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DeadMonster!  作者: ノラギツネ
9/21

ゾン吉、旅立ちの準備をする

NO.9 ゾン吉、旅立ちの準備をする


家に帰ってからゾンビパパとゾンビママにモンスター学校を卒業した事を報告するととても驚いていた。


「う~ん。まさかゾン吉がこんなに頭が良かったなんて……、知らなかったよ。」


「きっとパパに似たのね。」


「な~に言ってるの~。ママに似たんだよ~。」


「い~えぇ、パパに似たのよ~。」


「ママ似だよ~。」


「ふふふっ、じゃあきっと二人に似たのね。」


「ママ、愛してるよ。」


「ふふっ、私もよパパ。」


子供の前でイチャつかないで欲しい。

ほら、ホネ川君が気を使って顔を手で覆い隠して居るじゃないか、子供に気を使わせるなよっ!

それに対してエナ子はポケ~ッと二人のやり取りを見つめている……。

お前は少し遠慮しろっ!


「それでだねっ!デュラハン先生から魔王城への紹介状を貰ったんだ。」


強引に話題を此方に引き戻すと、ゾンビパパ、ママの注意を此方に向かせる。


「それは凄いね!?ゾン吉は如何しようか決めて居るのかい?」


「俺は……。魔王城へ行ってみたい!」


「そう、ゾン吉ちゃんが自分で決めたならママは何も言わないわ。」


「魔王様の居る魔王城までは距離が有るから、しっかりと準備をしてから出発するんだよ。」


「分かった!そうするよ!」


因みに、ホネ川君とエナ子は共に俺と共に魔王城へと向かう方向で意見が一致している。

持つべき者は友達(配下)だよね。


翌日、旅立つに当たり必要に成るであろう物資の調達の為に腐肉川の散策に来ている。


「う~ん。ひしゃげた銅製のコップ……、直せば使えるか?」


「ねえっ!ゾン吉ぃぃ!これはぁぁぁ?」


エナ子が古布を掲げて確認を求めて来る。


「ああっ!OK牧場だっ!確保してっ!」


あとは、道中でお金に変えられそうな雑貨類が欲しい所だなぁ。

そんな事を考えていると、ゴミ山の中にキラリッと光る物を見つけた。

掘り起こしてみると……。


「おおっ!綺麗なお皿だ。銀食器かな?」


拾い上げようとして手を伸ばす……。


「ゾン吉!!触っちゃ駄目っ!!」


へっ!?エナ子が遠くから叫ぶ!がエナ子の言葉の意味を認識する前に俺の御手てがお皿を掴み上げた……。


ボロッ……、ボロボロボロボロッ!


「ウ、ウワッ!?腕が崩れ始めた!?」


一体何が起こったんだ!?急に体が崩壊を始めたぞ!?


「カタカタッ!!」


ホネ川君が瞬時に駆け寄ると俺の腰からショートソードを引き抜くと、肩口をバッサリ切り落とす!ホネ川君!?急に何をするんだ!?……御乱心か?

しかし、崩れゆく腕を切り落とされたお陰で体の崩壊は腕より先に浸食する事は無かった。

切り落とされた腕を確認すると、もう原型を留めない状態までボロボロに崩れ去っていた……。

エナ子が走り寄って来てから本気で怒られた。


「もうっ!駄目じゃないゾン吉!ゾンビが銀製品を触るなんて自殺行為も良い所だよ!」


ああ、なるほどアンデッドと銀製品……、そりゃあ組み合わせ最悪だわな。

ちょっと考えれば分りそうな事だ、俺ってばウッカリさん♪


「ゾン吉、ちゃんと聞いてる?」


「は、はい!以後気を付けます!」


「わたし、ゾン吉が居なくなっちゃうと悲しいよ……。」(食べ物的に)


「カタッ、カタカタッ……。」


「二人とも……。ゴメン!心配させちゃって!ホントに以後気を付けます!!」(秘技!五体投地!ズシャァァァ!)


二人に最大級の謝罪を終え、リポップで腕が戻ったので再びゴミ拾いを再開する。

一通り使えそうな物を拾い終えたら、どんどん加工して行く。

歪んだ銅製の食器類は打ち直して形を整え、古布は荷物入れに加工する。

少し、布が余ったので三人揃いでフード付のローブを作成してみました。

エナ子は獣耳をフードで隠せば殆ど人間と区別が付かない。

俺も腐った面を隠せる仮面でも被れば誤魔化せるんじゃないだろうか?

しかし、ホネ川君は……、死神。そう言った方がしっくりくる風貌だ。

スケルトンにフード付ローブなんて、狙ってやったとしか思えない!

後は鎌でも持たせれば完璧だな!


「鎌は無いけど、お釜ならあるよ?」


エナ子がお釜を持って来るが、丁重にお断りさせて貰った。

お釜を持った死神とか嫌すぎる!語感は似ているんだがね……。エナ子に座布団一枚!!

そんな馬鹿をやっていると、数日で旅立ちの用意が完了した。



旅立ちの朝、ゾンビパパとゾンビママが見送りをしてくれる。


「ゾン吉よ、立派なゾンビに成るんだぞ!」


「ゾン吉ちゃん、体に気を付けるのよ。ホネ川君、エナ子ちゃんゾン吉をよろしくね。二人も体には気を付けるのよ。」


「ゾンビママッ!」「カタカタッ!」


「それじゃあ、ゾンビパパッ!ゾンビママッ!行ってきます!!」


俺達は二人に手を振って旅立つ。

腐肉谷の端、谷の切れ間から光が漏れている……。

ここから先は俺はまだ行った事の無い領域だ。

まさか、光に当たった途端に崩れ落ちたりしないだろうな?


「太陽あったけぇ~!」(蕩けそう……)


光りには当たっても何とも無い!

それどころか久しぶりの日光がポカポカと気持ちが良い。

エナ子もウ~ンッと背伸びをしている。


「カタッ?カタカタッ?」


えっ?魔王城は何処に在るのかって?


「えっとねぇ、ゾンビパパが言うには、腐肉谷を出たらまず北に進めって言ってたから、北に有るんじゃないかな?」


「じゃあ、れっつご~!!」


エナ子が率先して進んで行く。

詰めが甘い様な気がするが、気にしたら負けかなって思うので気にしない!気にしないったら、気にしない!!

だって、俺達の冒険は此処からスタートだもの!

まっさらな地図に目印なんて要らないのさっ!


「あっ!ゾン吉ぃ~!魔王城コッチだってぇ~!看板でてた~!」


ああっ、看板……、さいですか……。

ゾンビパパよ、北に行けって言うのは、看板が有るって意味ですか?

看板に従えって事ですね?良いでしょう!従いましょう!

俺達は看板に従い街道を歩いて行く。


エナ子の三分クッキング

材料:ゾン吉(一体)塩(少々)胡椒(少々)バター(ひとかけら)タマゴ(1個)

調理法:まずゾン吉を一体を用意します、そして、そのまま……いただきますッ!!ガブッ!(モグモグッ!)


(ア~レ~!食~べられ~る!?……て言うか他の材料は使わないのか!?)


『とっても美味しく出来ましたね。次回の三分クッキングは、『じっくり煮込みハンバーグ』です。』


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