!」


マリアの言葉に笑って納刀。姿勢を低くして駆け抜ける。正面に立ち塞がられても勢いを殺さずに跳び越える。足場にもする。山肌にある一つの穴に向かって駆ける。


「やっぱ裏切ったじゃぇねぇか!」

「アビス……!」

「打ち殺すぜ!」


振り下ろされる槌を避けて懐に飛び込む。柄で殴ろうとするけどその前にすれ違う。飛び上がって山肌に。そして


「侵入者だ!」

「エアリミ!?」

「邪魔」


剣閃の合間を縫って駆け抜ける。


「どこにいるの……シン」


*****


「邪魔をするんじゃねぇぇ!」

「邪魔なのはお前だ」


マモンの矢を槌で弾き、駆け寄ってくるアビス。その頭を吹き飛ばそうにも全身鎧にご丁寧なことに兜付き。隙間も小さく、銃では難しい。


「任せるわ!」

「任された!」


銃で次々と撃ち抜く。そして


「実力を隠していたわね?」

「そんなことは無いですよ」


苦笑するマリアと背中合わせに立つ。弾丸を放ち続けるも数は多い。


「いっそ爆弾とかで纏めて吹き飛ばせないかしら」

「あー、無いことは無いですけどね……」


小瓶から煙を出したりしているマリアは少し悩むような表情に。しかしその手はエストックと小瓶を持っている。考えながら動ける系男子ね。


「マリア、ちょっと乱暴に掃討するわ」

「へ」

「しゃがんでいなさい」


言われたとおりに姿勢を低くしたマリアの背中を蹴って高く飛び上がる。驚きの声を無視して両方の銃を《散弾銃》に替える。そのまま


「《スプレッド》《バースト》!」


散弾に散弾を重ねた超範囲掃討。そして全弾を纏めて撃ち尽くす。マリアを残し、広範囲に亘って全損させたようね。


「吃驚しましたよ!」

「そう」

「しかも何発か当たりましたよ……」


文句を言うマリアにポーションをぶっ掛けて


「きゃっ!?」

「マモン!?」


地面を転がってきたマモン。その方向には槌を構える全身鎧が。


「があぁぁぁぁぁ!」


叫び、駆け出した。思いの外速い。弾丸は撃ち尽くした。リロードが間に合わない。だったら避けるしかない。マリアは動けない。どうする、思考は一瞬。


「ごめん!」


マリアの体を蹴っ飛ばした後、車に引かれたような衝撃と共に私は空を飛んだ。

どうもリア友に私が彼を見下していると思われているようだ

残念ながら彼には私の家族以上に好意を抱いているのだが

ただしホモォではない


↑は完全に作者の私事なので無視して大丈夫です


しかしエミリアが書いててとても楽しい

そしてマリアが何故シンの攻撃を耐えたのか、気になるなー(棒)


次回予告

襲いかかる《シリアルキラーズ》

孤立したエミリア

囲まれたマモンたち

お婆ちゃんちで楽しんでいるアリア


反応の悪いタッチパネルでどこまで書けるかな……マジで

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