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ソーニョ・スキルズ・オンライン

明らかにおかしい。


このエリアには出現しないはずの大型ボス、タイラントレックス、通称ティラノサウルスがいた。それは初心者と思しきパーティを追いかけていた。トレインされたのだろうか。


「どうでも良いや」


僕は背中の剣の柄を確かめるように触れてティラノサウルスに駆け寄る。初心者たち三人は僕を見て顔を輝かせた。僕に希望を見出したのか。


僕は剣を抜き


「スターダスト・ストーム!」


怒涛の勢いで放たれた九連撃は表示されたティラノサウルスのHPバーを削りきった。表示されている七桁のダメージに少し笑う。明らかなオーバーキル。しかし技の仕様だから仕方ない。すると三人は


「た、助かりました!」

「ありがとうございます!」

「あんなにあっさりと倒すなんて!」


三人の言葉に頷いて


「当然だよ。だって僕が最強なんだから」


*****


『ディアボロス:アリアってば初心者助けた?』

『アリア:イン遅かったね。何してたの? それとなんで知ってるの?』

『ディアボロス:スレッドNo.1012に名前が知りたいってタイトルのがあってさ』


とりあえず指で虚空を二回とんとん、と叩いてメニューを開く。そして右上にあるスレッドを開いて1012を検索する。そのまま開くと


『きりひな:誰か白を基調に薄緑の服を着た白桃色の剣を持った燃えるような赤い髪のプレイヤーの名前を知りませんか?』

『猫耳萌え萌え:スレ立て乙』

『鳥人間:どう考えても最強一択っしょ』

『9029:いや、偽者って可能性も微レ存』

『田中太郎:そいつ何か言ってた?』

『きりひな:はい。確か僕が最強なんだからって言ってました』

『猫耳萌え萌え:特定終了。乙でしたー』

『鳥人間:乙っしたー』

『きりひな:え?』

『田中太郎:最強でスレ検索でおk』

『9029:簡単に言えばこのVRMMO最強プレイヤーのアリアって人』

『きりひな:ありがとうございます! これで後日お礼が言えます!』


……


『アリア:スレ見たよ。でもどうして助けたって思ったの?』

『ディアボロス:目の前にいるプレイヤーが語ったw』

『アリア:ふーん』


それより


『アリア:どうしてイン遅かったの?』

『ディアボロス:それはちょっち別のVRMMOのベータ版をプレイしてたんだ』

『アリア:面白いの?』

『ディアボロス:そそ、それよそれ。アリアもやらね?』

『アリア:どうして?』

『ディアボロス:だってここもそろそろ終わりじゃん』


そうなのだ。今現在プレイしているこのVRMMOはそろそろ終わりを迎える。おそらくこれ以上プレイ人口は増えずに減る一方だから。終わるのは2週後の日曜日。


『ディアボロス:ベータ版も明日で終わりでさ、2週後の月曜日から正式サービスなわけよ』

『アリア:タイミングは悪くないね』

『ディアボロス:って事でどうよ?』

『アリア:考えてみるよ』

『ディアボロス:ちなみにここのデータをコンバート出来るよ』

『アリア:ほんと?』

『ディアボロス:最強ほど引き継ぎ出来るか分かんねーけど』


そこまでの高望みはしていない。だから


『アリア:タイトルは?』

『ディアボロス:ソーニョ・スキルズ・オンライン』

『アリア:ソーニョ?』

『ディアボロス:どっかの国の言葉で夢だった希ガス』

『アリア:今だに思考入力型の文なのにネットスラングを使う理由が分からないよ』

『ディアボロス:ロマンです』


彼の言葉にため息を吐いて


『アリア:少し調べてから決めるよ』

『ディアボロス:はいな』


そして閉じる前のスレッドにもう一回目を通して


『アリア:僕に用なら会いに行くけど?』


と、書き込んだ。


*****


「えっと……アリアさん?」

「うん、何?」

「先ほどはありがとうございました!」

「ううん、僕も聞きたい事があるから気にしないで」


僕の言葉に三人は疑問の表情になる。


「トレインされたんだよね? 相手の顔や装備は分かる?」

「いえ……咄嗟の事で……」

「もしかして茶色のローブを着た男?」

「あ⁉︎ 確かそんな外見でした!」


やっぱり。


「そいつはモンスタートレインをメインのPK野郎だね。表に出て来たら狩るって決めたはずだけど……そっか、初心者にトレインなら見つからないわけだ」

「お知り合いの方ですか?」

「何度か戦った相手だね。決して友好的な関係じゃないよ」

「名前は分かりますか?」

「うん、幻影面ファントムマスクだね」


僕の言葉に三人はそれぞれ違う反応をした。そして


「スレッドに書き込まれている……?」

「あ、それは僕がしたよ。あいつは初心者狩りって手出ししたらダメな事をしたからね。あと一時間もしないうちにギルメンが来るよ」


そうしたら


「あいつの炙り出しが始まるけど……逃げられちゃうかな?」

「何故そんな事をするのでしょうか?」

「うーん、あんまり考えたくないけど……PKってmobよりもボーナスが多いんだよね」


僕の言葉に顔が青ざめた三人。VRMMOに有り勝ちな感情の過大表現のせいだ。


「このVRMMOもそろそろ終わる。君たちは何故このタイミングで?」

「あ、それは別のVRMMOが今度サービス開始するんです」

「それにここのデータをコンバート出来るらしくて」

「備えておこうって話になったんです」


同じような話を聞いた気がする。


「ソーニョ・スキルズ・オンラインの事?」

「え? 知っているんですか?」

「ギルマスに誘われていてね……そっか、三人ともするの?」

「「「はい」」」

「なら僕もするかな」


そんな感じの適当な理由でプレイする事にした。しかしプレイ初日にしてその判断は間違っていなかったと僕が思うのを僕はまだ知らない。


「そりゃ重畳」

「や、魔王」

「よっ、最強」


僕はディアボロスの言葉に


「いつから聞いていたの?」

「いや、今来たところ。他に何を話していたのか知らね」

「ふーん」


僕はディアボロスの言葉に頷いて


「コンバートの内容は調べれた?」

「多少ね」

「説明して」

「人使いの荒い……お、そっちの三人はさっきの」

「あ、おかげでお礼が言えました!」

「ありがとうございます!」


*****


二週間後


「運営の皆様、ありがとうございましたーっ!」

「「「「「「「「「ありがとうございましたーっ!」」」」」」」」」

「お疲れ様でしたーっ!」

「「「「「「「「「お疲れ様でしたーっ!」」」」」」」」」


運営からのメッセージ、五分でサービス終了が送られた。そして街のあちこちからそんな声が聞こえて……ログアウトの光が見えた。僕もメニューを開いて


「ありがとうございました」


と、呟いてログアウトのボタンを押した。視界が光に包まれて……僕は頭に付けていたハードを外す。名前は忘れた。


そして五分後、日を跨ぐ瞬間にかぶり直して魔法の言葉を口にする。現実を非現実に変える魔法の呪文を。


「リンクイン!」


そして視界が光に包まれて……


『ようこそ! ソーニョ・スキルズ・オンライン、通称SSOへ!』

『早速キャラクター設定をしましょう!』


テンションの高い表示される文字を眺めていると手元に現れた二昔ほど前に流行ったタッチパネルが現れた。


そこには髪型、髪の色、瞳の色、瞳の大きさだけが変更出来るようになっていた。性別すら選べない。それに不満を感じながら


『髪型、ツインテール。髪の色、カーマイン。瞳の色、碧色。瞳の大きさ、普通。で、よろしいでしょうか?』


表示されたYesを迷いなく押す。自分のリアルと出来るだけ似せた容姿だ。もっともプレイヤーの容姿はリアルスキャン。つまりこれからハードを付けている肉体情報が読み取られる。


『完了しました。プレイヤーネームとID、パスワードの入力をお願いします』


プレイヤーネームはリアルと同じ。アリア、そう入力しようとしたら


『プレイヤーネームはアルファベットしか使えません』


と、来たものだ、むっ、としながらAliaと入力。IDはいつもと同じ十二文字を流れるように打ち込む。パスワードも同じように入力して


『それではSSOの世界へようこそ! チュートリアルを始めてもよろしいでしょうか?』

初めましての方は初めまして、そうでない方はこんにちは

作者の孤面の男です


まーまー、VRMMOを題材とした小説はどんどん増えていくでしょう

これからも

いずれ現実に出来れば良いなー、と思いながら書きました

興味を持って期待してくれると嬉しいです


それでは次回をお楽しみに(しなくても良いけどしてくれたら嬉しいなー)


とりあえずSAOが今のVRMMOを題材とした小説の原点と言っても過言じゃない気がする

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