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DeadMonster!  作者: ノラギツネ
2/21

骨、拾いました。

NO:2 骨、拾いました。


翌朝、清々しい程の腐臭に目を醒ました。


ああ、夢じゃ無かったか…。


現実に打ちのめされている俺の元へとゾンビママがやって来た。

手には何故かネズミが一匹握られている。


「おはよう。よく眠れたかしらゾン吉ちゃん。お腹すいたでしょう?一杯食べて早く大きく成るのよ。」


そう言って手にしたネズミを仰向けの俺の顔の上に持って来る…。


えっ!?う、嘘だよね?嘘だと言ってよ、ママン!


グシャ!っとネズミが握りつぶされる!滴り落ちる血液が重力の法則に従って落ちて来る。

…俺の口の中に(涙)

・・・・・・・・・・あれ?旨い!?これ、旨いぞ!!案外イケル!!

ゾンビと成った事で味覚が変化してしまったのだろうか?

余りの旨さにネズミ三匹程の血液を飲み干してしまった…。


「ゲフッ!」


「まあっ、一杯食べたわね?」


「ハハハッ!これだけ食べれればゾン吉はアッと言う間に大きく成るぞ。」


食後は睡魔が襲って来たので、タップリと眠る!

喰っては寝る、喰っては寝る。

そんな生活が半年程続いた。

ゾンビの体は腐っているのに思いの外、成長が早い。

俺の体は既に立って歩くのは勿論、走り回るのも自在と成った。

背丈的には人間の子供5~7歳くらいと言った所か?

因みに初めの内はゾンビパパとゾンビママの外見に恐怖したが、二人とも結構、子煩悩な良いゾンビで優しくされる内に恐怖心は薄れて行った。

一ヶ月もすると、完全に見慣れてきた。

慣れって怖いね。

今では普通に接する事が出来る様に成った。



今日はゾンビパパと一緒に食材の調達に出かける事に成った。

歩ける様に成って初めての遠出に少し心が躍る。


「(活動範囲が家の周囲だけだったからな。今まで見た事の無い物に出会えるかな?)」


未知の存在との遭遇に今からドキがムネムネだっ!

俺とゾンビパパがやってきたのは、俺達の住む谷「腐肉谷」の端っこに位置する腐肉森だ。

腐肉と名が付く様に当たり一面に腐った肉が散乱しており見るも酷い惨状と成っている。

何でこんな惨状に成っているのだろうか?

そんな事を考えていると、頭上からボトボトボトッと肉片が落ちて来る!?


な、なんだ!?


そう思って谷の上を見上げると、鳥みたいなのが動物を咥えて飛んでいるのが見える。

すると、再びヒューッと肉片が落ちて来る。

どうやら鳥が咥えていた肉片を落した様だ。

落ちて来た肉片を見る。

如何やら動物の足の様だ。

チュー、チューチュー、チュー!

落ちて来た肉片にネズミ達が群がる。

食料事情が良いせいか、ネズミ達は丸々と肥え太っている。

ゾンビパパはそんなネズミを摘まみあげると、ズタ袋に放り投げて行く。

ちょっと暇だ。


「ゾンビパパ。近くを散策して来てもいい?」


「良いけど、人食いネズミには気を付けるんだよ!」


人食いネズミとか居るのかよ!?

マジか~。気を付けよう。

ゾンビパパから離れ散策を開始する。

人食いネズミ対策に何か武器に成りそうな物は無いかな?

役に立ちそうな物を探していると、錆びついたナイフを見つけた。

小さな体でも何とか使えそうだ。

切り付けたりは出来そうに無いが、突き刺したりする位は出来そうだ。

鞘も一緒に落ちていたので腰に結わえつける事にした。

他に役立ちそうな物は無いかと探していると、人間と思しき頭蓋骨を発見した。

下顎の外れた頭蓋骨だ。

可愛そうに…、きっと谷の上で飛んでいた鳥みたいなのに運ばれて来たのだろう。


「きちんと埋葬してあげよう。」


俺は頭蓋骨を拾い上げる。

すると、近くに下顎も落ちている事に気が付いた。

拾い上げてくっ付けると見事に噛み合う。


「よ~し、良し。ピッタリだ!」


「カタッ!カタカタカタッ!」


当然しゃれこうべが動き出した!


「うわ!?」


思わず投げ捨てる。


「カタッ!カタカタッ!!」


「いや、ゴメン。突然だったからビックリしちゃって。」


しゃれこうべを拾い上げ、謝罪する。


「カタ。カタ、カタッ。」


「許してくれるの?有難う!」


「カタ?カタカタカタッ?」


「俺?俺はゾン吉って言うんだヨロシク~。君は何て言うの?」


「カタッ?カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ!」


「ああ、成るほど、「ホネ川」君だね。うん、此方こそヨロシク~。」


えっ!?何でさっきからホネ川君の言っている事が分かるのかって?

いや、彼さっきから普通に喋って居るじゃない?

全く可笑しな事を言うね!(プンプン)


「カタカタカタッ!」


「えっ?他の体の骨は無かったかって?いいや、有ったのは下顎だけだよ。」


「カタッ!?カタカタ!」


「一緒に探してくれ?うん、良いよ、暇だしね。」


こうして俺は、ホネ川君の体の骨を探す事に成った。

まさか、ホネ川君の骨を探す事が世界の終りに繋がるなんてその時の俺は思いもしなかった…。


ホネ川君はスケルトンです。

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