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小道具師の戦い方

シンを止める。そんなエミリアの言葉にため息を吐く。


「説得でどうにかなるような相手じゃないわね」

「そうかもしれないけど……」

「そもそもそんなに話を聞いてくれるの? 聞く前に斬られそうじゃん」


私の言葉に何故か問題無さそうな表情になるエミリア。


「あの子には私だけの接点があるから」

「ふーん?」


それならそれで良い。掘り下げるつもりも無かったのに


「シンは私の弟なの」

「へー」


*****


「スカイとの連絡だ。明日の午後九時半から《シリアルキラーズ》のギルドホームを襲撃、殲滅する」

「場所は分かるの?」

「エミリアに送られてきたメッセージに座標が書いてあった。それによるとマイナス2階層の《暗闇の森》の光岩の近くの岩陰の穴だそうだ」

「……信憑性は?」

「今現在マモンとレヴィとエミリアが確認に向かった」

「アリアがいればひよちゃんに乗ってひとっ飛びなんだけどなぁ」


ベルの言葉に苦笑する。そのまま席を立ち、伸びをする。


「どうした、サタン」

「いやさ、アリアには内緒って言われたじゃん」

「ああ」

「どんな風に説明するがなって思って」


口下手な俺としては魔王がそれとなくでっち上げた方が違和感無い思うんだけどね。


「エミリアが《魔王傘下》にい続けるとも限らないからな……」

「なら《シリアルキラーズ》とぶつかったで良くね?」

「ジャックの案に賛成の奴?」


チラホラと上がる手。すると


「俺としては結局バレそうだと思うんだが」

「同じく」

「セプトとシエルの意見もありえそうで怖いな……」

「アリアは無駄な時に勘が良いんだよな……」

「知らぬ存ぜぬを貫き通すか?」


男勢はなんというか情けない感じだ。嘘を吐けない性格の奴が多いんだろうな。それもこれもきっとアリアのせいだ。


*****


「くしゅっ」

「んー? アリアちゃんくしゃみした?」

「うん……」


誰かが噂でもしているのかなー、と思いつつ手元の薪を見る。桃太郎のお爺ちゃんの『山へ芝刈りに』の芝は薪の事だってさっき知った。お爺ちゃんそれ刈ってない。拾ってる。もしくは切ってる。


「アリアちゃん、チーズ」

「むぅ?」


振り向くとシャッター音。レトロなカメラだ。


「何さ」

「アリアちゃんの白ワンピ姿を写真に残したかったの。それと一つお願いしても良い?」

「?」

「向こうの草原の中で麦藁帽子を被っているところを撮っても良い?」

「お母さんカメラにはまったの?」


お母さんの構えたレトロなカメラを見て


「骨董品よ骨董品」

「お婆ちゃんちにあったの?」

「そうよ。ほら、チーズ」


横ピースをしてみると思いの外恥ずかしかった。


*****


「レヴィ、マモン。気をつけて」

「そうね。そろそろでしょ?」


腰の《霧雨》に手を掛けつつそっと音を立てずに歩く。《暗闇の森》の中は薄暗く、私やマモンたちは目立つ。


「……あったわ。この近くね」


光り輝く岩を発見し、周囲を眺める。確かに山がある。あそこのどこかにあいつらが潜んでいる。そう思うと


「エミリア? やばい顔をしているわよ?」

「っ……すみません」


覗いた《霧雨》の刃を鞘に収めてため息を吐く。中々剣呑だ。


「誰か出てこないかな?」

「マモン、もう少し隠れようとしてよ」

「見つかったら見つかったで戦えば良いじゃない」


*****


「……あ、マリア。アジアンは?」

「アジアンはしばらくバイト漬け。トマトは?」

「中々前に進めなくてな」

「ふーん。ユリィとサフィも少しスキルレベルと熟練度を高くした方が良いって伝えてて」

「お前はこっちに加わらないのか?」

「しばらくこっちもこっちでいろいろあってね。僕がこっちにいると危険かもしれないんだ」


待ち合わせ、適当な街の中でトマトたちと再会。だけど


「みんなは?」

「ピンプはサフィニアとユリカと一緒にレベリングに行った」

「そうなんだ……ちょっと頼みたいことがあるんだ」

「なんだ?」

「僕たちはしばらくそっちと合流できない。だから強くなってお店に、カーマインブラックスミスに顔を出してよ」


そこだけ言って階段を降りる。みんなと僕のレベルはかけ離れてしまった。だから早く追いついてきてくれ。言外に継げて階段での自分の靴音に耳を澄ませていると


「……うん?」


今、《探知》と《感知》の範囲内に何かが入った。そして一瞬でその範囲外に出て行った。尾けられていた……?

追うか、放っておくか……ダメだ、追おう。僕らか、僕なのか分からないけどさ!


「っ!」


姿勢を倒して階段を駆け上がる。トマトとすれ違うと同時に範囲内に再び入った。それは僕から逃げようとしている。


「っ!」


腰のハーネスから小瓶を抜く。《錬金術》の派生スキル《特殊アイテム精製》を使って作った《液体鳥もち》を投げつける。それは見事に足元に見事に当たり、割れた。そして液体が飛び散って


「ちっ!?」

「何者か知らないけどボコボコにさせてもらうよ」

「クソが!」


剣を躊躇無く抜いた。咄嗟に距離を取ってエストック、では無くさらに小瓶を抜く。


「こいつ……、何なんだ?」

「小道具師だよ」


距離を取りつつ戦う。それが僕の戦闘スタイルだ。


「ここだ、《真紅のバイト》だ!」

「へ?」

「集まりやがれ!」

「え」


周囲から何かが近づいている。慌ててエストック《流星(ナガレボシ)》を抜く。そのまま周囲を眺めて


「5……6人か」

「囲んでやれ!」

「……やれやれ」


計画してのPKか、そう思ったが当たっていてもどうでも良いや。さっさと倒そう。あ、ここ街中だからダメージを与えられないや。


「逃げるかな」

「逃がすな! 囲んで叩け!」

「あはは」


振りかぶられた剣をよけて振り下ろされた腕に立つ。そのまま跳び越えて街の外に出る。ここまでは向こうの思惑に近いだろう。だけど思惑をぶっ壊す。アリアの好きな行為らしいけど真似させてもらおう。


「ふぅ……」


右手の小瓶は《広範囲用液体鳥もち》と《小毒煙》、左手の小瓶は《濃煙》と《ニトログロセリン》だ。ちなみに《ニトログロセリン》は小瓶から出た瞬間爆発する。揺れても爆発しない。


「やるか」


街から駆け出してきた6人に向かって《小毒煙》の小瓶を投げつけた。地面で割れ、薄紫色の煙が上がった。それを吸い込んだ6人のステータスの端に毒のマークが。


「毒だ!?」

「《解毒ポーション》を使え!」


その隙に《濃煙》の小瓶を地面に叩きつける。広がった煙は視界を蝕む。それに動揺している間に《広範囲用液体鳥もち》を投げる。ぺチャリと音がして固まる6人。そのまま《ニトログロセリン》を6人の中央に投げ込む。顔色が変わり、逃げようともがくがもう遅い。何故か《鳥もち》は燃える。尋常じゃなく燃える。


「ファイアー」


断末魔の叫びを聞きつつ、どうして狙われたかを聞くのを忘れていた。もう遅いか、と思い諦めて


「結局なんだったんだろう……こいつら」


マモンもレヴィもバイトは休み。だから聞くにもメッセージを送るしかない。


「そこまでして知りたいわけでもないよね」

「ひょっとして襲われたんですか?」

「!?」


振り向くと夜の空のような色の服装の優男が。僕の《探知》と《感知》が効かなかった?


「……誰?」

「シン」


その名前は!?


「殺しに来ました」


彼は笑顔でそう言った。

マリア活躍回

書いててagiさえ高くすればかなり強くなりそうと思った

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