Loa (leads on away) 番外編 ゲームセンター
学校の帰り、俺はすぐ家に帰るのも何か嫌だったので、
「しおり、ゲーセン行こうぜ」
「ゲイ専(ゲイ専門の略)?あんた死んだら?」
「いやいやいやなんでそうなんだよ?」
俺は、嘆息しつつ、
「ゲーセンだよ。ゲーセン」
「だから何それ?」
「ゲームセンターだよ。ゲームセンター」
「最初っからそういってよ。略されてもわからないわよ」
俺は、ため息をつく。
こいつ今まで、人と関わったことなくてもこれぐらい知ってると思っていたがここまでとは・・・
コミュ障って言われてたのも少し頷ける。
しおりは、ちょっと機嫌悪そうな顔をしていった。
「私ゲー・・・セン?には行かないから」
「は?何でだよ」
しおりは、こちらをギロッと睨むと、
「私は、あんたみたいに毎日ゲーム三昧の無駄時間ライフを過ごしてる程、暇じゃないの」
「お前言い方ひどいぞ」
「ゲーセンだっけ?どうせお金使うんでしょ?もったいない」
「いやそういっても100円で楽しめるんだぜ?」
「あんたの価値は100円以下よ」
「なんで俺の事けなすんだよ・・・」
「何とかなく・・」
気まぐれかよ・・・
ていうかこれじゃ俺が子供で、しおりが毒舌お母さんみたいだぞ・・・
まあお母さんが子供に対して100円以下の価値とか言わないけどな・・・
とりあえず俺は、しおりとゲーセンに行きたいので、頭を下げてお願いした。
「頼むよ。家族としての思い出作りの一環として頼む」
しおりは腕を組み、そっぽを向くと・・・
嘆息する。
「まあいいわ。今回だけよ」
「ありがとう。」
俺は、内心すごいホッとした。
これで、時間を無駄にしたくないからとか言われて帰られたら、たまったもんじゃないからな。
「ゲーセンってどこにあんの?」
「あそこにあるじゃん」
俺が指をさしたのは、駅の2階にある”ファンタジー”という店だ。
しおりは、ゲッって感じの顔をしてボソッとつぶやく。
「ファンタジーって、こんなところにゲーセン作るあんたの頭がファンタジーよ・・・」
「お前は行く前からどこまで文句つけるんだよw」
「私は、そういう性格なの」
「お前そういうのせこくないか?」
「はいはい。ツッコミ乙」
何だと・・・・
ゲーセンわかんない人がそれわかんの?
順序でたらめすぎる・・・
そんな俺をほおっておいて、ゲーセンに直結しているエスカレータに乗ってるしおり。
「おいてくわよ」
「お前はホントにせっかちだな」
俺もすぐさまエスカレータに乗る。
そしてゲーセンに到着。
ユーフォーキャッチャーや音ゲーがたくさん並ぶ。
俺にとっては見慣れた光景だがしおりは、初めてだからな。
どんなリアクションするんだろう・・・・
そう思ってチラっと見てみると・・・
「いねえじゃん。」
おいおい・・・
あいつ渋々ついてきた感じだったのに、どんだけはしゃいでんだよ・・・
俺は、適当にふらふらしていると・・・
「おいおい。すごいなおい・・・」
しおりは、音ゲーのmoimoiをやっているのだが・・・
「この、このこの!!」
お前なんで膝で押してんだよ・・・
手が間に合わないからってそれは・・
もう苦笑していた。
周りで見てる奴らは、目が点になってるし・・・
「あのお客さん蹴らないでください」
しかも注意されちゃったし・・・
俺は、恥ずかしすぎて目をそらした。
「蹴ってないです。ひざで押しただけ」
しかもいいわけがまた一段とクソ過ぎる。
俺は、耐えられなくなってしおりの腕を引っ張って、一旦ゲーセンの外へ・・
「お前は、なんでゲームを格闘技みたいにやるんだよ」
しおりは顔を紅潮させていった。
「うるさいわね・・。下のボタン手じゃ押しにくいし、足のほうが反応速いのよ」
「お前はたから見たら、ゲームをサンドバッグと間違えて攻撃してるアウトローだぞ・・」
俺はこの時空気が変わったのに気づいた。
やべっ・・・
なんかあの時、集団対しおりの時のあのしおりの空気と似た空気を感じた・・・
震えた声でしおりが言う。
「まままま・・・全く、随分と妹に対して・・ひひひどい言い方するじゃない・・・」
「ひぃぃぃぃwwwwww!!」
俺は急いで逃げようとしたが・・・
「逃がさないわよ」
捕まえられ、ボコボコにされた。
「ごめんなさい・・・」
「ああ~。すっきりした」
のびをして気持ちよさそうなしおり・・・
理不尽だ・・。
俺は事実を指摘しただけなのに・・・
「そういえば、学校でシュビートって話題になってるけど面白いの」
「ああシュビートは、結構面白いと思うよ」
「じゃあやりましょ」
「お・・おう」
俺の反応が気にさわったのか不機嫌な感じで聞いてきた。
「何よ不満?」
「いやお前からやろうっていうとは思わなかったから」
「まあ興味本位ね」
俺としおりは、並んでシュビートをやるわけだが・・・
「お前なんでいきなりレベル10やるんだよ!!」
俺はびっくりしてつい大声でいってしまう。
しおりは、うっとうしいと言いたげな表情で、こっちを見ると、
「茨の道を進むのが成功の近道っていうじゃない。」
「なんでゲームに変なストイックさを活用するかな・・・」
こいつ絶対ろくでもないことになるな・・・
まあ俺の予想は当たった。
序盤から全くもってできず、途中から「くそが」や「朽ちろ」などもう美少女失格の汚い言葉を連発。
ボタン全体を両掌全体で、バンバンタッチ。
その姿は、もうキーボードクラッシャーにしか見えない。
それを見ていたギャラリーは、大爆笑。
スコアがもう壊滅的な23万・・・。
これはひどい。
よっぽどショックだったのが、シュビートの台の前で立ち尽くしていた。
それでまたつぶやくことがひどい。
「今まで人事を尽くしてきたはずなのに・・・なんで?」
「お前今日ゲーセンデビューだろうが・・・」
しおりは、「もう帰る」とふてくされて帰ろうとしたので手を掴みとめる。
「何で止めるのよ」
「もうちょっとだけ付き合ってくれ」
しおりは、ため息をつき、
「はやくしてよね」
と機嫌悪そうに言ったものの付き合ってくれた。
「お前うさぎ、くま、ライオンの中でどの動物が一番好き?」
俺が聞くと、しおりは怪訝な表情を浮かべる。
「なんでそんな事聞くのよ」
「いいから答えろって」
「・・ライオン」
「わかった」
俺は、すぐにゲーセンのある場所に向かう。
「ちょっと・・どこ行くのよ」
焦った感じでしおりがついてくる。
「ライオンのあるユーフォーキャッチャーの所だよ」
すぐにライオンのあるユーフォーキャッチャーにつく。
しおりは、ライオンの人形を見て、
「なんか弱々しい・・・」
「女の子の言う台詞かよそれ・・・」
俺は、100円を入れてライオン捕獲を狙う。
しおりは、それを静かに見ていた。
「ここらへんかな・・」
狙いが正しかったみたいで、人形の引っ掛ける部分のところに引っかかる。
「すごいじゃない・・」
しおりがすごい興奮してた・・・
そのままトラは、景品口に落ちた。
ゲーセンを出て家に向かう途中
「龍翔にまさかこんな特技があったなんて・・・」
俺がとったライオンを気に入ったのか、ずっと触っている。
「まあよく寄り道してたからな」
しおりは、俯くと恥ずかしそうに言った。
「あっ・・・ありがとう」
俺は、改めて言われて、恥ずかしくなった。
「やめろよ。記念だから記念」
「そうね」
「そう」
しおりはこっちを振り向いて、笑顔で言った。
「また行こう。」
俺はそれを聞いて笑顔でこう返した。
「そうだな」