ゾン吉、進化の時!!
NO.10 ゾン吉、進化の時!!
「ヒャッハァー!!ゾンビが街道をうろついてるぜぇ?」
「大人しく、俺達の経験値に成りやがれやぁ!」
俺達は今、絶賛絡まれ中です。
なんかね?普通に街道を歩いて居たら革の鎧を着たガラの悪い兄ちゃんズが絡んで来たんだけど……、如何しようか?
ガラの悪い兄ちゃんの一人がショートソードを抜いて、ベロリッと舐める……。
汚い……、あのショートソードには切られたくないなぁ……。
何て事を考えていると……。
「往生せいやぁ!!」
襲い掛かって来たので、正当防衛!って事でサクッと倒しました。
いや、コロコロしてはいないよ?気絶させただけです。
「ジョニー!?よ、よくも、ジョニーを!!」
そう言って片割れが襲い掛かって来たのをエナ子がボッコボコにした所、逃げ出そうとしたので、ゾビ香ちゃん特製の毒薬を使ってみる事にした。
「ポイズンネ~イル!」
ガリッと傷を付けてやると、数十メートル先でパタリと倒れました。(死んでませんッ!う、動けなく成っただけなんだからッ!)
「……さてっ!身ぐるみ剥いじゃおうかっ?」
「カタカタッ。」
「あいあいさ~。」
まあ、命取られるよりはマシでしょう?
サクッと物色させて貰う。
「ああっ!ホネ川君、エナ子。武士の情けだ!お金は半分だけ貰って後は残しておきなさい。」
「は~いっ。」「カタカ~タ。」
★
『装備品はその場で装備しないと意味が無いぞっ!』
昔、どこかの誰か(武器屋のオヤジ)がそんな事を言って居たっけ。
早速着替えよう!
剥ぎ取った衣服を今まで来ていたボロ服と交換する為、脱ぎ去る。
「わぁ!?ゾン吉!?乙女の前だよ!?」
エナ子が恥らって顔を手で覆い隠すが、俺は遠慮なくその場でスッポンポンに成らせて貰う。
エナ子よ、お前何時も俺を食う時に見てるだろぅ?今更恥らうなよ。
お前の乙女センサーが何処に付いてるのか俺には分からないよ!
あと、手で顔を覆って居ても、指の間から覗いて見てるの、気が付いてるから……。
「うん。やっぱりちゃんとした衣服は着心地が良いね。後はガラの悪い兄ちゃんが持って居たショートソードを古い剣と交換……。」
さっきベロベロ舐めてたよな……。
やっぱり良いや、止めておこう。何かきちゃないし……。
「ゾン吉~。これは如何する?」
エナ子は兄ちゃんから剥ぎ取った皮鎧を持って来た。
「ホネ川君、装備してみる?」
「カタッ?カタカタッ!」
装備してみたいそうなので早速装備させてみた。
結果から言って失敗でした……。
何でかって?
スケルトンのボデェには皮鎧が大き過ぎて、スッカスカで動く度にズレちゃうんだ。
「カタッ……、カタカタッ。」
「そんなに落ち込むなよ。きっと似合う鎧が見つかるって!元気だしなよ?」
結構ショックだったらしく、しょんぼりと肩を落とすホネ川君でした。
「じゃあ、皮鎧はエナ子が装備を……」
「重いからヤッ!」
だそうなので、結局俺が装備する事に成った。
『ゾン吉はゾンビからゾンビ兵へと進化した。』
なっ!?なんだ!?突然脳内にアナウンスが流れる!
進化?ゾンビ兵?何で行き成り?進化する要素有ったっけ?
思い当たる節と言えば、今の戦闘?いや、でも戦闘が終わって少ししてからって言うのも変だよな?
じゃあ後、考えられる事と言えば……、鎧を身に着けたから?
試しに皮鎧を外してみる。
『ゾン吉はゾンビ兵からゾンビへと退化した。』
皮鎧を装備する。
『ゾン吉はゾンビからゾンビ兵へと進化した。』
装備を外す。
『ゾン吉はゾンビ兵からゾンビへと退化した。』
皮鎧を装備する……、と見せかけて装備しない!
『ゾン吉はッ!?……。』(チッ……)
一瞬、舌打ちが聞こえた様な気がする……、気のせいか?
しかし、やはり思った通りだッ!
如何やら俺は鎧を装備すると、ゾンビ兵へとやらに進化出来る様だ。
感じから言ってゾンビの上位職と見るべきではないだろうか?
こりゃあ、幸先が良いぜ!
しかし、これって鎧を装備してるだけで、進化って言って良いのか?疑問だ。
まあ、良いか。深くは考えまい。使える物はどんどん使って行こう!
★
俺達は揚々と街道を進んでいると、何やら道端に馬車が止められているのを発見した。
何でこんな所に馬車が?
近くに行ってみると……。
「うぇ。凄惨……。」
馬車の持ち主と思しき人物が見るも無残な姿で地面に転がっていた。
近くには馬車を引っ張っていたと思われる馬の死体付だ。
何者かに襲われたのだろう、可哀そうに……。
「カタッカタカタッ?」
「ああ、なるほど、さっきのガラの悪い兄ちゃん達は野盗の類か!」
馬車を見ると、既に盗まれた後なのか荷物は何も残されては居なかった。
「可哀そうに、せめて埋葬位してあげようか?」
「カタカタッ……。」
俺とホネ川君は墓穴を掘ってキチンと埋葬してあげた。
何て言うか、ゾンビが他人の為に墓穴を掘ってあげるってシュールだよね。
そうして俺とホネ川君が懸命に墓穴を掘っている間……。
「エナ子!お前は何をしているんだ?」
「んっ?(もぐもぐ)ふぁに?(何?)きふぃて、ふゎかった!(聞いて無かった!)」
「食べながら喋るんじゃ有りません!」
「(ごっくん!)ごめん、ごめん!お腹が空いちゃって……。」
俺達が働いている間、エナ子は馬の死体を啄ばんで居たのだ!
しかも、この短時間で既に馬一頭の死体は骨のみと化していた!
「腹は膨れたか?」
「うん!お腹いっぱい!」
この食いしん坊さんめっ!
まあ、いいや、これで今日は俺が食べられる事は有るまい。
俺達はお墓に手を合わせると、再び出発する事に。
「ねぇ。ゾン吉?この馬車って使えないの?」
エナ子が馬車を指さして俺に聞いて来る。
「う~ん?見た所、破損は無い様だけど、馬車を引っ張る肝心の馬が居ないんじゃ、只の箱だよ?」
「そっか~。ざんねん~。馬車が使えればもっと早く進めるのにね~。」
「まあ、しょうがないさ。地道に歩いて行こう。さあ、出発だ!ホネ川く~ん、行こう!」
ホネ川君は先程からエナ子が食べ散らかした馬の骨を見つめて腕を組んで居る。
如何したのだろう?
すると、おもむろにホネ川君が馬の骨を掴むと……。
「バリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!!」
と勢い良く骨を食べ始めたではないか!?
ホネ川君、それって一種の共食いでは無いのか?
じゃなくて!何で骨を食べるんだ!?
程無くして全ての骨を平らげてしまった。
一体ホネ川君の体の何処にあの大量の馬の骨が消えたのだろうか?
心なしかホネ川君の骨密度が上がった様な気がする……。(気のせいだ)
「カタッカタカッタ。」
骨を食べ終えたホネ川君は自分から少し離れる様に手を振って指示するので、素直に下がる。
ホネ川君は俺達が離れるのを確認すると、ピョンッとその場でジャンプする。すると!?
カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャッ!!
勢い良くホネ川君の下半身の骨が音を立てて変形を始めた!
変形を終えたその姿は、一言で言うとケンタウロス!ホネ川君の下半身が四足で地面を踏み締める馬の骨と化していた。
最後に、何処から取り出したのか、馬の頭骨をカポッと被ると、ホネ川君「ケンタウロスモード」と成ってしまった!?
「なるほど、取り込んだ骨を自在に換装出来る能力って所かな?って、ホネ川君?何時の間にそんな能力を覚えたんだ?」
「カタッカタカタカタッ。」
ああ、なるほど。やってみたら出来たと……。
そう言えば、大腕の骨も持って居ない事に今、気が付きました。
もう取り込み済み何だろうなぁ……。
「カタッ、カタカタッ。」
ホネ川君は馬車を指さす、俺が馬車を引いてやる!そう言っている。
おお、ありがたい!さすが、持つべき者は友達(配下)ですな!
「ではっ!出~発っ!目指すは魔王城!!」
「お~っ!」
「カタカタッ~!」
馬車は俺達を乗せてゆっくりと走りだす。
スケルトン語講座 上級編
・よくぞ、ここまで辿り着きました。ですが……、此処が貴方の墓場です。「カタカタッ。カタッ…、カタカタッ。」
・世界の半分を貴方に差し上げようと思っています。「カタカタッカタカッタ。」
・私は四天王の中でも最弱の存在です。「カタカタカタカタ。」




